Column/News
外部人材がもたらす事業変革
~本質マッチングによる人材定着率向上~
《クライアント》和の郷鞍月・サンケア戸板 施設長 中村 輝 氏(写真左)
「派遣スタッフは単価が高いし、すぐ辞める」という印象は根強く、人手不足であっても派遣の採用にためらう人事担当者の声をよく聞く。今回は、同様の印象を持つ中で派遣採用を決めた、石川県の社会福祉法人Flower「和の郷鞍月」および有料老人ホーム「サンケア戸坂」の施設長、中村氏と、担当コンサルタントである株式会社ウィルオブ・ワーク金沢支店の支店長、市川氏に、派遣スタッフの活用にどのようなメリットがあるのか、お話を伺った。
Flowerの課題
介護、特養、有料老人ホーム、デイサービス、訪問看護、障害者の就労支援などを行なっている社会福祉法人Flowerでは、求人媒体等を使用した自社採用では以前ほど人が集まらなくなっていた。また、派遣スタッフは単価が高く、期間限定で辞めてしまう印象があり、活用にためらいがあった。
派遣会社活用の背景
中村施設で派遣スタッフに働いてもらおうと思ったきっかけは、思うように自社採用ができなくなったことです。2022年に、新しい施設のオープニングスタッフを募集したのですが、経験上、オープニングはそれなりに応募があるので、さほど心配していませんでした。ですが、蓋を開けてみると、期待していた応募数はありませんでした。
そんなとき、市川さんから「採用はうまくいっていますか?」という連絡がありました。求人広告をしても人が集まらず、採用が手詰まりで悩んでいたので、一度話を聞いてみることにしました。
それまでも、グループ内の派遣会社から来ている派遣スタッフはいましたが、同じグループ内ということもあり、あまり派遣か職員かは意識していませんでした。外部からの派遣採用は、正直「費用が高くてすぐ辞める」という印象があり、検討には至っていませんでした。
ウィルオブ・ワーク活用の決め手
中村ウィルオブ・ワークの派遣スタッフ採用の決め手は、ウィルオブ・ワークと市川さんの「人を大切にする思い」が伝わった点です。当グループの企業理念「ひとの『生きる』を照らしたい。」がウィルオブ・ワークさんの事業と合致し、信頼できると思いました。
市川私も、仕事する上で大切にしている、パフォーマンス・リレーションシップ・マインドを、中村施設長にも感じています。パフォーマンスは、業績達成。メンバー、会社、派遣スタッフさんを守るためにも業績の達成は大切です。リレーションシップは、関係性の構築。派遣スタッフさん、クライアント様、社内、特定技能、そして働く上では家族との関係性も大切です。マインドは、思いを持って仕事をすること。上司やメンバー、派遣スタッフさん、クライアント様に誇りを持ち、思いやりと配慮を心がけて仕事をすることが大切です。
これらを派遣スタッフさんも体現できれば、エキスパート人材となります。介護業務でたとえると、パフォーマンスは介護技術、資格の保有や経験年数など、スペック的な部分です。リレーションシップは、施設利用者や、職場の上司、仲間との関係性。マインドは、働く仲間、同僚に誇りを持ち、利用者に対しても思いやりを大切にする心。派遣スタッフさんが当社を誇りに思うことも大切です。経験年数や資格があっても、働く仲間とのリレーションや利用者様を思う気持ちがなければ、エキスパートとは言えません。反対に、未経験で無資格であっても、仲間への配慮ができ、利用者を大切に思う気持ちがある人なら、そこに知識と経験が加われば立派なエキスパートです。私たちは、後者の人にチャンスメイキングをしたいですし、中村施設長も同じ思いを持っていらっしゃると思っています。3つの中で欠けているものがあれば、私たちが補うためのツールや機会を提供します。これは、派遣会社の介在価値の一つだと思います。当社は、「人」と関わるサービスや経営活動を通して、社会に少しでも多くのポジティブを生み出すことをミッションにしています。この価値観を中村施設長が共有して手伝ってくださっているように感じています。
スタッフのマインド育成は、徹底して実施しています。例えば、業務はテキパキできるけれど、利用者を雑に扱ってしまう人がいるとします。本人は、仕事はきちんとしているので、利用者を雑に扱っていると気付いていません。指摘すると反発感情が生まれるので、自身で考えて気付いてもらうよう導きます。「こうしなさい」ではなく、「なぜそう思うの?」と自分の心に問いかけさせて、自分で気付いてもらいます。自分で気付くと、人から指図されたわけではないので、素直に改善する気持ちが芽生えます。
派遣スタッフを採用した感想
中村派遣スタッフを採用してみた率直な感想は、想像以上に即戦力として期待できる人ばかりで、今後に期待しています。働く思いに派遣か直雇用かは関係なく、結局は「人」次第だとあらためて実感しました。ウィルオブ・ワークの派遣スタッフさんは、当社の企業理念と同じ志を持たれていて、心強いです。
市川中村施設長は、スタッフの人柄を大切にした採用活動をしていらっしゃる印象があります。例えば、先日採用していただいて現在も働いているAさん。Aさんは、前回の派遣先を思わぬ事態で契約満了になった68歳の男性派遣スタッフさんです。人間関係の構築がとても上手な人なので、きっと中村施設長のもとで働けば、その魅力が活きると思い紹介しました。Aさんは現在、自分の仕事にも施設にも、働く仲間にも誇りを持っています。
他に、子ども2人を育てながら働く28歳の女性派遣スタッフBさん。Bさんは産休と育休を当社で2回取得し、現在は時短勤務をしています。また、能登半島地震を機に、母親が住む金沢の実家にUターンしたCさんは、未経験でしたが人柄とやる気で採用していただきました。 中村 28歳の女性派遣スタッフBさんの提案力で、職場の活気と団結力が高まったと思います。Bさんは幾つかの介護施設で働いた経験があり、これまでの職場でよかった取り組みや新しいレクリエーションの提案を積極的にしてくださいます。これによりスタッフたちが活気づき、団結力が増しました。
伴走者であり続ける想い
市川当社では、派遣登録時にスタッフさんの今後の夢や人生設計、働き方、家族などについて確認し、求職者に合うクライアント企業に提案します。将来は無期雇用を希望する人もいれば、ずっと派遣で働きたい人もいます。育児や介護で働く時間が限られる人もいますので、働きたい環境へ送り出すよう心掛けています。スタッフさんが悩んでいるときは寄り添い、理解し、伴走する。それがコーディネーターの役割だと思います。当社では、キャリアコンサルタントが一緒にキャリアを考える場も提供しています。キャリアは、職歴ではなく生きてきた証です。企業に送り出して終わらせず、その先の人生も一緒に考えるコンサルタントでありたいと常に思っています。
編集部の視点
労働者派遣法が施行されて今年で38年。現代では、自分らしい働き方の選択肢として派遣を選ぶ求職者も多いですが、一方で、かつての「正社員になれない人が仕方なく派遣で働く」「派遣スタッフは期限がきたら辞める」という印象は今も根強く残っています。人手不足が進むいま、派遣会社は優秀な人材を採用企業へ送り出すためにさまざまな工夫と努力をしていること、採用企業にとっても時代に合わせたメリットがあることを当誌を通じて伝えたいと、あらためて思いました。
企業情報
株式会社ウィルオブ・ワーク
東京都新宿区新宿3-1-24 京王新宿三丁目ビル3階https://willof-work.co.jp
人材採用から育成まで包括的に支援する人材サービス会社。人材派遣、紹介予定派遣、業務委託、請負運営、コンサルタント、外国人採用などの事業を展開し、登録スタッフ数は85万人、取引先企業は4,900社に上る。