時代と共に変わる新卒採用のスタンダード
企業変革・人材育成のプロが仕掛ける唯一無二の新卒紹介サービス

「モチベーション」にフォーカスし、多くの企業の変革を支えてきたリンクアンドモチベーション社。グループが持つ人材育成のノウハウも取り入れ、新卒に特化した人材紹介を行っているのがリンク・アイだ。従来はメディアでの大量採用が一般的だった新卒採用。そのニーズはどう変化しているのか。同社の新卒紹介サービスの特徴や強みは何か、渡辺社長に聞いた。

新卒紹介へのニーズが高まる2つの理由

御社は新卒に特化した人材紹介を行っています。新卒採用と言えば、媒体の活用がスタンダードでしたが、新卒紹介へのニーズは近年どう変化しているのでしょう。

これまで新卒紹介は、採用人数の“数合わせ”を目的として使われることがほとんどでした。基本的にはメディア媒体もしくは自社で募集し、採用目標に満たない人数分を人材紹介で補う、というものです。

ところが2つの変化により、新卒紹介サービスへのニーズが変わっています。一つは『優秀学生のメディア離れ』です。情報量の爆発的な増加に伴い、優秀学生たちはメディアからの間接情報よりも、信頼できる大人や先輩からの直接情報を重視するようになっていると感じています。もう一つは『働き方改革』。大企業であれば、応募者は数万人に上り、選考にも非常にコストがかかります。この労働集約的な活動を、『働き方改革』という号令を機に変えようという動きが出始めたのです。

弊社の新卒紹介は、トレーニングを受けたキャリアアドバイザーが、学生さん一人ひとりに合った企業を厳選してご紹介しています。企業にとっては、自社に合った人材が紹介されるため、選考コストが下がり、お互いにとって効率的なマッチングが実現できます。弊社はこの効率性にとにかくこだわっており、平均して20名のご紹介から、1~2名が内定承諾をいただけるマッチング精度の高さが一番の特徴です。100名以上の採用には対応しかねますが、5~10名などであれば、新卒紹介を採用のメインルートとして選択いただける動きが強まっています。

幹部候補を新卒で採用したい、という企業も少なくないかと思いますが、その場合、新卒紹介はどのようなメリットがありますか。

幹部候補採用は、特に大量採用を行っている大手企業様から、今一番多くのニーズをいただいているテーマです。大手企業様の課題として、人員確保の量が必要な一方で、大量採用を行うと、優秀な学生からは自分たちは歯車の一つとして採用されるのだと捉えられてしまいます。一方、1年目はジョブローテーションで全部署を経験、2年目は海外転勤など“特別コース”が用意されている場合、その希少性や特別感から新卒採用が成功しやすくなっています。「普段の企業ブランドでは採用できない学生を採用したい」というニーズにも、新卒紹介は応えることができています。

学生側で、最近の傾向がありましたら教えてください。

多くの企業から選ばれる人材と、そうでない人材との差が広がっているように感じます。一昔前、ビジネスにおいて価値を生み出す主体は業界や企業にありました。個人がどうかよりも、その個人が所属する業界や企業が重要な時代でした。一方で近年ではテクノロジーの発達により、例えばSNSなどで肩書きのない個人が影響力を発揮することもできます。その個人が所属する業界や企業よりも、個人そのものの持つ力が重要な時代に変わりつつあります。そんな中で、これからの時代は『アイカンパニー』意識の高い人材が選ばれると考えています。『アイカンパニー』は直訳すると『自分株式会社』で、自分という個人を会社に見立て、自社のビジョンや競争優位性を明確にした上で、自立的・主体的にキャリアを創り上げていく意識を持った個人のことです。売り手市場が進行する中で、そういった意識を強く持った学生と、周囲に流されるまま生きる学生の差が大きくなっているように感じています。

マッチングの基準は「熱さ、強さ、気持ちよさ」

では、優秀な学生に共通する素養は。マッチングのときに重視するポイントも教えていただけますか。

私たちが基準にしているのは、「熱くて、強くて、気持ちいい」です。「熱さ」とはエネルギー量のこと。

一つのことに深く熱中できる「深さ」と様々なことに幅広くチャレンジできる「広さ」に分けられます。「強さ」は、人から何を言われても信じた道を進める「自己信頼」と、いろいろな関係者とうまく協働し、しなやかに成果を残せる「適応能力」に分けられます。最後の「気持ちよさ」には、自分の伝えたいことをわかりやすく発信できる「発信力」と、他人が伝えたいことを引き出せる「受信力」に分けられます。これに「賢さ」の2分類を加え、4項目・8分類の中から採用企業はどこを重視するかヒアリングし、その要件にマッチする、言い換えると「活躍可能性の高い学生」をマッチングしています。

学生はどのように集客しているのか教えてください。

学生の就職活動がスタートする4~5月に、弊グループの新入社員たちが、新人研修の一環として一ヶ月間、集客活動を行っています。ただこのようなやり方には限界があることも事実です。就活生は一学年に50万人いると言われていますが、弊社のデータベースは1万人です。今後は拠点展開やパートナー企業様との事業連携などを通じ、多くの学生さんに機会をご提供できるかが重点課題です。

ただ、私たちには「学生を育む」という強いこだわりがあります。現在は就活生に限定をしていますが、大学低年次から、学生たちに『アイカンパニー』というキャリア感や、志やビジョンを持って生きることの重要性を伝え、企業や社会から選ばれる人材を増やしていくことを目指しています。

では、求人開拓はどのように行っているのですか。

新規開拓はほぼ行っておらず、ここ2~3年は30社様に限定しています。内訳は弊グループが5社、大手企業様が10社、ベンチャー企業様が15社です。マッチングビジネスは質が第一のビジネスだと考えているので、現段階では問い合わせがあってもお断りしている状態です。ただこの2~3年でオペレーションが固まりつつあるので、来年以降は少しずつ拡大していく予定です。

学生から選ばれる企業でないと新卒紹介は成功しない

御社の新卒紹介は、どのような企業と親和性があると思われますか。

「共感性」と「採用力」の高い企業様です。「共感性」については、弊グループが掲げる「モチベーションカンパニー」、つまり従業員のモチベーションを成長エンジンにする会社創りへの共感性、そこへの強いコミットがある企業様です。「採用力」については、弊社に登録している「アイカンパニー」意識の高い、「熱くて、強くて、気持ちいい」人材に対して、「戦闘力」の高い企業様です。例えば、他企業にはないオンリーワンの優位性があること。経営トップも含めた魅力的なキャストが存在することなどですね。私たちのサービスは応募者である学生さんに支持をされて初めて成立するビジネスです。大変僭越ですが、上記2点を満たす企業様とパートナーシップを組ませてもらっています。

新卒紹介サービスを利用して、企業の成長につながった事例を教えてください。

従業員数10名にも満たなかったあるベンチャー企業様が、4年間で20名強に拡大されたのですが、そのほとんどが我々の新卒紹介サービスによる採用です。その企業様とはまだ取引が続いていますが、「御社がなかったらうちは成り立っていない」との言葉を社長からいただいたことがあります。また、「新卒で採用したメンバーは本当に会社が苦しいときこそ頑張ってくれる」と言われることも多いですね。

大手企業様では、幹部候補としてご紹介し“特別コース”に進んだ学生が、新規事業を立ち上げて活躍していることも少なくありません。また、新卒採用は人材獲得行為でありながら、最高のモチベーション向上施策でもあります。優秀な新卒学生が入社することで、既存社員が大きな刺激を受け、社内が活性化したという声を聞くことも非常に多いですね。

新卒紹介を皮切りに新入社員を育てるための研修プログラムの導入や、人事制度の見直し、理念やビジョンの改定など、企業様から様々なニーズが寄せられ、弊社のサービスを取り入れていただくようになっています。

ありがとうございます。最後に今後のビジョンを教えてください。

短期的には、学生さんや企業様から選ばれる『最高品質』のサービスにしたいと考えています。現在の採用活動は、いかに多くのお金をかけ、多くの学生さんを集められるか。就職活動は、いかに多くの企業を訪問し、多くの内定を集められるか。ここばかりに注力し、非常に非効率な活動に終始していると感じています。重要なのは数ではありません。出会うべき学生さんと企業様がお互いの過去や未来について深くコミュニケーションを取り合うこと。そして互いの未来に対して強いコミットメントを交し合うことです。私たちは学生さんと企業様、双方に深く向き合うことで、この理想を現実のものにしていきたいと考えています。

長期的には『アイカンパニーファーム』というキーワードを掲げています。これからの日本を担う多くの学生さんに、社会で活躍するための力を育み、アイカンパニーの経営者として、志を持って生きることの重要性を伝えていきたいと考えています。そのためには私たち一人ひとりが彼らの手本になるような、次世代に勇気を与える存在になりたいですね。