時代で変わるメディアの役割
グローバルNo,1メディアが手がける採用支援

急速に進むグローバル化や労働力不足など、様々な要因によって、日本の求人市場は変わりつつある。それは求人案件や求職者の属性にも顕著に表れている。グローバル人材・案件に特化した転職サービスのパイオニアであり、転職サイト「Daijob.com」を運営するダイジョブ・グローバルリクルーティング社は、国内の求人市場の動きをどう見ているのだろう。またどのような戦略を取っているのか。同社の横川氏に聞いた。

エンジニア不足によって変わる募集要件

まず御社の事業について教えてください。

主に3つの事業を行っています。一つ目はメディア事業。バイリンガルやミッドキャリアに特化した転職サイト「Daijob.com」を運営しています。会員数は約54万人で、求人案件は約1万件。特徴として、「グローバル人材登録者数」「グローバル求人案件数」「グローバルITポジション数」において国内1位を獲得しました(※2017年ESP総研の調査による)。二つ目はイベント事業で、グローバルキャリアフェア「Daijob Go Global Career Fair」の企画・運営。三つめは人材紹介事業で、ここ2年で特に注力している事業です。

「Daijob.com」の運営を通じて、グローバル案件の属性や市況の変化をどのように感じていますか。

「Daijob.com」において、ここ1~2年で大きく変化しているのは、IT領域の開発系エンジニアです。以前は日本語ネイティブであることが必須、英語が話せる方はなお可、という募集案件が多くありました。ただ近年では、必ずしも日本語がネイティブでなくてもよい案件が増えており、1383件(2015年)から2332件(2018年)に拡大。ITエンジニアの全案件の87%を占めています。

これは、エンジニア不足が関係しています。経済産業省によると、2019年にIT人材の求職者数が頭打ちになり、一方でエンジニアへの需要は今後も伸びていくそうです。しばらく需給バランスのゆがみは続くと思われます。

ITエンジニア以外ではどのようなポジションが多いのですか。

ITエンジニアの次に多いのがバックオフィスです。具体的には財務や会計、総務人事、法務などですね。特に顕著なのが人事。社員が多国籍化しているため、採用や研修、制度設計などを行えるグローバル人事へのニーズが高まっています。その次に多いのは営業職です。

求職者の属性についても教えてください。

「Daijob.com」の登録者は、日本国籍の方が最も多く、最終ログイン日が1カ月以内のユーザーを対象とすると59.2%を占めます。一方の外国籍において、多い国籍はインド、アメリカ、フィリピン、中国という順番ですね。

エージェントが「Daijob.com」を使うメリット

グローバル人材の採用成功のために、御社ではどのようなサポートや取り組みを行っているのでしょう。

これまでメディア事業では、求職者の母集団を形成し、企業様に提供して、自由に活用してもらうというプラットフォームの提供をしていました。しかし活用度合いが大きく異なる状況が分かったこともあり、2017年からは、採用成功までサポートするべく、専門部隊を立ち上げました。例えば、忙しいお客様は、スカウトメールをなかなか打たないこともあるので、私たちが要件整理を行い、求人広告としての打ちだし方やスカウト文面の作成や対象者Bookmark等の採用成功まで伴走するのです。その他、通年を通して企業概要やPRポイント等の取材記事を露出し続けることでサイト内認知度を上げ、オープンポジションが出た際には既にそのお客様への認知・興味がある状態で、求人・スカウトにてリーチできる状態にする取り組みもお客様と一緒になって行っています。

面接以外のすべての採用プロセスの代行もしています。特に最近需要が多く伸びてきているのは、RPO(採用業務代行)で、主にスタートアップ企業での常駐型の依頼が増えています。海外企業が1~5名程で日本法人を立ち上げ、50名規模に拡大したいとき、資金調達できれば早くスケールできます。けれど母集団形成や面接調整、フォローアップ、書類のやり取り等をする時間がない。そんなときに私たちが、面接以外の採用プロセスの代行をしているのです。重要なプロセスは直接判断いただき、それ以外は当社が行うという考えのサービスです。

採用企業向けに入社後のサポートも行っているのですか。

はい、入社後の研修も行っています。特にニーズが大きいのは、「理念やミッション・ビジョン作成のワークショップ」。中核メンバーたちが会社の5~10年後をどうしたいのか、一緒に考えていくというもの。例え日本籍が大半を占めていてもある意味、異文化のメンバーが集まった状態から、目指すGoalがひとつになりますし、同時に離職率も抑制されるのです。

メディアを活用する企業の割合は、求人企業と紹介会社それぞれどれくらいでしょう。

割合は半々くらいです。最近は紹介会社の活用が一段と活発になっています。当社メディア活用の大きなメリットとして、利益率が改善します。他社媒体は成功報酬型が主流のため、成約数が増えても、利益が圧迫されがちです。18年では売上増、利益減という紹介会社が増えたのではないでしょうか。その点、「Daijob.com」は月額固定制で、成約すればそれだけ利益になるので、大手エージェントをはじめ、中小の腕に自信のある紹介会社が活用してくださっています。

注力の人材紹介事業、個人生産性昨対157%、成約を支援する取り組み

成約数を増やすために、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

クライアント1社独占の採用セミナーを開催しています。一般的に人材紹介ビジネスは労働集約型で、業界のスタンダードは1コンサルタント当たり、月間1成約です。1年で中央値を大きく上げることは、個々のみの力量では難しい為、組織としての取り組みを重視しております。

人材紹介事業部の構成もほぼ決まっており、事業部売上は、コンサルタント数×個人生産性であって、個人生産性は成約単価×成約件数でしかない為、どちらかを上げる方針を持つ必要があります。当社ではバイリンガル転職メディア「Daijob.com」を保有し、優秀な候補者の量に絶対的な強みがありますので、成約数を如何に効率よく上げるかがポイントになってきます。

具体的な取り組みの一つに、1次面接数を大幅に増加させることを目的とした、個社採用セミナーの企画・開催があります。求人企業様に当日登壇をしていただく以外の業務である採用要件に合う人材の母集団形成から当日運営以降の人材紹介業務プロセスを我々が行います。1開催30名規模で開催させていただくことが多いのですが、とある企業様では年俸450-600万円の人材6名の採用に成功しています。

セミナーの内容や運営をどのように工夫されていますか。

はい。一例ですが、セミナーの参加者が会場で受付をする際、求人企業様が求めている雰囲気か、コミュニケーションができるか、コンサルタントがチェックしています。そして求人企業様に合いそうな方に、セミナー中に企業の人事担当者様から指名で質問してもらうようにしています。すると、レジュメだけの書類選考では通過しなかったような方も、実際にコミュニケーションを取ることで、企業からの評価が変わり、通過した実績もあります。

またオフィスツアーを開催した後、懇親会をすることがありますが、スタンディング形式か着席かも毎回変えています。前者では人が動くので、コミュニケーションが生まれやすくなります。一方で後者は動きがないため、合いそうな候補者様がいれば、企業の人事担当者様や部長様に「あの方の近くに座ってお話ししてください」と依頼します。

人材紹介のコンサルタントは、企業の文化、採用計画を熟知しており、また採用ターゲットについて見る力をもっております。そのため、ノウハウをもってコミュニケーションを促進させることで、多くの成約を生むことができる為、求人企業様にも候補者様にも当社の介在価値を感じていただける運営が可能になっています。

データを活用した採用支援にも注力していく

人材紹介事業における今後の戦略について教えてください。

一つ目は“勝ちパターンの定着”です。会社から与えられるものを資産に、ファクトベースで考えられ、お客様、候補者様のために何ができるか、自身の介在価値を考えられる人材を育てていきます。そのために社内向け成功事例のプラットフォームを作ると共に、チームの中でもベストプラクティスを共有します。そして、コンサルタント経験者が6ヵ月、1年を掛けて築いたノウハウを、入社間もないメンバーがそれから学び、3ヵ月、6ヵ月で自身のモノとして使えるようになる。そして更なる次のチャレンジを行うというサイクルを育てています。単純に考えると成長スピードが2倍になります。

二つ目は“リソーサーとの円滑な連携”です。システムを活用することで、業務内容や進め方を仕組化し、複数案件のときにもチームで連携を図っていきます。

ありがとうございました。最後に御社の今後の展開を教えてください。

求人企業様の採用成功までのサポートを、組織としてさらに力を入れていきます。システムを活用することで、各営業の動きをデータベース化しつ営業活動に役立てると共に、求職者の動きや応募状況をファクトベースで解析し、データに基づいた成功事例や、求人広告の見せ方・打ち出し方、コンサルタントの提案をしていきます。

また最近では、求人企業の採用担当者様が弊社にて、採用計画等を直接コンサルタントに説明してくださったり、人材紹介事業部ながらも6か月単位の採用計画を提案・進捗させていただいていたり、現在は採用ニーズがなくても、「いい人がいたら直接ご連絡ください」と言っていただくことも。そういった関係性を、より多くの企業様と築いていきます。

エリアでは、大阪へ事業展開していきます。2025年の大阪万博開催が決まりましたし、カジノ誘致で大きな予算が動く可能性があります。そして、「グローバルで活躍したい方に最適なポジションを提供する」という理念の中で、「Daijob.com」を核に新規事業も積極的に展開していきます。