Column/News

2017.02.28
インタビュー

“ヒト”に関わるビジネスへの想い

株式会社ビースタイル 代表取締役社長 増村一郎

株式会社ビースタイル 代表取締役社長 増村一郎

人や社会を豊かで幸せに全ての会社はそのために存在する

時代に合わせた価値を創造する—。そんな経営理念を掲げ、あらゆる世代・状況の女性に人材サービスを提供しているビースタイル。その根底にあるのは、「人や社会を豊かで幸せにしたい」という実直な思いだ。リーマンショックを乗り越えて訪れた思いや行動の変化、目指すビジョン、そして人材ビジネスがいかに尊い仕事であるか、増村社長が語った。

全ての行動に意味付けし経営理念に繋がるよう習慣化

最初に増村社長が人材ビジネスに関わった経緯を教えてください。

大学3年生から4年生にかけて、人材派遣会社で営業のアルバイトをしていました。企業を訪問すると人事責任者が、人材の採用や活用について話してくださって。企業が成長するために、人材は絶対に必要な資産だと気づき、人材ビジネスは大事な仕事だと認識するようになりました。楽しくて仕方なく、飛び込み営業で一日200件くらい回っていましたね。学生だと気づかれると信用が下がると思い、バイト代で買った指輪をはめて、「新婚なんです」と言ったりして(笑)。卒業後は地元の銀行に就職したのですが、人材ビジネスへの思いが消えず、テンプスタッフに転職しました。

テンプスタッフに入社して、キャリアを積んでいったのですね。

はい。体系的な教育を受けたり、顧客とのコミュニケーションを通じて能力を高めていったりしましたが、最も大きかったのは「経営理念」を認識したことです。理念とは、どの会社にもある普遍的な存在意義。そう気づいてからは、日々の行動に意味付けし、一挙手一投足が理念に繋がるよう習慣化しましたね。

そのように充実した日々から、退職されてビースタイルを立ち上げた経緯を教えてください。

もっと既婚女性の雇用促進をしたいと思って起業したのです。少子高齢化に伴って減少する労働力を担保するには、制約があって働けない方に復帰してもらうほかありません。つまり既婚女性の活用です。彼女たちが働くことで消費の起爆剤にもなりますし、仕事を通じて人格やスキルを高めれば、次世代を担う子どもたちにもより良い教育を施せる。仕事と家庭が両立できる環境をつくることで少子化の直接的な緩和策となる。国策と呼べるくらい良いことづくめですし、このビジネスをやるべき、いや、やっていかなければいけないと決意しました。

全ては社員の幸せのため思いも財務もガラス張りに

会社を立ち上げてから直面した、一番の難局はどんな場面ですか。

2008年のリーマンショックですね。2009年を迎えて半年ほどで、稼働中の案件の3分の1が終了。何十人ものパートを整理解雇せざるを得なくなったのです。雇用を生み出す会社なのに、雇用を減らしてしまったことに猛省しましたね。私が経営者に必要なスキルや、人を雇用するという心構えを持っていれば、こんな状況にならなかったはずだと。それからは経営者に必要なメンタリティやスキル、人格を学習し、ぶれない軸を作るための行動やアウトプットをし続けました。また、これまでの価値観や志向性を全て変えるために、ひたすら自分に向き合いましたね。

そこからは順調に業績を伸ばしていったのでしょうか。

そうですね。リーマンショックの影響は2009年6~7月で下げ止まりました。マーケットは冷えたままでしたが、2010年に再出発を誓い、財務を全てガラス張りにしようと決意しました。BSやPLを全て開示し、数字の意味や見方も社員に説明。借入金やキャッシュフロー表も共有しました。メンバーとも頻繁に話す機会をつくり、思っていることを話すようにしていきました。みんなにも葛藤があったと思いますが、付いてきてくれたんです。解雇したにも関わらず、戻ってきてくれた方もいる。これはもう、一生懸命やるしかないと。社員からは「ビースタイルと出会えてよかった」と思ってもらえる。そして僕たちは、社員の人生を幸せにする。そんなゴールを目指して日々進んでいます。

売り上げだけを目指すのではなく追求するのは顧客満足

ビースタイルの今後のビジョンを教えてください。

ビースタイルがあってよかった、と言われたいですね。会社は、人と社会を豊かに幸せにするために存在します。経営者も同じ。それこそが本当の社会インフラで、全ての会社や経営者はそんな思いを持つべきだと思っています。僕たちも、弊社の経営理念である「時代に合わせた価値を創造する」ことで、人や社会に貢献し続けていきます。

理念や思いを大事にしつつ、企業であるからには売上げも立てる必要があります。その両立はどのように行っているのでしょう。

矛盾だと思ったことはないです。僕たちがしているのは、社会の困りごとを解決すること。価値交換としてもらうのは貨幣ですが、実は「ありがとう」という感謝をいただいているんです。なので僕は社員に対し、顧客満足を追求しなさいと伝えています。売上を追うのではない、感謝していただければ結果的に売上げも付いてくると。たくさんの「ありがとう」が集まれば、より多くの困りごとを解決するために新しい価値を生み出せますし、社員にも還元できます。また税金として社会に還元し、社会保障に使っていただける。本当に良い循環を生み出せるんです。

ありがとうございました。最後に人材業界で働く方へメッセージをお願いします。

仕事を通じて人は成長し、社会も発展します。雇用を生み出すこの仕事は本当に社会的意義がありますし、志なく取り組んで良いものではない。人材ビジネスに携わっていることに、誇りと喜びを感じていただきたいですね。そして日々の業務の端々にその誇りと喜びを見出して、常に味わっていて欲しい。お酒の席でちょこちょこ肴をつまむかのように(笑)。すると日々の仕事風景が変わって見えてきて、その景色があなたを通して仲間や友達にも広がっていくはずです。辛く苦しいときもあると思いますが、斜めに構えるのではなく、目先にとらわれるのでもなく、この仕事のもっと先につながっている意味、人間や社会の幸せや人のために生きることの意義についても考えてみてください。全ての人がそうすれば、世界はもっと平和で幸せになっていくでしょう。私たちはそんな想いをかき集めて会社を一兆円スケールの規模に育てたいという夢を持っています。これからもそんな想いを発信し、行動で示し続けたいきたいと思っています。

企業情報

増村一郎(ますむら・いちろう)

東京都新宿区新宿4-3-17 FORECAST新宿SOUTH 5F・7F
Tel.03-5363-4400
https://www.bstylegroup.co.jp/
2002年7月創業。2002年の創業以来、 働きたい主婦に対して就業支援を行って参りました。 約15年間で生み出した主婦の雇用数はのべ6万人。 女性がそれぞれの価値観、 ライフスタイルに合わせて働ける社会の実現に向け、 派遣・在宅・エグゼクティブなど、 様々な『しゅふJOBサービス』を提供している。

プロフィール

増村一郎(ますむら・いちろう)

1971年東京都生まれ。東海大学卒。1994年、株式会社東日本銀行入行。1997年、テンプスタッフ株式会社入社。2002年、株式会社ビースタイル設立 取締役副社長就任。2014年、代表取締役就任。2016年、日本人材派遣協会理事就任。趣味はゴルフ・バスケット・釣り。