Column/News

2024.07.16
コラム

外部人材がもたらす事業変革

~RPA活用立ち上げ支援による業務効率改善~

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《派遣企業》パーソルテンプスタッフ株式会社
《クライアント》あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

写真左から パーソルテンプスタッフ株式会社 RPA営業推進課 大村氏(本プロジェクト PMO)、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 竹内氏・吉田氏・中島氏・平岡氏、 パーソルテンプスタッフ株式会社 RPA営業推進課 小野田氏(マネージャー/事業責任者)
 

自動車などの事故や火災といった不測の事態によって起こる損害に対し、保険金を支払う保険事業を展開するあいおいニッセイ同和損害保険株式会社では、昨年大幅な業務効率改善に成功したが、パーソルテンプスタッフの存在が欠かせなかったという。その舞台裏について詳しく話を伺った。


あいおいニッセイ同和損害保険の課題

 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社では、本社部門の要員に対して業務量が大きく、業務効率化推進は待ったなしの状況だった。しかし、「費用がかかること」「開発の難易度が高いこと」から既に導入しているRPAツールでは各部署で発生する個々の業務に対する業務改善に対応することが難しい状況だった。そこで、ノーコードで対応できるPAD(PowerAutomate Desktop)の活用検討が始まった。はじめは、Excelなど一般的なOAスキルを持つ人材を派遣してもらい、自社でRPAツールの教育をおこなった後、「開発スキル人材」として本社部門に配置することを検討していた。そこで複数社の派遣会社に派遣スタッフを数十名規模で派遣してもらうことは可能かという相談をしていた。

パーソルテンプスタッフの提案

 パーソルテンプスタッフ小野田様(以下、小野田) 詳細を聞いていくと、業務自動化を図りたい部署が約30部署あることがわかりました。そこで、RPAの運用や業務改善に対応する人材派遣サービス「RPAアソシエイツ」を提案しました。単にサービスの提案をするだけではなく、「各部署にどのようなスキルセットの人材を、どのような配置にすることで業務効率化に繋げられ、成果を出せるか」というところまで考え、最善の提案内容を考えました。  あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の吉田様は、「業務自動化に向けたチーム体制構築から、派遣スタッフに対するPADに関する研修対応、PADによる実開発およびその運用まで一気通貫で対応するといったご提案があり非常に驚いた」と共に、「一緒に業務改善を進められるパートナーを見つけた!」と思い、依頼を即決したという。

約30名規模で進めるプロジェクトのサポート体制

小野田「RPAアソシエイツ」で業務効率改善の実績はこれまでも多くありましたが、業務自動化を約30名で一気に進めるというのは新たなチャレンジでした。まず、就業いただく派遣スタッフには、就業開始前にパーソルテンプスタッフ内でオリエンテーションをおこない、自己紹介や就業部署のミッションを共有しました。また、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様の業務や自動化への取り組みにあわせて研修プログラムを作成・実施し、業務効率化の推進ができるよう対応しました。

 実際に就業が始まってからは、1部署に1名ずつ配置し、業務を行っている社員に「RPAツール開発候補業務のヒアリング」を実施、RPA開発による自動化を進めました。ツールそのものの説明だけでなく、どのように動くのか実際の画面を共有することで活用イメージを具体化することができ、自動化が実現しました。

 具体的には、人事部門の社員が対応していた業務で勤怠未承認アラート勤怠システムからダウンロードしたデータを、Excelで加工しリストを作成、フォルダに保存、リストに記載の対象者アドレスにメールを送信するという一連の工程を自動化したり、営業部門で行っていた日次実績集計業務について、複数のシステムからダウンロードしたデータをExcelで統合・集計しグラフを作成、関係者へ送信する数値メールを作成・下書きして保存するという業務をRPAで自動化しています。社員の方が一連の作業として繰り返し対応している業務を自動化によって効率化しています。

 プロジェクト体制としては、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様の業務プロセス改革部が全体を取りまとめ、各部署から「推進担当」を選出していただきました。パーソルテンプスタッフからは大村がプロジェクトのPMO的な立ち位置で参画。各部署に派遣スタッフを配置しました。派遣スタッフは5名程度でチームを構成し、チームリーダーを割り当てて情報の連携を促進できるよう体制を構築しました。また、週次でプロジェクトミーティングを実施し、開発進捗状況や運営面の課題解決をおこない、プロジェクトを円滑に進めることができました。

 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の吉田様からは、「派遣スタッフの皆さんは、何事にも能動的に対応されていて、コミュニケーション能力も高く、派遣スタッフ同士でも積極的にコミュニケーションをとっていたため、質問事項についても、一度確認した内容は派遣スタッフ同士で共有されていたので、何度も同じ回答をするといったことはなく、とても助かりました。」とフィードバックを受けております。

 プロジェクトは終了しましたが、250を超える業務に対してRPAによる自動化が実現でき、本社部門で600人が業務でRPAツールを活用されていると伺っております。

 プロジェクト開始当初に設定した、業務時間の削減目標は無事に達成することができました。「RPAアソシエイツ」の派遣スタッフが派遣先の社員と一緒に自動化を進めたことで、RPAツールの活用イメージがつくとともに内容理解にもつながり、その結果、専門的な知識・経験がなくても習得できるということが社員にも浸透、意識改革までできたようです。

事業立ち上げの想いと背景

小野田 「RPAアソシエイツ」は、事務スキルを持つ当社派遣スタッフにRPA活用のスキル・業務改善に関するトレーニングを行い、就業先で業務の効率化を推進できる人材です。

 当社の派遣スタッフの平均年齢は40歳前後なのですが、事務派遣スタッフとして長年就業しているとその先のキャリアをイメージし辛いんです。また、テクノロジーの進歩によって自分たちの仕事がなくなってしまうのではないか、事務職では手に職がないのではないかと不安に感じている派遣スタッフを数多く見てきました。

 私はこの派遣事業に携わる中で、ずっと派遣スタッフの方々に助けらてれきたので、何か恩返しをしたいと考えていました。そんな中、RPAの活用が世の中で注目されるようになり、市場が広がっていくときに、さまざまな企業で就業経験がある派遣スタッフがRPAツールを使って業務効率化を推進できるのはないかと考え、RPA事業の立ち上げを提案しました。

 この事業展開をおこなう上で欠かせないのが、RPA人材の育成ですが、1つだけ拘った点があります。それは希望者を募り、有料で研修を提供するという点です。研修は約1ヶ月、1日6時間、みっちり受講いただく相当ハードなものです。そのため、本人の意思を問うという意味でも有料にしました。研修は、「RPAとは何か」というものから始めますが、最終的には会社で担当している業務を自動化できる、実装できるというところまで育成をします。

 加えて、派遣先において難易度の高い技術が必要となったときにスタッフが困らないよう、RPAアソシエイツチーム専用の技術支援のヘルプデスクを用意することで、スタッフも派遣先も自信を持って活躍できるよう伴走しています。

 派遣スタッフは複数社で就業を経験しており、同じ職種でも異なる業務の進め方を経験していることが多いです。その経験値とRPA開発スキルを掛け合わせることで、より多くの企業の業務効率改善に価値提供していきたいです。

編集部の視点

 人手不足が進むなか、業務効率改善やDX化が急務となっている企業も多いのではないでしょうか。今回の事例のように、昨今、派遣会社でもデジタル人材の育成、チーム派遣やBPO事業に力を入れているケースも増加しています。人材課題に対して、スポットで派遣を活用するだけでなく、業務課題について全体的に相談することも検討してみてはいかがでしょうか。

企業情報

パーソルテンプスタッフ株式会社

東京都渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー
https://www.tempstaff.co.jp/
人材派遣、ビジネス プロセス アウトソーシング、官公庁受託事業などのサービスを提供。2017年7月、テンプスタッフ株式会社からパーソルテンプスタッフ株式会社へ社名変更。パーソルグループのビジョン「はたらいて、笑おう。」をもとに総力をあげて労働・雇用の課題解決と持続可能な社会の実現に貢献している。