Column/News
2017.09.21
コラム
【コラム】トップコンサルタントへの道~育成編①
転職コンサルタントに求められるスキルとは?
転職エージェントにとって、優秀なコンサルタントをどう育成するかは、大きな関心事だろう。特にベンチャーでは、未経験でコンサルタントを採用したものの、どう育てたらいいかわからない、育成に時間やパワーを割けない、といった声をよく耳にする。 このコラムでは、転職コンサルタントに求められるスキルと身につけ方について、キャリアコンサルタントの立場から話していきたい。
優秀なコンサルタントには、求職者対応、企業対応、マッチングの3つについてそれぞれ求められるスキルがある。今回は、求職者対応の際に面談で使うスキルについて、考えていく。
まず、求職者対応について。求職者対応は転職エージェントの要であり、求められることも多い。中でも外せないのが、
●傾聴力
●引き出す力
●伝える力
●グリップ力
の4つだろう。
●傾聴力
“話に耳を傾ける”と言っても、ただ聞いていれば良いというわけではない。求職者が安心して話しやすい雰囲気を作り、適度な相槌を打ち、話を促してあげる必要がある。
そのために最も大切なのは、相手に興味を持ち、ポジティブな気持ちで接することだ。「この人は、こういうところが良くない」「この経験・スキルでは、紹介しづらい」など、ネガティブな点にばかり着目して聞いていると、必ず相手に伝わる。同様に、適当に聞き流しているのも、必ずバレる。
相手の目を見て、笑顔で話を聞くことで、安心感を与えつつ、相手の話に興味を持って臨もう。
●引き出す力
話を引き出すには、適宜質問を挟むことも大切だ。自分が気になることを聞くのではなく、相手の話を深く掘ることを心がけると良い。
転職エージェントの面談に同席すると、求職者が話している最中に、「そのプロジェクトの規模は?」「他に自分の強みと言えることはありますか?」など、質問を投げかける姿を見ることがある。これではまるで、”面談”はなく”面接”だ。
こちらの都合で相手の話を遮らず、相手が話し終わるまで待とう。その上で、「○○というプロジェクトに従事されていたのですね。お話を伺っておりますと、ここがキャリアの転機になられたようですね。プロジェクトを通じ、どんなことを感じ、学ばれましたか?」など、内省を深められる質問ができると、表面化していなかった思いや、本人も気づいていなかった強みが引き出せるかもしれない。
●伝える力
信頼関係が構築でき、求職者の話をしっかり聞けたら、次に求められるのは伝える力だ。
様々な求職者、クライアントである企業を見てきたからこその相場観と照らし合わせて、求職者の希望が現実的なものと言えるか、マーケットに求められていることとズレていないか、率直に伝え、期待値を調整したり、条件緩和してもらったりする必要がある。
傾聴が得意なタイプは、ハッキリ伝えるのを苦手とする人もいる。しかし、期待値や認識のズレは、後の不信感な繋がる。最初にしっかり擦り合わせておこう。
●グリップ力
転職を考えている求職者は、複数のエージェントにアプローチしたり、求人媒体などを用いて企業に直接アプローチしたりしている可能性も高い。他社ではなく自社で決めてもらうためには、しっかりと求職者のハートを掴んでおく必要がある。
求職者は、最も親身になってくれ、情報を隠さず教えてくれ、希望する業界や職種に強いところを選ぶ。得意とする業界や職種がズレていたら仕方がないが、コンサルタントの裁量いかんによって求職者を逃すのは、得策ではない。
他にどんなエージェントとコンタクトをとっているか、どんな話が進んでいるか、今後の転職活動をどう進めたいか、など、率直なところを聞き出せるか。信頼関係構築力が物を言う。
グリップ力に長けたコンサルタントの特徴の一つは、連絡がまめなこと。
例えば、「面接を調整しますので、日時候補を複数ください」と言われて提出し、そのまましばらくエージェントから連絡がない、という事態は起こりがちだ。
しかし、まめなコンサルタントは、企業サイドに打診したことを候補者に伝え、その時点で不可能な日時をリリースするなど、候補者思いのアクションが多い。
相手が親身になってくれているかは、候補者にとって嬉しいアクションの多寡で判断されることが多いため、重要なポイントだ。
次回のコラムでは、企業対応の際に求められる力について、解説する。
著者
【天田有美】
大手人材会社において、営業・人事教育・プロモーションに携わったのち、フリーランスとして独立。キャリアカウンセラー、ライター、チアダンスインストラクターの三足の草鞋を履く。一児の母。