人とテクノロジーの融合で次世代の総合人材企業を目指す

慢性的な人手不足や業務の自動化により人材派遣事業の在り方が大きく変化する中、独自の戦略で発展を続けるNXホールディングスのグループ企業であるNXキャリアロードを取材。人とテクノロジーを融合させるための取り組みなどについて聞いた。

現場とオフィスをつなぐ総合人材サービス

――最初に、御社の事業内容をお聞かせください。

NXキャリアロードは、物流・製造業界の人材派遣事業、BPO(業務請負)事業、人材紹介事業を展開する、NXホールディングスの人材支援会社です。支援職種は、軽作業、事務、エンジニア、営業などがあり、お客様のニーズに合わせて人材確保から教育・育成までを支援します。

特に物流分野では、倉庫内入出荷作業やフォークリフトオペレーションから事務作業まで、現場の安定稼働を支える人材供給体制を確立し、“現場とオフィスをつなぐ総合人材サービス”として機能しています。

現在はBPO事業の売上が大半を占めています。その背景に、大手EC関連の物流センターがあります。当社は、大規模な現場でもローンチ時から機動的に動かせるよう現場リーダーの育成に力を入れており、現在は大手EC関連だけで5カ所以上の物流センターを受け持っています。

雇用形態にとらわれない柔軟な人材供給が強み

――中でも御社の特長となるサービスを教えてください。

“雇用形態にとらわれない柔軟な人材供給”が当社の強みです。お客様の事業構造や生産計画に合わせ、派遣・BPO・紹介を横断した人材支援を実施しています。これにより、派遣スタッフをBPOに転換するなど、柔軟な人材供給が可能になります。

例えば、大手EC関連など通販事業の物流は作業内容や繁忙期がほぼ同じですので、一括管理し、現場同士で人材を効率的に配置できるようにしています。働くスタッフにとっても、仕事が途切れなくなる点はもちろん、複数の現場へ行くことで経験や知識が増えるメリットもあります。また、NXホールディングスのグループ下のNXグループ各社にも人材を供給しており、各社のニーズに合わせて柔軟対応しています。例えば、グループA社の繫忙期に働いてくださったスタッフを、繫忙期の終了後にはB社のBPOスタッフになっていただくなどの事例があります。

――現在、特にニーズが高い職種は何でしょうか。

フォークリフトオペレーターと現場管理者(SPV)です。フォークリフトオペレーターは、ニーズに対して経験者が圧倒的に少ないため、当社で資格取得を支援しています。

フォークリフトといっても複数の種類があり、それぞれ操作方法が異なります。フォークリフトAの操作経験があっても、フォークリフトBも扱えるとは限りません。お客様企業によって使用するフォークリフトは異なりますので、当社ではほぼすべての種類のフォークリフトに対応できる状態にしています。最近は、荷物を前後だけでなく左右にも移動できる3ウェイフォークリフトを扱う企業が増えたので、当社も育成に力を入れる予定です。

合わせて、定着にも注力しています。フォロー専門の担当者が現場へ出向き、技術だけでなく気持ちの不安や悩みなどをヒアリングするなどし、“育てて送り出し定着させる”仕組みを強化しています。

――オペレーター希望者は新規で募集するのでしょうか。

基本的には、登録スタッフや、センター内稼働スタッフの中からオペレーター職にチャレンジしたい人を募り、免許取得までを支援しています。

当社では1日約5000人のスタッフが稼働していますが、中には繁忙期のみのご縁の派遣スタッフもいます。繁忙期以外の期間も働きたい方々の中から、フォークリフトに興味がある人を募り、新たなキャリアとして支援します。

――資格取得の費用の負担は大きな投資ですね。

「長く続けてくださればありがたい」という気持ちで資格取得のサポートをしています。もちろん資格取得しても短期間で離職する方もいますが、どんな戦略にも100%はないので、そのようなリスクも承知した上で投資しなければ、会社は成長も存続もしません。当社を離れる人の中には、採用企業に見初められて先方の正社員に移籍するスタッフもいます。当社がきっかけとなって次のキャリアにつながったり、資格取得で収入がアップしたりする人たちを見るのは、当社に所属するしないに関わらず、うれしいことです。企業の人材ニーズに応えつつ、スタッフのキャリアや収入を上げられることで、双方にとって良い仕組みづくりができていると思います。

面談の自動化と業務管理システムの導入で高度な標準化を目指す

――御社は初回面談を自動化されたと聞きました。

はい。AIによる24時間オンライン面談を実施しています。これまで日中の面接に来られなかった人にも対応できるようになりましたので、面談への転換率や採用数が増えました。

――面談の判定もAIが行うのでしょうか。

最終判断は人間が行いますが、面談の態度や受け答えといった基本的なポイントは、AIが判断します。面接態度や意欲、過去の経験に基づくバイタリティや理解力、表現力等もしっかり見抜いて点数化による判定をします。人の判断に比べて属人的なムラがないので、平等な判断ができる意味でも有効です。

データ管理においても、これまでバックオフィス系は統合されていたものの、営業・マッチング領域は各事業所でバラバラでしたので、PORTERS Staffing(人材派遣管理システム)を導入する予定です。情報をデータ化してまとめ、営業から採用、マッチングまでを一気通貫でDX化することで、高度な標準化の実現を目指します。

――高度な標準化とは?

マニュアル作業の繰り返しを超えて、個別の対応やマッチングを自動化することです。DX化にはそれなりのコストがかかりますが、スピード感を持って先行投資し、早く高レベルの仕組みにしておかなければ、これからの事業展開は厳しくなると思います。

人を採る会社から人を採って育てる会社へ

――現在物流業界において、企業・求職者が置かれている状況について、お考えを聞かせてください。

物流業界は、深刻な人手不足が続いています。長時間労働の是正や輸送を効率化する一方で、現場を担う人材の採用が追いつかない状況です。特に中小の物流企業では、採用コストや教育体制の確保が難しく、経験者採用の奪い合いが常態化しています。

一方で、求職者側の価値観も変化しています。若年層は「資格やスキルを得たい」、中高年層は「安定して長く働きたい」という傾向が強く、単に給与条件だけではなく、「教育、働きやすさ、安心感」を求める声が増えています。そのため、企業が競争力を高めるには、採用力・育成力・定着支援力を確立することが不可欠です。

当社は、教育・キャリア支援・現場定着を一体で設計し、 人材の早期離職を防ぐとともに、クライアントの生産性向上へつなげることを目指しています。今、私たちに求められているのは、「人を採る会社」から「人を採って育てる会社」への転換だと考えています。

――物流業界は、作業の自動化が進んでいる印象があります。それでも人材不足は解消されないのでしょうか。

どれだけ自動化しても、システムと成果の間には必ず専門知識を持った人材が必要で、ここに採用ニーズが生まれる時代になります。いわゆる「高度ブルーカラー職」です。この変化に対応していかなければ、人材派遣会社の存続は難しいでしょう。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

人材市場は今後、単なる人手不足から“労働力構造の転換”へ進むと見ています。AIや自動化が進展しても、現場で人が担う判断・安全・連携の価値はなくならないでしょう。むしろ、人とテクノロジーが補完し合う時代になると考えています。

当社はその中で、多様な人材の活躍機会の創出を重点テーマに掲げています。 若年層・シニア・女性・外国人・スマイルパートナー(障がい者)等の多様な人材を、 クライアントのニーズに沿って、物流・製造・オフィス業務へ柔軟に配置できる企業、すなわち“多様な人材とテクノロジーで現場を動かす次世代の総合人材企業”を目指します。

物流業界は、ともすれば存在意義を軽く見られがちです。物流の社会的地位を高め、誇りある仕事に変えていくことが、当社の使命です。そのために、教育と定着支援を通じた人づくりを継続していき、働く人と企業、双方にとって未来につながる労働環境を実現したいと考えています。今後も、人材サービスを“社会インフラ”として位置づけ、人を通じて社会の変化を支える存在でありたいと思います。