入社後の活躍を掲げ、本質的な人材サービスにこだわり続ける

採用領域だけでなく、教育や評価の面でもソリューションを提供し、入社後の活躍支援にも注力しているエン・ジャパン。
時代の流れに伴う採用ニーズの変化を受け、2015年には「エン転職コンサルタント」を「ミドルの転職」にリニューアルし、より確度の高いマッチングを実現している。
さらなる事業拡大を目指し本質的なサービスにこだわり続けている同社に、注力している取り組みを聞いた。

即戦力人材へのニーズの高まりを受け
ミドル層に特化したサービスに刷新

まず御社のビジネスにおける注力ポイントを教えてください。

主な事業領域は「採用」「教育」「評価」の3つです。売上規模として最も大きいのは採用で、WEBサービスと人材紹介を行っています。WEBサービスには、「エン転職」や「ミドルの転職」などがあります。「ミドルの転職」は、以前「エン転職コンサルタント」という名称でしたが、2015年8月にサービス名称の変更とリニューアルを行ないました。

どのような背景でサービス名称の変更およびリニューアルを行ったのでしょうか。

企業のビジネス環境がスピード化・グローバル化している現在、経験の浅い若手を採用して育てる戦略では追いつきません。大手でも中小でもベンチャーでも、即戦力採用のニーズが高まっています。実際に年齢帯別の転職者数で、最も伸びているのは41歳以上、次いで36~40歳です。企業は年齢に関係なく自社に適した人材を採用するようになりました。また労働市場において、35歳以上は母数が大きいためこの層にフォーカスする需要と価値があるのではと考えました。そもそも「エン転職コンサルタント」の登録者は、ミドル以上のレイヤーが中心。であれば、より求職者に訴求することを目的として、分かりやすいサービス名称に変更しました。リニューアルの結果、以前に比べてミドル層の登録者数が150%増加しました。これまで以上にミドルに支持されるサービスになったと実感しています。

出典:一般社団法人 日本人材紹介事業協会『人材紹介大手3社 転職紹介実績の集計結果』より

ミドル層の転職における現状の課題を教えてください。

若手に比べミドルの転職期間は長いという課題があります。ミドル層の転職は経験やスキルが重視されるためマッチングの難易度が高いことが要因です。年収がそれなりに高い層になるため、企業側も採用には慎重になります。また、ミドル世代は家庭を持っていたり、ローンを抱えていたりと、家庭環境をふまえて転職先を検討しなければならず、周囲の理解がより必要になります。特に、U・Iターンの転職であれば、仕事内容だけでなく、家賃相場や生活環境についても紹介会社が提示する必要があります。だからこそ、機械に置きかわることが難しく、人が介在する価値を発揮できるゾーン。紹介会社にとって重要かつ責任の大きい領域だと考えています。

転職活動の効率や生産性を上げることにこだわった3つの機能

2017年1月のサイトリニューアルでは、どのような点を変更したのでしょう。

前提としてミドル層の方は、忙しい実務の合間に転職活動をしています。どうすれば効率や生産性を上げられるかを徹底的に考えました。まず、紹介会社とオンラインビデオ面談できる機能を付けました。これにより移動時間がなくなり、場所を選ばずに面談ができるようになったのです。また、スマートフォン向けのUIを強化しました。あるデータによると、会社以外でPCを開かないという方が増えているようです。実際、サイトのアクセスが増えるのは、8時、12時、22時。通勤やお昼休みの時間に、スマホからアクセスしていることが多いのです。スマホユーザビリティを強化することで、求職者は空いた時間に、紹介会社とスムーズにやり取りできるようになりました。

求職者が求人に興味を持っていることが分かるように、「気になる機能」も追加しました。紹介会社は「気になる」を押した方の履歴書を見ることができるので、より確度の高いスカウトを送れるようになりました。また搭載しているAIが、スカウトを送るべき求職者のレコメンドもしてくれます。

マッチングの質と入社後の活躍支援に注力していく

有効求人倍率が高水準となり、求職者不足が顕著です。この状況をどう見ていますか。

少子高齢化・人口減が進む中、労働人口の絶対数は増えません。それ以外のマクロ的な要因もあり、しばらくは求職者不足が続くでしょう。特に産業構造の変化に伴い、サービス業の就業者が増加しています。人員と売上が比例しやすい業種であることからも、採用意欲は今後も高いことが予想されます。

また近年は、人材の質に対する要望が高まり、紹介の難易度が高まっています。採用する人によって生産性に大きく差が生じるからです。生産性の高い人材=活躍する人材を確保するために、企業はこれまで以上に採用に対して真剣になりますし、予算もかけるようになります。我々はさらに責任を背負って採用の支援をする必要があります。

今後はどのような点に注力して、採用領域のサービスを展開していくのでしょうか。

WEBサービス・紹介業ともに、正直で詳細な信頼性の高い事前情報を提供していきます。入社前と後のギャップをできるだけなくし、求職者が「こんなはずじゃなかった」となるのを防ぐことが目的です。マイナスなことを隠して良い情報だけを出し、入社後すぐに辞めてしまうような状態を作りながら事業サイズを大きくするのは本質的ではありません。弊社は「カイシャの評判」という口コミサイトを運営していますが、求職者の7割が、求人への応募前に口コミサイトを見ています。ネットの普及に伴い、事実が隠せなくなっている時代。多少の課題があっても、それを含めて公表し、改善しようとしている企業の誠実さこそが評価されるべきだと考えています。

またエン・ジャパンのサービスを通じて転職された方には、入社した会社での活躍を支援するプログラムを用意しています。当社が掲げているのは「入社後活躍」。転職先の決定はゴールではありません。活躍・定着することが本当の意味での「転職成功」だと考えています。企業によっては、入社後の活躍を支援する体制が整っていないところもあります。そこで、定額制の教育研修サービス「エンカレッジ」も提供しています。120種類以上ある講座は新入社員~経営層まで対応しているので利用企業から大変好評です。

量を集めて確率論で成約を生み出すのではなく、徹底的にマッチングの質や、入社後に活躍し続けられるかにこだわっていきます。そして入社した方がきちんと活躍することで、企業も発展して採用ニーズが増え、次もお願いされる。そのような人材サービスを提供していきます。