「万人受けはいらない」自分が見たものだけを信じて歴代最高記録を樹立
人材業界未経験からのスタートで事業部内の売上最高額を記録し、その能力を買われてポテンシャライトに入社した石原匠氏。自身を〝わがまま〟と分析し、開口一番「こんな僕がインタビューを受けて大丈夫ですか?」と言う石原氏に、型破りかつゆるぎない仕事術を聞いた。
「夜は一番遅く、朝は一番早く」をモットーに楽しんだ営業職時代
石原氏は、立教大学を卒業すると大手旅行代理店に入社し、法人営業に従事した。主に社員旅行や褒賞旅行、周年パーティなどの企画提案営業を担当し、ときには添乗員として顧客に同行、行程管理はもちろん、宴会時には社長接待や次回案件の提案を行った。石原氏にとって営業はとにかく楽しい仕事で、「夜は一番遅く、朝は一番早く」をモットーに尽力した。
ある日、石原氏は自身の保険について相談するため、保険会社に転職した先輩と会った。そこで先輩から「ぜひ上司に会ってほしい」と言われ、その流れで保険会社へ転職し、個人営業職に従事した。
こうして幅広い営業の仕事を経験した石原氏だが、次第に営業以外の手札を増やしたいと思うようになり、マーケティング職への転職を決めた。その中でも、市場の流れを考えてデジタル領域を選択した。
未経験スタートから短期間で歴代最高売上を達成
マーケティング職に従事する中で、石原氏は「もっとリアルに人と向き合いたい」と思い始めた。また、それが自身の強みとも感じていた。そんな中、あるEC事業会社が新たに人材紹介会社を立ち上げ、すでに動きだしているという情報が入った。人材業界は未経験だったが、「人という軸と、多角的経営をするこの会社なら、幅広い領域に関わることができそうだ」と思い、転職を決めた。
立ち上げメンバーとして入社した石原氏は、SaaS(Software as a Service)、デジタルマーケティング、コンサルティング等の成長産業領域のCA(キャリアアドバイザー)・RA(リクルーティングアドバイザー)両面コンサルタントとして活躍。持ち前のとことん掘り下げる能力と圧倒的な情報収集力で、未経験ながら入社から約半年で単月1,500万の売上を記録。事業部表彰から全社表彰を受けたことを皮切りに、3度の表彰を受け、エースとして事業を管掌するまでになった。
なぜ、短期間で未経験からエースのポジションにたどり着くことができたのか――
「よく『プロフェッショナルになるには1万時間の練習が必要』と言われますが、僕は1万時間に到達するスピードも大事だと思います。1日24時間ある中で、どれだけの時間を、スピード感を持って仕事できるか。それを常に考えていました」
加えて、石原氏は人材業界の経営経験がある同僚と対話しながら、具体的なプロセスの進め方や候補者の意向を高める接し方などについての知識を早期に習得した。そのおかげもあり、石原氏の商談力はめきめきと上達した。
「同僚のおかげで、スピード感を持ってスキルアップできました。人材紹介のいろはや壁打ちにつきあってくれたことで、本質的な人材紹介の介在価値について理解でき、再現性を高められました」
そして石原氏は短期間で売上を大きく伸ばし、事業部内の歴代最高記録を打ち立てた。
異業種での経験が「本当にやりたいこと」の気付きに
このまま経営陣に入り社を動かすことも視野に入ったが、人と同じ流れに乗らないのが石原氏。実績や日々の支援が評価され複数の企業から引き合いがある中で、石原氏は改めて、人材業界で候補者と向き合ってきた自身のキャリアを見つめ直した。
「自分がやりたいことは、挑戦者を応援すること、成長したいと強く願う人を支援することだと気付きました。その熱量をもつ人たちと共に働きたいと思い、スタートアップを支援するグロース上場企業の子会社創業メンバーとしてジョインしました」
しかし、このタイミングで自身のライフスタイルの変化もあり、リモートを活用しながら、家庭も仕事も同じ熱量でフルコミットできる会社への転職を検討するようになった。
そんなとき、人材紹介事業で寄り添ってくれた同僚から連絡があり、ポテンシャライトの代表、山根一城氏と会うことになった。
「ある日の夜、山根と会食をしました。その最中、山根が『娘の寝かしつけのために帰る』と言って本当に帰ったんです。僕にとっては、これがとてもポジティブな印象でした。ポテンシャライトの事業や山根の目指すゴールへの確かな共感と共に、家族を大事に、第一に考える人が代表の会社であれば、僕自身が大切にしたい仕事にも家庭にも手を抜かずやりきることができそうだと思いました」
入社すると、働き方は期待通りだった。ハードワークではあるが自由度は高く、家庭と仕事の両方に最大限コミットできる環境。石原氏はここでもめきめきと頭角を現した。現在は、個人売上目標設定を社内標準の2倍に設定して猛進中だ。
自分で見たもの、感じたものしか信じない
ポテンシャライトは、ベンチャー・スタートアップへの転職と人事を支援している。創業から8年経ち、さらなる業界・領域・地域への事業拡大を狙う変革期に入った。その変革の象徴の1つとして、石原氏は同社に参画した。これまでの経験を活かし売上の柱になることはもちろんだが、HR(Human Resources)業界のOS(構造)を変えるために、さまざまなチャレンジを仕掛けていくことも重要なミッションだ。
とはいえ、石原氏は売上を作りたいがために無理やり内定を決めることはない。「報酬額を上げるから人を紹介して」という誘いなどもってのほかだ。たとえ高額の案件であっても、CA・RAとして候補者と企業側の両方にとってのベストになる結果にこだわり、常に「本当にこの方向で合っているか」を確認しながら進める。
「売上を追うあまり、本当は止めたほうがいいと思うことをのみ込んで候補者を送り出すなんて、僕が介在する意味がありません。たとえ内定が出た段階でも、候補者の意向や性質と違う感じがあれば、違和感をうやむやにせず、正直に伝えています。候補者も、これを機に改めて企業について知る努力をするので、よい結果になることが多いです」
こんな実話があった。石原氏経由で1社、他社エージェント経由で1社進めている候補者がいた。決まれば高額の案件だ。候補者は優秀な人材だったため、どちらからも内定が出た。本来であれば自分が紹介した案件のクロージングをするべきだが、石原氏は候補者がしっくりきていないと感じた。そこで、候補者が本当は何を大切にしたいのか、どの選択が最善なのかを整理、結果として他社エージェントの求人のほうがフィットしていると判断した。それを率直に候補者へ伝えたところ、候補者は他社エージェントが推薦した企業へ入社した。
「僕は、自分で見たもの、感じたものしか信じません。自信を持って勧めるために誰よりも深く情報を収集し、候補者に信頼してもらえるよう、素早いレスポンスを心がけています」
もちろん、売上を無視しているわけではない。お客様ファーストの姿勢の裏で、売上目標を達成するための戦略は綿密に練っている。売上目標達成に必要な成約件数はもちろん、成約率から逆算して、実施すべきスカウトや面談の数も決める。これは、売上至上主義の現場を経験した過去からの習慣だ。
同時に、自発的に求人企業の新規開拓を担うなど、業務の幅を着々と広げる石原氏。未着手の領域を見つけると、その領域の重鎮にコンタクトをとって話を聞く。話してみて「自分がやりたいことと違う」と思うこともあるが、違うという結果も今後の糧になっている。
目標は「自律したプロフェッショナル集団の形成」
ポテンシャライトは、働き方を個々人の裁量に任せている。石原氏の場合、基本の勤務時間は10時から19時だが、石原氏は18時に退勤し、子供の夕食と風呂、寝かしつけの後、22時から仕事を再開する。メッセージの返信や情報収集などは、時間に関係なく行う。家族を大事にしながら仕事にも全力で向き合うには、これが最適な働き方だと石原氏は言う。
このように、自分を信じ自分にしかできない仕事術で結果をだしてきた石原氏は、自らを“わがまま”で“自己流”と分析している。些細な違和感が気になる性格は、相手のインサイトを見出すスキルとして役に立てているそうだ。
現在、石原氏は一緒に働く人材紹介部門のチームメンバーを探している。約10人を採用する予定だ。今後は領域やエリアを拡大するため、量・質・マインド三方よしで自走できる人材が理想と言う。
「この仕事は、誰かのためにやりたい気持ちが大事なので、特にマインドを重視します。そのマインドを、言われたから持つのではなく、自発的に自問自答して進められる人であれば、自ずといい方向に進むと思います。量と質は後からでも成長します。自律した人材が集まるプロフェッショナル集団を目指します」

