2018.4.18(水)
ポーターズ株式会社 セミナールーム 開催
外資系人材紹介会社、ヘッドハンティング、エクゼクティブサーチの従事者向けに人材ビジネスにおける業務効率化セミナーが開催された。AIを活用したレジュメファイル取込 × 複数媒体からの応募者自動取込といった2つの新サービスをリリースしたポーターズ社、レジュメ取り込みソリューションに構文解析エンジンを提供しているDaXtra社、そして媒体側の代表としてキャリアクロス社それぞれの代表者が登壇した。
まずはポーターズ社のレオ氏が、複数媒体からの求職者自動取込ソリューション「PORTERS IMEX(以下IMEX)」について説明。同サービスを導入することで、媒体から応募があった求職者データを自動処理できる。
また、求職者の年収や経験職種など分類して格納できるため、検索やマッチングがしやすくなる。各媒体からの応募数や成約数、費用対効果も一目で把握可能。昨年10月にリリースして、すでに十数社が利用している。
導入ユーザーからの声として、「ただデータを取り込めるだけでなく、スカウトに返信があった求職者、応募のあった求職者を分類することで、転職意欲の高い求職者のDBをつくれる。そこへスカウトを送ることで、返信率が上がっている」と紹介した。
現在、国内の主要な紹介の媒体にはほぼ対応しているIMEX。派遣会社のニーズにも応えるため、今後は派遣の媒体への対応も強化していく予定だ。
続いて、レジュメ取り込みソリューション「PORTERS IMEX CV-Parsing(以下CV-Parsing)」の紹介へ。
同サービスは、海外の人材紹介会社からのニーズも高いとレオ氏。その理由として、東南アジアの紹介フィーは平均20%、インドでは8%~30%と、日本と比べて著しく低い。そのため、利益を出すためには多くの求職者とやり取りする必要がある。ただでさえ労働人口が増えている東南アジアにおいて、レジュメ処理にかかる工数の多さが課題となっている。
「タイの日系紹介会社は、一つの媒体から毎月5000人の応募が来る。そのデータをシステムに入れるだけで、専任担当が3人必要になります。インドの人材紹介会社は、案件をポストすると1日に1000人、場合によって4000人の応募が来る。その履歴書をいかに処理するか、相談されることが増えています」(レオ氏)
CV-Parsingの導入のメリットとして、「取り込み作業の軽減」「高い精度の取り込み」「36か国語に対応可能」とレオ氏は説明。レジュメのパーシング(構文解析)に特化した製品は、日本ではあまり普及していないが、海外では一般的だという。
しかし海外製品では、名前や性別、電話番号やメールアドレスなどの基本情報しかパーシングできず、それ以外の情報は手動で読み込ませる必要があるものも多い。一方、CV-Parsingは基本情報をはじめ、経歴、学歴、言語レベルまで高い精度で取り込むことができ、UI・UXも日本の人材紹介にフィットしているとレオ氏は話した。
続いて、CV-Parsingで使われている構文解析エンジンを開発した、DaXtra Technologies Japan合同会社の代表・矢野広一氏が登壇。ロンドンに本社を持つ同社は、レジュメの自動取り込み・解析に特化したツールを提供している。ユーザーは世界に約1600社あり、9割以上が人材サービス会社だという。
「弊社のプロダクトは一枚のレジュメから個人情報や職務経歴などに加え、経験やスキルなど平均150の項目を瞬時に読み取ります。対応言語は英語、日本語、中国語、韓国語、タイ語など36言語。CRMは世界400社との実績があります。また全世界で月間7000万枚のレジュメを読み取っており、そこで得たナレッジをAIや機械学習に反映し、精度を常に高めています」(矢野氏)
CV-Parsingの導入によって、検索の効果も高くなると矢野氏。「技術」「エンジニア」といった不十分なキーワードで検索すると、「〇〇エンジニア株式会社」という会社の経理募集の案件もヒットしてしまう。しかし同社のエンジンの場合、スキルはスキル、経験は経験といった風に構造化されているため、社名は除外され、効率的に検索できるのだ。
セキュリティの観点からもメリットは大きい。候補者から送られてきたワードやエクセルのファイルは、ウイルスに感染しているリスクがある。しかし、CV-Parsingを通じてDBに取り込むことで、保護された状態で情報を扱うことができる。
最後に登壇したのは、日本最大級のバイリンガル転職サイトである、キャリアクロスのクリスチャン・モセル取締役。
IMEXについて、多言語対応が可能なインターフェースも使いやすいとモセル氏は絶賛した。
また、同社はIMEXの媒体側であり、IMEXを導入するメリットとして、レジュメの自動処理による工数負担のほか、応募者がどの媒体経由でエントリーしたか把握できることなどを挙げた。
IMEXは現在提供中。CV-Parsingは5月15日にベータ版をリリース予定。当初、パーシングが可能なのは1ファイルずつだが、ゆくゆくは複数ファイルを同時に取り込めるよう改良予定。また、求職者からメールで送られてきたファイルをメールで転送することによりパースできる機能や、UX・UIの改良も随時行っていくという。