キャリア開発を通じて届ける
“一人ひとり”に“生涯”寄り添うサービス

人財紹介ブランドの刷新、キャリアコーチ制度の導入など、2016年からスタートした中期事業計画に基づき、さまざまな取り組みを行っているアデコ。2018年を迎え、成果の振り返りと現状を川崎社長に伺った。求職者のキャリア開発に注力する背景や、高いパフォーマンスを生み出す組織づくりの秘訣など、多岐に渡り語ってくださったリーダーの言葉を紹介する。

技術者派遣と人財紹介を成長領域に

御社は2016年から、キャリア開発を軸とした5ヶ年の中期経営計画に取り組んでいます。2018年1月現在、手応えや進捗状況はいかがでしょうか。

弊社の主な事業領域は、事務系を中心とした一般派遣(ジェネラルスタッフィング)と技術者派遣(プロフェッショナルスタッフィング)から成る「人財派遣」、Spring Professionalブランドで展開する「人財紹介」、事務やコールセンターなどの業務を請け負う「アウトソーシング」、そして人事関連のソリューションを提供する「人事支援サービス」の4つです。中期事業計画では、特に「プロフェッショナルスタッフィング」と「人財紹介」を成長領域と捉え、積極投資を行っています。中期事業計画で掲げているビジョンは、「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる」。その実現のための基盤は着実に固まりつつありますが、折り返しとなる2018年は、自他ともに認められるような成果を出したいと思っています。 

積極投資を行っている2つの事業領域は、具体的にどのような戦略で成長させているのでしょう。

「Spring Professional」では、クライアント・キャンディデイトそれぞれのNPS(※)を重視しています。その数字をもとに業務改善していき、現在は年を追うごとに数値が向上しています。「2018年 オリコン顧客満足度ランキング」では1位にも選ばれました。しかし、これで満足することなく、引き続き人財と企業のベストマッチを追求していきます。「プロフェッショナルスタッフィング」は、エンジニアの育成に注力しています。技術者人材は不足していますが、弊社には国内トップクラスの研修施設やプログラムがあります。そのため経験値が浅い方でも、エンジニアとして育成し、配属先でも活躍できています。
※ネットプロモータースコア:顧客ロイヤルティを測る指標

人生100年時代だからこそキャリアコーチが求められる

「ジェネラルスタッフィング」では、どのような戦略があるのですか。

一定規模のある「ジェネラルスタッフィング」領域では、差別化戦略の一つとして、スタッフにキャリアコンサルティングやコーチングを行う「キャリアコーチ制度」を導入しています。首都圏からスタートしたこの取り組みも、今年は国内の主要拠点へと広げる予定です。一人ひとりの能力開発に資するコーチングをすることで、スタッフは業務にやりがいを感じることができ、それによって生産性が向上する。結果的に企業の業績へと貢献することになるのです。実際、キャリアコーチの導入後は、リピート率が見違えるほど上がりましたね。人材業界の専門誌による派遣社員の方を対象にした調査でも、「再就業率」で弊社が一位をいただきました。

キャリアコーチの導入を決めた背景を教えてください。

弊社は派遣社員一人ひとりのキャリアを生涯導くことを目指しています。人生100年時代を迎え、学び直しや老後の人生設計の変更などが必要になってきています。また、労働人口が減少する中、働き手や仕事の担い手を確保し、生産性も高めなくてはなりません。人財サービス会社には、これまで以上に長い期間、キャリアの伴走者として働く方々を支援することが求められます。そんな背景から、キャリアコーチ制度の導入を決めました。

自社社員の教育や育成においては、注力されている取り組みなどありますか。

弊社の従業員はあまたある産業の中で、人財サービスを選んだ人たちです。根底に「人が好き」「人の役に立ちたい」という思いを持っている。ですので、仕事を通じて得られるやりがいを、常に感じられる企業であることを目指しています。人財サービスの本当の喜びを実現できるよう、マネジメント体制の整備や人事制度の進化といった組織づくりに注力しています。

社員の自立がハイパフォーマンスチームを育てる

どのようなマネジメント体制や人事制度を導入されたのでしょう。

我々経営陣が目指すのは、ハイパフォーマンスチームの育成です。サッカーに例えると、全員がフォワードでは試合に勝てません。一人ひとりの能力や特性をつかみ、適材適所を追及して、チーム全体で業務を行うことが大事です。それをマネージャーが理解し、能力を引き出して、やりがいを感じてもらうようなマネジメントが必要です。評価制度も、得点を決めた人だけの処遇を上げるのではなく、チームとしての成果を評価しなくてはいけません。そういった考えに基づいて人事制度や教育制度を設計しています。こういった制度の導入後、社員の満足度を測る指標のポイントが大幅に上がりました。

社員を信頼するという風土を醸成される中で、KPI設定など業務の管理や進め方も、現場に委譲しているのでしょうか。

はい。会社としての中期事業計画はありますが、市場の状況や我々の成熟度合いは毎年変わります。事業責任者と部下が議論し、その年に合ったキーサクセスファクターを決め、事業部門が主導で戦略やKPIを決めていきます。ハイパフォーマンスチームが生まれるカルチャーづくりには、社員が自律して活躍できる組織が必要です。その中で成長し、壁にぶつかり、突破してさらに強いチームになっていくのです。

また、成功するか分からないアイディアでも、信頼して任せることが大事です。チャレンジして失敗したら、その責任は我々が負う。それが経営陣の役割だと思っています。失敗しても、そこから得た学びや、信頼して任せてくれた上司の姿を見て、次は必ず成功させようとなります。そしてハイパフォーマーが生まれるのです。そのための仕組みや仕掛けを、今後も積極的に取り入れていきます。