Column/News
“ヒト”に関わるビジネスへの想い
パーソルR&D株式会社 代表取締役社長 宮村幹夫
ものづくりから人づくりへ社員の成長にコミットしたい
パーソルグループの機械・電気・電子・ソフト分野において、開発全般を行っているパーソルR&D。ものづくり企業として、技術面からパーソルグループを支えている。そんな同社の宮村社長が、グループ入りした経緯から、人材ビジネスに携わることで受けた影響や学び、社員育成に対する思いの変化などを語った。
技術者集団としてグループの力に
まず人材ビジネスに関わるようになった経緯を教えてください。
現在、私が社長をしているパーソルR&Dは、今年2017年4月に日本テクシードとDRDという2社が統合して生まれた会社です。私は、元々DRDの親会社であった商用車メーカーで役員をしていたのですが、その際、DRDを社外に出す話が出ました。私は、そのまとめ役に自ら手を挙げました。話がまとまらなければ人員を整理することになる可能性が高く、一緒に働いてきた仲間を失いたくない ― その想いが強かったからです。結果、人員削減や社員自らの離職も防ぐことができ、さらには、パーソルグループの傘下に加わることができたのです。それが人材ビジネスに関わるきっかけですね。
ものづくり企業でありながら、人材ビジネス会社のグループに入ることに、 抵抗はありませんでしたか。
社員には大いに抵抗や不安があったと思います。しかし、人材ビジネスが中心のパーソルグループの中の、私たちのような技術者集団の存在が、トータルでグループの強みになるのだと思っていました。また、このグループは現場に裁量を与え、結果をきちんと出せば自分達のやりたいことをさせてくれます。グループの中で技術を磨き、存在意義を示していこうという思いだったので、私自身には抵抗はありませんでしたね。当時の社員に対しても、「パーソルグループ入りすれば可能性が広がり、社員もその家族も幸せになる。新しい一歩を踏み出そう」と訴え続けたところ、辞める社員はいませんでした。
目線を内から外へ向ける
業態が大きく変わったわけなのですが、どのような違いを感じましたか。
以前の私たちはものづくり企業の一員でした。一番大事にしていたことは、良いものをつくることで、社員を育てることより優先している面がありました。しかし、パーソルグループは、社員の成長を最優先にしていると感じました。言葉だけでなく、本当に心からコミットしているのです。それを学んでからは、私たちもものづくりから人づくりへ転換し、成長していこうと、ことあるごとに社員に伝えていますね。 また、目線が外に向いているか、中に向いているかという違いも感じました。ものづくりは、全ての工程がきちんと機能していないと、いい製品が作れません。そのため、内部の管理や調整にどうしても目が行きがちです。しかし人材ビジネスでは、常に外へ目線を向けて、あらゆる情報を取りに行っています。そうしなければ生き残っていけません。この姿勢は私たちも見習うようにしていますね。
これまでに影響を受けた出来事があれば教えてください。
私は学生時代から麻雀が好きで、麻雀関連の本もたくさん読んできました。その中で、桜井章一さんという雀士の本に影響を受けました。麻雀のことはほぼ書いておらず、いかにツキを呼び寄せるかが中心的な内容です。例えば、「勝負に強い人とは、変化に人一倍対応できる人のこと」と桜井さんは言っています。自然界において、一つのことに集中することは非常に危険です。自分を中心に、360度神経を張り巡らせることが必要だというのです。会社経営も同じだということを学びましたね。
また、ツいていない状態から抜け出すには、変化を発見しなければいけません。そのためには、違和感を大切にすること。例えば人から話を聞いて、違和感があったとき、たどっていけば論理が破たんしていることに気付きます。それを習慣にすると、人がこういっているから、これまではこうだったから、ではなく、自分の頭で考える能力が付きます。そうすれば失敗しなくなくなり、ツキもやって来るのです。
社員の喜ぶ顔や驚く顔を見たい
宮村社長が経営者として大事にしていることは何でしょう。
会社にとっては、売上や利益はもちろんですが、人も同じように大事です。社員が高いモチベーションを持って目標に向かい、成長を実感しながら働ける状態を作れば、自然と結果はついてきます。そしてその利益を、社員に還元することを心がけていますね。そんな環境づくりを経営者が意識できれば、会社はうまくいきますし、社員も幸せになるでしょう。
社員に満足して働いてもらうために、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
社員の喜ぶ顔や驚く顔を見るために、常にアイディアを出していますね。それも小さなことではなく、大きなことをしようと常に考えています。経営もその延長線上で、社員同様、お客様の喜びや驚きを第一に考えて行っていますね。
今後はどのようなビジョンを描いているのでしょうか。
ものづくりから人づくりへ変化し、グループ全体として、人を成長させることに関わっていきます。そしてパーソルグループのビジョンである「人と組織の成長創造インフラへ」を実現していきたいですね。
ありがとうございました。最後に人材ビジネスへ携わっている方たちへメッセージをお願いします。
目の前のことを一生懸命行い、日々を積み上げていってください。そのときに疑問が生まれたら、自身が納得し、腹落ちするまで考え抜くことです。その場でなくても構わないので、後で必ず調べたり、考えたりして解決させる。そうして過ごした10年とそうでない10年とでは、まったく異なる成長を遂げているはずです。
企業情報
パーソルR&D株式会社
愛知県名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパークビジネスセンタービル20FTel.052-242-9001
https://www.persol-rd.co.jp/
パーソルグループのエンジニアリング事業の中核会社。自動車など輸送機器関連業界において、オンサイト・オフサイトでの設計・実験の受託開発、開発関連のプロジェクトマネジメント、コンサルティングサービスをはじめ、技術者派遣サービスなどを展開している。
プロフィール
宮村幹夫(みやむら・みきお)
1954年 神奈川県生まれ1977年 日産ディーゼル工業(株) 入社 ※現UDトラックス(株)
2008年 UDトラックス(株)/Volvo社 技術、ストラテジーの専務取締役/SVPを歴任
2012年 (株)DRD 代表取締役社長 就任
2014年 (株)日本テクシード 取締役 就任
2015年 (株)日本テクシード 代表取締役社長 就任 ※現パーソルR&D(株)
趣味は、テニス、ゴルフ、麻雀、将棋