「派遣事業は人ありき」の姿勢で働く人と企業に貢献し続ける

『type』のブランド名で30年以上にわたり人材業界の第一線を走り続けてきた株式会社キャリアデザインセンター。求人雑誌の時代から今日まで止まらず発展を続けられた背景には、同社の「人」に対する熱い思いがあった。今回はIT派遣事業部の三名に、同社がいま注力する取り組みなどについて聞いた。

「人と人とのつながりを大切にする」企業姿勢は社員にも派遣スタッフにも同じ

最初に、御社の事業内容をお聞かせください。

鈴木 キャリアデザインセンターは、キャリア転職サイト『type』『女の転職type』の運営をはじめ、人材派遣サービス『type IT派遣』、人材紹介事業、就活支援などを通して、企業の採用活動を多面的に支援しています。

髙野 これまでは有期派遣(有期から無期への変更含む)のみで事業展開していましたが、23年から新たに無期派遣サービスが始動し、新卒・中途ともに、新たな仲間が増えました。現在、有期の派遣スタッフとしては約1500名が就業しています。

御社の強みは何でしょうか。

財部 『type』ブランドを多くの方に知っていただいている点は、大きなアドバンテージです。特にIT分野に強みがあるというイメージを、派遣ビジネス領域においても活かすことができているのではないかと考えています。

また、求職者に関わる社員の手厚さも特徴的だと思います。ご就業まではキャリアコーディネーターと営業担当が、さらにご就業以降はアソシエサポートというフォロー専任の社員がさまざまな場面でお手伝いをします。

鈴木 私は転職組なのですが、この会社は本当に人をよく見てちゃんと評価するなと、入社時に感じました。人と人とのつながりを大切にする姿勢は、派遣スタッフに対してもなんら変わりません。

AIでは不可能なマッチングを直接対話で実現

面談ではどのような内容をヒアリングするのですか?

髙野 希望条件を叶えることは大切ですが、派遣スタッフがどのような人柄で、どんな人生観があって、将来どうなりたいか。その人を知ることは、派遣スタッフに満足度の高い転職活動をしてもらうために、より重要度が高いと考えています。きめ細やかに面談を行うことにより、ご本人が認識していない適性や、実はチャレンジしたいと思っていても無意識に諦めてしまっていることなど、キャリアコーディネーターの視点だからこその気付きがあることも少なくありません。たとえデータ上のマッチング率が6割~7割でも、直接話すことでご就業の可能性を広げることができるのです。

面談を受けた派遣スタッフからの反響はいかがですか?

鈴木 つい先日、複数の派遣会社に登録しているスタッフさんから「普通の派遣会社は求人情報を一斉送信してきますが、『type IT派遣』はコーディネーターが自分に合う仕事を直接ピックアップして知らせてくれるから、ちゃんと自分を一個人として見てもらえていると感じる」というお言葉をいただきました。

他に、面談の効果を感じたエピソードがあれば教えてください。

髙野 入社2年目のとき、介護職から未経験でエンジニアへ転身したいという30代の求職者を担当しました。面談したところ、すぐにエンジニアとして働くにはスキル不足の状態。そこで、まずは基礎知識を身に付け、既存サイトの更新業務からWeb業界でのお仕事をスタートしていただくことになりました。3年後には働いていた会社で直接雇用されましたが、その2年後、ステップアップするために再び私に連絡をくださり、今度は希望だった大手インターネットサービス会社の開発業務に就かれました。面談で求職者の熱量を感じ取っていたので、この出来事を通して、時間はかかっても努力次第で夢を叶えることはできると実感しました。もちろん、結果は求職者の頑張りによるものですが、その人に合わせたキャリア支援ができたのは、面談で求職者とじっくり向き合ったからだと思います。

エンジニアが御社を選ぶ理由は何だと思われますか?

髙野 当社の求人情報には場所や給与などの条件面だけでなく、業務の細かい内容や、そこで得られるやりがいやスキル、職場の雰囲気などを詳しく明記しているため、働くイメージがつきやすいのだと思います。また、前段でもお話したことにもつながりますが、面談で求職者に寄り添い、その人に合わせた提案を行っている点も選ばれる理由かもしれません。

財部 既に当社派遣スタッフの就業実績がある企業も多いため、クライアントの業務や状況を把握しており、それを求職者に伝えていますね。営業担当がクライアントや派遣スタッフと密に連絡をとり、その情報を社内で共有をしていることが活きています。

週にどのくらいの派遣登録者を面談されますか?

鈴木 弊社でご案内できるお仕事には、1日3~400件の応募があり、そのうち約20%が面談に進んでいただいています。週に100件以上の面談を20名のコーディネーターが担当します。

財部 コーディネーターがなるべく求職者と接する時間を作れるようにする意味も含めて、ポーターズの採用管理システム(PORTERS ATS)を導入しました。事務処理など自動化できる部分は自動化して、より多くの求職者に出会える可能性を広げ、短縮できた時間を求職者に向き合う時間に充てたいと考えています。

顧客満足度につながるパフォーマンス最大化の工夫

御社の営業・コーディネータースキル向上のため、どのような取り組みをしていますか?

髙野 コーディネーターは、ロープレの結果を点数化し、ラインをクリアしないと面談デビューができません。また、コーディネーターとしてどうあるべきかMVVを定めており、顧客対応するにあたっての意思統一に努めています。

財部 KPIはもちろん、それだけでは測れない連絡頻度のようなクライアントとの信頼につながる数字も合わせてスコアリングしています。可視化することで課題も明確になり、何を改善すれば良い結果につながるのか分かるので、日々の営業活動に役立てています。

単なる派遣スタッフの採用ではなく、派遣スタッフを活用した業務改善を提案

派遣サービスを更に活用していただくために取り組んでいらっしゃることはありますか?

財部 これまで派遣スタッフを採用したことがない企業や派遣にいい印象をお持ちでなかった企業に、派遣活用のメリットを伝え、ご利用いただけるよう努めています。また、採用企業には受け入れ方の工夫を提案しています。例えば、即戦力を希望する企業にヒアリングすると、求めているスキルを持った人材ではなくても十分対応できる業務があったりします。派遣スタッフを上手に活用することで全体の業務効率を上げられるよう、内製と外注を切り分けていただくお願いをすることもあります。

受け入れ方の工夫で採用につながった例をいくつか教えてください。

髙野 以前、子育てメディアを運営する企業から、メディアの記事ライターのご依頼がありました。条件は、フルタイム、フル出社で、時給は相場よりも低く、その中でスキルも求めていらっしゃいました。企業側に条件の優先順位を確認したところ、スキルが外せない最優先項目だと分かりました。そこで、ライティング職を希望している派遣スタッフの傾向と、子育てメディアという業界から、スキルはあるけれど時短やリモートでしか働けないママさんをターゲットにしてはどうかと提案しました。結果、時短勤務かつ週3日以上リモート勤務希望の求職者で就業が決定しました。企業が求めるスキルにも合致した人材で、現在も活躍してくださっています。

財部 他にも、事務職の求人で、派遣時給が相場より大変低く、ご紹介が難しい案件がありました。企業の採用課題を人事担当者と一緒に考えたところ、事務業務だけではなく、デザイナーの人手不足も抱えていることが分かりました。デザインの業務も一部任せられる求人に修正して派遣時給を同時に相場まで上げていただくことで、4名のスタッフ稼働に成功しました。

最後に、これから注力する取り組みを教えてください。

鈴木 今後は、自社ホームページでの集客比率を高めていきます。外部の派遣サイトの力を借りることも重要ですが、自社のブランド力を高めていきたいと考えています。そのため今期は特にWeb集客に注力しており、効果測定ツールも取り入れ、可視化・分析を繰り返しています。『type IT派遣』を選んでホームページを訪問していただける方を、さらに増やしていきたいですね。『type IT派遣』のブランド力向上が、他派遣会社との競争力を高めることにもつながっていくと考えています。

財部 派遣スタッフが増えても、これまで通り人と向き合うというスタンスは変えずに大切にしていきたいと考えているので、採用管理の効率化はもちろん、派遣スタッフとのコミュニケーションにLINEを活用する等、シンプル化できるところ、自動化できるところは出来るだけ人の力を借りず、本当に時間をかけた方が良いことに注力できる環境を作っていきたいです。