Column/News

2024.03.18
コラム

【連載】選ばれる企業になるための採用マーケティング大全

【第2回】
新卒・第二新卒の採用を加速する採用マーケティングのコツ

※ 本記事はPORTERS MAGAZINE Agent Vol.36掲載記事です。

 若手人材の獲得が激化する現在。「うちの会社に来て欲しい人材にとって、魅力的な訴求はなんだろう」と悩んでいる経営者や採用担当の方も多く見受けられます。
 結論を先にお伝えすると、新卒・第二新卒層にとって、「魅力的な訴求」を考える上で大切なキーワードは、「親近感」です。自社で親近感のある内容を作成することは可能であり、社員を巻き込みながら楽しみながら、コンテンツを作成していきましょう。
 今回は若手の採用マーケティングにおけるキーワード「親近感」を訴求する「コツ」「場所」について重点的に説明をします。

 

【1】採用のカスタマージャーニー

 まずは、前回のポーターズマガジン・エージェントVol.35(2023年11月29日発行号)掲
載のコラム「【第1回】採用マーケティングの基本」内でお伝えした内容の振返りになります。
 カスタマージャーニーとは、求職者がどのようなプロセスを踏んで、採用に至るのかを分析する戦略図です。欲しい人材(ペルソナ)が、各フェーズ(認知→比較検討→選考参加→内定承諾)においてのタッチポイント(接点)とそこで伝える内容を明確にするものです。
 設計例は下記になります。

■カスタマージャーニーの設計例
カスタマージャーニーの設計例

【2】「親近感」とは

 新卒・第二新卒層が情報収集において期待していることは、経営戦略や事業内容ではなく「自分も入社後、なじめそうか」という「親近感」です。
 「親近感」とは、いつも接しているかのような雰囲気があり、心を許せるといった印象や雰囲気を指す表現で、親しい感じ、身近な感じをいいます。
 左記のような内容を掲載することにより「親近感」を表現しましょう。

【3】チャネルへ期待していること

 次に重要な考え方が、「各チャネルに期待していること」です。 求職者が、チャネルに対して期待している価値を把握しましょう。
 採用サイトは、正しい情報が列挙されていること。
 Instagramは、ブログのように日常風景が知れること。
 Wantedlyはストーリーテリングをメインとした想い・情緒が知れること。
 Xは人事のつぶやきによりタイムリーな情報や個人的な性格が知れること。
 では、それぞれの期待値について、一つずつ詳しく解説していきます。

[自社HP/採用サイト]

 設立日や住所、代表者など正確な情報が集約されていることが前提になります。その上で、「採用ピッチ資料」、「社員のインタビュー動画」、「ラジオ配信」などコンテンツを充実させていきます。
 「採用ピッチ資料」は、選考を考えている方に向けた会社説明資料です。働く際に気になる情報(事業内容、社内雰囲気、社員の様子、職場環境)などを一つの資料にまとめます。新卒・第二新卒層に向けての資料であれば、事業内容を記載しつつ、企業ストーリー(なぜこの会社が存在するか、また歴史)やメッセージ(どんな人と働きたいか)をしっかりに記載しましょう。文字だけの募集要項だと業務実態がつかみづらく、また業界が同じだと会社ごとの違いが分かりづらいです。グラフ・相関図・写真を組み合わせて興味を引き立てましょう。

 「社員インタビュー動画」では、写真では伝わらない表情の変化や声色、普段の言葉遣いなどよりダイレクトに雰囲気が伝わります。社員がかしこまった内容ではなく、普段のその人となりが分かるような自然体の動画が好まれます。また動画の長さとしても、10分以上で構いません。興味のない方は30秒でも見ないですし、逆に興味のある方は10分以上の動画でも視聴するためです。入社背景などはもちろんのこと、業務内容や一日の流れなどをスライドを用いて説明することで、情報量を高めましょう。

 そして、ここ数年で注目されているのが「ラジオ配信(音声配信)」です。動画と異なり、情報が音声のみのためユーザーにとって、通学・通勤中や作業をしながら気軽に情報を得ることができます。配信方法としては、自分でマイクを購入し、ラジオ風に話し、音源を多少編集し、PodCastに投稿します。
 ラジオだからといって構える必要がなく、会社のこと・業界の変化・社員の変化・経営者としての葛藤・ライフワークバランスなどありのままの話をしましょう。また、情報が音声のみのため、なるべく抽象的な表現は避け、具体的に分かりやすく話すようにしましょう。

[Instagram]

 Instagramでは、写真・画像、動画を投稿することが可能です。情報収集として手軽さや楽しさをユーザーは求めます。また、スマートフォンで閲覧されることが多いため、投稿されるデザインの統一も重要になります。Instagramには、採用ピッチ資料をそのまま載せることは避けて、情報を抜粋しながら情報が瞬時に分かる内容を簡単に掲載していきます。また、写真に関しても、社内の雰囲気に合わせながら画像加工を行いましょう。

ポーターズ社のInstagramアカウントより抜粋

[Wantedly]

 ポイントとしては、Wantedly内にある「ストーリー」と呼ばれている、ブログ記事を充実させていくことです。ナウビレッジの場合では、採用サイト内にも掲載している「社員インタビュー動画」を一人一記事抜粋した内容で文章や写真として掲載したり、社員イベントの様子を記事にしております。業務を通した働くことへの充実感や業務外の社員同士の表情から「親近感」が分かります。小さなイベントでも、日頃から写真を撮りためておくことも大切です

ナウビレッジ社のWantedlyストーリーより抜粋

[X]

 Xはいわば「拡散機」と「個人的心情の表現場所」です。会社のプレスリリース・インターン生の採用・中途社員の入社・社員旅行・決起会などの情報を、個人の発言として投稿することで、親近感をもってくれやすいです。
 フォロワー数が少なくとも1万以上を超えないと、なかなか「Xがきっかけで御社を知りました」とはなりません。しかし、学生やユーザーは「人事の方ならXをやっているかもしれない」という考えを基にXで社名を入力して検索します。発見したアカウントの最近の投稿を閲覧し、「人事の性格」を感じ取ります。
 当社でも「採用ピッチ資料を更新しました!」「1年間の育休・産休から復職しました!」「この業界で働きたいと思った理由はこれです!」という内容を人事と合わせて、様々な役職・年齢・性別のメンバーが投稿しております。

ナウビレッジ社メンバーのXより抜粋

【4】一次選考へのエスカレーションを忘れずに

 一次選考前の採用マーケテイングで上記のような設計をするため、求職者は「この会社は面白そう!」「自分と合っていそう!」「話を聞いてみたい!」というワクワクした期待値で選考に参加いただいております。そのため、一次選考でいきなり志望動機や自己PRを問い詰めて、「見極め」に注力しすぎないようにしましょう。
 「採用資料みてくれた?社員動画みてどう思った?自分と合いそうだな、話を聞いてみたいなって思った理由ってどんなところかな?」と引き上げながら、自社と求職者の共通項を探り、「魅力付け」に注力しましょう。
 「親近感」をキーワードとして、貴社独自の雰囲気を文章・写真・動画で余すことなく伝え、採用力を強くしていきましょう。

 

著者 今村 邦之


ナウビレッジ株式会社  代表取締役 

1987年生まれ。米国アラバマ州立大学ハンツビル校にてマーケティングを専攻。2012年、第二新卒向けの人材紹介会社を設立し、代表取締役に就任。2020年に退職。同年10月に、デジタルマーケティングカンパニー・ナウビレッジ(株)を設立。創業3年間で200社の顧客支援を行い、うち100社様は人材紹介会社様向けに求職者獲得を支援。東京医科歯科大学デジタルマーケティング講座非常勤講師としても勤務。