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目指すは全員活躍。個人の強みを活かした組織のつくり方
目指すは全員活躍。個人の強みを活かした組織のつくり方

※本記事はPORTERS MAGAZINE Agent Vol.42掲載記事です。
年間3000社ペースで増加している人材紹介会社。市場競争で優位に立つには、優秀な人材育成と組織の構築が急務だ。人材育成を通じて組織力の強化支援を行う株式会社Matka(マトカ)の代表取締役である中野祥子氏に、具体的な手法について聞いた。
人が育つ組織の共通点は
現在、当社「Matka」は人材紹介事業社様の事業戦略や人材育成の支援事業を展開していますが、2020年の創業当初は、キャリアプランニングやコミュニケーション研修の支援を事業軸にしていました。研修内容を決めるにあたり企業と打ち合わせをする中で、「せっかく研修しても、人が育つ組織でなければ成果がでにくい」と感じたため、事業戦略の段階から関わることにしました。
私が考える「人が育つ組織」は、全員が自分らしく活躍できる環境です。それぞれが個性を持ち寄って掛け合わせながら高めていく組織は、人が育ちやすく、離職も減ります。ただ、言うのは簡単でも実践は難しく、だからこそ当社の支援が求められるのだと思います。事実、当社が支援し、実践し始めた企業は、CA(キャリアアドバイザー)・RA(リクルーティングアドバイザー)の成績が著しく向上し、組織力を強化できています。
個々人が自分らしさを活かして活躍できる組織づくりに必要なのは、ビジョンやミッションの共有と、業務に大切なポイントの言語化、仕組み化です。売上目標やKPIに向かって「とにかく数をこなせ!」と頭ごなしに言うのではなく、実際に面談で必ず聞く項目や効果的な推薦文の書き方などを細かく言語化し、その通りにやれば成功率が上がるマニュアルを作ります。マニュアルを繰り返して成功体験を積み重ねるうち、自分がやりやすい戦術が生まれ、業績が上がり、自信になります。以前、某人材サービス会社の依頼で、常に下位10%の成績のCAに同様の手順で研修をしたところ、成績がトップクラスに上がった実例がありました。そのCAは、やる気はあるけれどやり方が分からなかっただけだったのです。
業務の質向上には仕組み化が欠かせない
個人の活躍には、所属する企業の市場における競争優位性も関わります。人材紹介事業者数は、2022年の2万8,000社から23年には3万1,000社と、たった1年間で約3,000社も増加しています。求人プラットフォームで誰もが情報入手できるいま、有料の人材紹介サービスは、それなりの差別化がなければ求められなくなります。それにもかかわらず、戦略と戦術が言語化されておらず、KPIさえない会社は少なくありません。KPIがあったとしても、設定する数値にとらわれず、質も担保する必要があります。
当社では、戦略の壁打ちに始まり、戦術の成果を計るためにKPIを設定し、それを仕組み化するまでをサポートし、実行して結果がでるまでCA・RAに併走します。ポーターズのようなシステムで入手したデータも活用して、次の戦術やKPI設定に役立てています。また、仕組み化のノウハウを伝えて終わりではなく、結果にコミットするまでを目標とする旨、お客様にも話しています。
ともに目標達成を目指すとなると、目先のテクニックだけでなく、戦略の再検討をする場面にも立ちあいます。
これまで支援した企業様の中には、創業時メンバー3人からスタートし、1年後には30人になったケースもあります。当社のコンサルタントはすべて人材業界経験者で、起業や事業部長に関わった人も多いので、幅広い領域や企業規模などに合わせた支援が可能です。
セールスイネーブルメントの高度化を支援
このようなセールスイネーブルメント(営業組織の人材の育成・改善に向けた取り組み)の強化は、人材紹介業界全体の課題と考えます。現状、多くの紹介会社様が「数字の把握」はできていても、「課題設定→真因の特定→改善アクションの実行」という流れの仕組み化まで実践できていないと感じます。ポーターズ等のデータ活用と育成の両面からセールスイネーブルメントを高度化させていくことが業界全体の成長につながると信じ、これからも支援を続けます。
当社のサービスは、事業会社の自社採用にも応用できます。これまで採用を外注してきた企業にはノウハウがなく、うまく成果が出せない現状があり、採用してもすぐに離職してしまうケースが散見されます。これには必ず何かしらの原因があり、対策が可能です。この点にも、当社のノウハウが活かせると考えています。
Matkaのビジョンは、「人の可能性を最大化し、生きがいあふれる社会を実現すること」です。ビジョンの原点には、私自身の社会人1年目での経験があります。適正がない職種に配属され、なかなか成果が出せずに自信を失っていた私は、部署異動により自分の強みを発揮できる仕事に出合えたことが、人生の転機になりました。それが、人と組織に関わることができる人材紹介、そして採用コンサルタントでした。この経験から、「人は、自分の強みが活かされ、想いに共感できる環境に身を置くことで、生きがいを感じながら働ける」と実感しました。
今後も、このビジョンの実現に向けて引き続きお客様に伴走し、成果創出に直結する支援をおこなっていきたいと考えています。加えて、これまで培ってきたマッチングや育成のノウハウを事業会社の採用にも展開し、より多くの人が「自分らしく働ける環境」と出合えるよう、支援の輪を広げていきたいと思います。