志を持ったベンチャーを支援。
紹介業に捉われないサービスで日本を元気に!

馬鹿が日本を元気にする—。そんな何ともキャッチーでインパクトのある言葉を、そのまま社名に冠しているのがBNGパートナーズだ。志を持ったベンチャーを中心に、人材紹介から資金調達、M&Aの支援など、幅広い支援を行っている。そんな同社を率いる代表取締役は、若干26歳の藤田である。若さや情熱、エネルギーだけでなく、心理学や脳科学にも造詣が深く、グロービス大学院で学んだ経営理論も持ち合わせる。人材紹介の、日本のビジネス界を担う若きリーダーに迫った。

大学時代のさまざまな経験から日本を元気にしたいと志すように

「日本を元気にする。起業家。仕組みの整っていない会社。その3つのキーワードで会社を探していたときに、弊社と出会ったんです。ここしかないと思いましたね」BNGパートナーズと出会い、インターンとして入社したときのことを、藤田はそう振り返る。朗らかで実直な笑顔が印象的だ。運命の出会いが訪れたのは2011年、彼が大学3年生の頃である。そもそも、藤田が3つのキーワードをもとに就活を行うようになったのは、大学入学時から始まるいくつかの出来事に起因する。

大学受験で志望校に入れなかった藤田は、その悔しさをばねに、自分を成長させるべくどん欲に行動を始めた。教育制度の整っているスターバックスにアルバイトとして入り、店舗の立ち上げに従事するように。仕組みをゼロから作っていく面白さと、自分が関わったことがうまく回り、客を幸せにすることに喜びを覚えた。

その後、オーストラリアに留学。周りの欧米人たちは幼少期から自己分析を行っており、「自分は将来こうなる」と明確に語れるのが当たり前だった。まだ将来が見えていない藤田は、葛藤を覚えるようになる。また、発展途上国から来ているアジア人学生たちが、高い賃金を得るために、日本など先進国で働きたいと言っているのを知り、将来的に雇用が奪われる危機感を覚えるように。帰国後、藤田は日本を元気にするために、社会を変える職業を志した。

「政治家になろうと決めたんです。それで当時、総理になる前の安倍晋三さんのところで、政治の勉強をするようになりました」  しかし政治というアプローチでは、世の中を変えるのに時間がかかることを知る。そんなときに、孫正義や柳井正、堀江貴文ら起業家たちが、ビジネスを通じて社会を変えていることを知り、起業家を志すようになった。そのときに出会ったのが、BNGパートナーズだったのだ。

学生ながら売り上げトップに25歳で代表取締役に抜擢

「日本を元気にする、と社名にしている会社を初めて見ました(笑)。あとオーナーが、社員一人ひとりを経営者として育てたい、という方針だと聞き、すぐインターンとして入社しました」

3つのキーワードをすべて備えた同社で、藤田は3ヶ月間営業を経験した後、コンサルタントへ転身。企業開拓だけでなく、求職者対応も任されるようになった。同社が掲げているのは「志マッチング」という、徹底的に質にこだわった紹介サービスだ。単なるスキルマッチングとは対極で、求職者が人生をかけて成し遂げたいことを把握し、価値観やビジョンの同じ企業に紹介するというもの。精度を最優先するため、一人につき紹介できる案件は2~3件程度だという。担当企業は一人につき20社で、案件は8社という制限もある。また営業スタイルも独特で、人事担当者を飛び越え、経営者など意思決定者にアプローチを行う。また刻一刻と変わるニーズを把握するため、面接には全て同席し、成約まで徹底的にサポートを行うのだ。そのような、ベテランコンサルタントでも成約を上げるのが難しい環境で、藤田は学生インターンながら、いきなり売上げ3位の成績をたたき出した。

「いろいろ工夫はしましたね。若く見られないように、オーダーメイドのスーツを作って着たりとか(笑)。あと誰も尻込みして行かないような、東証2部上場企業の社長に、コネもないのにいきなり交渉しにも行きました」 ただ最も大事にしていたのは、分からないことがあれば素直に聞く、約束を守るなど、社会人としての基本的な礼節だと藤田は話す。その姿勢が結果につながり、大学4年生のときにはトップセールスとなり、マネージャーへ昇進。その後、本部長、取締役とステップアップし、2016年3月に代表となった。入社4年半、若干25歳であった。

人が持つ負の欲求を見極め活躍できる職種や会社を提案

 藤田の強みの一つとして、「脳科学」「心理学」に精通している点が挙げられる。在学中には心理カウンセラーの資格も取得したほどだ。それらの分野の知識を、マッチングでもいかんなく発揮しているのだ。

「眠いとかおなかが減ったとか、欲求は負からしか起きません。人は3歳から現在まで、負の欲求を満たすために無意識にPDCAを無意識に回しています。結果的にそれがその人に強みになっているため、どの仕事で発揮できるか、どの会社なら欲求を満たせるか、などセグメントしています」

 そのため、面談も独特だ。仕事の話よりも、家族構成や生い立ちについて深堀していくことが多い。面談だけではなかなか引き出せない内容なので、関係性を築いて飲みに行ったり、ゴルフに行ったりもするという。これは求職者だけでなく、経営者も同様だと藤田は言う。

「経営者の多くは、欲求に対して忠実に行動している人です。その欲求をどう満たそうとしているかによって、求める人物像は変わってきます。けれど自分では気づいていなかったり、答えを持っていても言語化できていなかったりする。そこで我々が介在し、あくまでも参考程度に聞いてほしいと前置きした上で、自分の意見を言うようにしていますね」

 また、社会人1年目にグロービス大学院に通った経験を活かし、企業のビジネスモデルに適した組織体系を提案することも心掛けている。例えばメディア系の企業では、営業よりもデザイナーやエンジニア、マーケターが必要となる場合が多い。しかし社長が営業出身の場合、どうしても営業主体の組織形態になってしまいがちだという。そこで、適切な形態を提示した上で課題を浮き彫りにし、解決を目指していくのだ。ちなみに課題は組織形態だけでなく、ビジネスや仕組みにあることも多い。それをいかに見極めるかが重要だと、藤田は冷静に話す。

日本を元気にするために人材紹介に捉われないサービスを提供

 BNGパートナーズの根底にある想い、それは担当企業が幸せになる支援を行うこと。そのためであれば、ほかの紹介会社での決定も喜ばしいことと捉えている。だからこそ人材紹介だけでなく、資金調達やCxO派遣など、さまざまなサービスを行っているのだ。

「これまではシリーズBの企業を中心に、組織形態や幹部採用の提案をしていました。今後はシリーズBに上がろうとする企業に対し、資金調達支援や事業計画書の作成なども行っていきます。また我々が支援した企業で、IPOをした企業に出資をしてもらったり、M&Aをしてもらったりといったサービスも提供していきます。ゆくゆくは私たちがハンズオンVCとして、投資をしていきたいですね」

 BNGパートナーズのビジョン。それは人材紹介業にとどまらず、ベンチャーに特化したプロデューサーとして、顧問として企業の役に立ちたいと藤田は展望を話す。そして見据える先は、社名にもある「日本を元気にする」にほかならない。

「僕らのミッションは“馬鹿が日本を元気にする”。そのために、一人に一つ志を持ってもらいたいですね。現在は“志を持っていない人”“持つ楽しさを知らない人”“持っている人”の3つにセグメントしています」

 現在は“志を持っている人”つまり企業の経営者を対象にサービス提供し、生まれた収益をほかの2つの市場に投資している。具体的に、“持っていない”の層は赤ちゃんと定義し、「子育てマイスター協会」を運営。“楽しさを知らない”層には、ミャンマーでの英語・日本語・ミャンマー語の家庭教師派遣と、カンボジアでの孤児院支援を行っている。日本だけでなく、世界中に“志”を持つ人を増やし、元気にすることを本気で目指しているのだ。

 また自社でも、想いの強いメンバーに積極的にチャンスが巡ってくる形になっており、これまでに藤田を含めて子会社・関連会社含め4名の経営者が生まれているという。志という、幸せを醸成するのに欠かせない要素に着目し、保有するあらゆるソリューションで支援を行っている同社。労働人口の減少やグローバル化など、さまざまな局面に立たされている日本において、真の豊かさと強さ、そして元気さを構築するために、藤田や同社の役割はこれからも必要とされ続けるに違いない。