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2017.10.06
コラム

【コラム】トップコンサルタントへの道~育成編②

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企業サイドに対応する時のスキルについて

転職エージェントに求められるスキルについて解説するこのコラム。前回は、求職者に対応する時に求められるスキルについて、キャリアコンサルタントの立場からお話ししてきた。今回は、企業サイドに対応する時のスキルについて、見ていこう。

クライアント企業への対応力は、転職エージェントの腕の見せ所だ。人事は、公募では実現できないことを転職エージェントに期待している。

●企業ニーズをしっかり理解している
●要件にマッチした人を推薦してくれる
●推薦件数が多い
●採用競合となる企業に持っていかれることなく、動機付けを助けてくれる

などが挙げられる。

介在価値を存分に発揮するために必要なスキルは、

●求める人物像の把握力
●スピード

の2点は不可欠だろう。

また、乱立する転職エージェントの中で生き残るためには、

●優先順位を上げてもらう力

も求められる。


●求める人物像の把握力

求職者に求めるものは、企業によって、部署によって、職種によって、大きく異なる。スキルや業界経験年数といったスペック面、人柄、企業文化や今後の方向性に合う指向性の持ち主か、といった人物面など、確認すべき項目は多岐に渡る。

自社採用の場合は、「机を並べて一緒に働くイメージがつくか」「後輩として育てられそうか」など、自分自身の尺度が使えるが、他社の場合は、そうとは限らない。時に、自分自身とは全く異なる価値観で判断しなくてはならない場合もある。
私自身、複数の会社の採用のお手伝いをしたことがあるが、最初の頃は、都度その会社の基準に頭を切り替えるのに苦労した。頭ではわかっていても、ついつい自分の価値観が頭をもたげる瞬間が出てきてしまい、自らを戒めていた。
クライアント企業の価値観をきちんと理解し、自分の価値観とは別の尺度を持っておく必要がある。

時に、現場とトップとで求める要件が異なる場合がある。即戦力を求める現場と、変革のための異能を求めるトップ、といったケースだ。こうしたケースでは、初期面接は突破するが、最終面接で落ちてしまい、なかなか決定に至らないことが続く。社内の認識が一致しているかも、要確認事項だ。

●スピード

人材紹介会社を使う場合、複数の会社に声がかかっていることが多い。採用活動は水物だ。魅力的な候補者をライバル会社に取られて、クライアント企業に紹介できなくなってしまう可能性もある。また、他社から良い人材の推薦が相次げば、募集ポジションがクローズされてしまうこともある。
そのような事態を防ぐために、スピード感を持って対応することは、非常に大切なスキルだ。
特に中途採用の場合、人が辞めたり、事業拡大が決まったりと、急遽募集がかかるケースも多い。取引先の中での新たな採用ニーズを掴み、営業をかけていくスピードも求められる。

●優先順位を上げてもらう力

クライアント企業が複数の人材紹介会社を使っている場合、その中でいかに優先順位を上げてもらえるか、マインドシェアを高められるか、という観点も大切だ。
クライアント企業との信頼が厚ければ、「〇〇さんの推薦する人なら」と優先的に時間を作ってもらえたり、 オープンにしていない職種についても、「良い人がいたら紹介してください」などと個別に声がかかる可能性も高い。候補者がボーダーラインだった場合、候補者との面接の後、追ってエージェントがフォローすることで、「〇〇さんがそう言うなら、もう一度会ってみましょう」と次の選考に繋がる場合もある。

過去に、エージェントを通じて採用のお手伝いをした時に、推薦した候補者がダメだった理由が書かれていなかったので、別途問い合わせの電話を入れたところ、「忙しい」と煙たがられたことがある。しかし、関係性のできている別の営業担当が連絡を入れた時には、すんなり教えてもらうことができた。
信頼関係の有無がもたらす影響について、見せつけられた瞬間だった。優先順位を上げてもらうためには、地道な仕事ぶりと信頼関係構築が不可欠だ。


 次回のコラムでは、マッチングの際に求められる力について、解説する。

 

著者

【天田有美】
大手人材会社において、営業・人事教育・プロモーションに携わったのち、フリーランスとして独立。キャリアカウンセラー、ライター、チアダンスインストラクターの三足の草鞋を履く。一児の母。