平日はコンサルタント、週末は歌手。
新しいキャリアの可能性を伝えていきたい

人材紹介事業部の歴代記録を続々と塗り替えてきた、若きトップコンサルタント・大島真帆。人と関係性を築くのが得意という持ち前の性格を発揮し、“自利と利他の統合”というマインドをベースに、成約を上げ続けている。そんな大島は、躍進中のバンドで、ヴォーカルとしても活躍している。人材ビジネスと音楽、二つの世界をまたにかけ、大島はどんな未来を思い描いているのか。

会社の名前でなく個人で勝負したい

「生涯を通じて歌を歌い続けて、目の前の人を元気づけたい、って思ったんです。ただ、それは人材業界で転職支援を通じて、求職者をハッピーにすることでも実現できる。だから、人材業界を選びました」

就職で人材ビジネス業界を選んだ理由を、大島はそう振り返る。所属バンド「Penthouse」のYouTubeで配信されている、音楽スタジオでのびのびと歌う姿と、会議室で取材陣を前に、オフィスカジュアルに身を包んでインタビューに応じる姿は、にわかには重ならないが、まぎれもなく同一人物だ。変わらぬ笑顔がそれを示している。

大島は、新卒でリンクスタッフィングに入社した。あえて同社を選んだのは、大島真帆という個人で勝負したかったから。大手企業だと、どうしても社名やブランドが先行してしまうと考えたからだ。

2年半ほど人材派遣に従事した後、人材紹介事業部へ異動に。両面型で、ラグジュアリーブランドの販売職の紹介を行うようになった。だが新型コロナの影響で、案件が2割ほどに減少してしまったため、現在はサービス業やIT、人材業界などにも領域を広げている。また、組織の再構築に伴い分業制となり、CAを担当している。人材紹介事業部の体制は現在、CA・RAそれぞれ3名ずつ。

リンクスタッフィングを志望した理由からも、向上心や成長意欲が伺えるが、実際に人材事業部に異動して2カ月目に、大島は月200万円の売り上げを出した。販売職の紹介フィーは50万~100万円強なので、順調なスタートと言える。

「ファッション業界は自分に関連性がないわけではないし、ブランドのことも何となくイメージできるので、とっかかりとして入りやすかったのもあります。最初は同世代を中心とした求職者にアドバイスをしていき、経験を積むにつれて、少しずつ年齢層の高い方のご支援もするようになりました」

販売職に必要なのは、顧客の潜在的なニーズを引き出し、適切な商品を提案するコンサルタントのようなスキル。特にラグジュアリーブランドは金額が高いため、購入してもらうには商品自体のよさのほか、“その販売員が提案してくれたから”という付加価値が重要になる。結果、顧客との関係性が構築され、リピーターになってもらえるのだ。ただ販売するだけでは、ブランドや商品の力に頼らないと活躍できない人材になってしまう。

自利と利他を統合させる

大島はまず、先輩コンサルタントの見様見真似から始め、何が自分と違うのかを考えたり、面談に同席してもらいアドバイスをもらったりして、スキルアップにつなげていった。根が明るい性格で、年齢に関係なく関係性を築くのが得意ということも、成果につながった。

コンサルタントの介在価値は、求職者が自分では気づけていない魅力や強み、市場価値を引き出し、言語化して伝えることだと大島は話す。誰もが唯一無二の存在であるのに、企業にうまくアピールできないのはもったいない。だからこそ、職務経歴書や志望動機の書き方、面接で何を話すべきかなど、プロの視点から“見せ方”のアドバイスを送っている。

その根底には、“求職者を好きになれる力”があると大島。手を取り合い、一緒に階段を上っていくようなイメージで、転職支援を行っているのだ。

「だからこそ、その方にとって一番幸せな選択肢は何かと考え、長期的に見たとき、弊社の求人を紹介するのが最適でないと思えば、それ以外の選択を勧めることもあります。紹介先企業のいいことばかりだけでなく、マイナスに思われることもしっかり伝えます。内定辞退になってしまったこともありますが、求職者との信頼関係を最も重視しているからこそ、一度決めた方が転職の際にまた私を指名してくれたり、お友達を紹介してくれたりして、結果に表れているのかなと思います」

求職者への気持ちが強すぎるゆえに、本人の意向を最優先し、誰も幸せにならない結果になってしまった失敗談もある。担当した求職者が、内定が決まったものの、辞退して現在の会社に残りたいと大島に伝えた。将来性を考えると転職した方がいい、と確信しつつも、承諾したところ、求職者が残ると決めた会社が倒産してしまったのだ。「私を信じて転職してください、くらい強く伝えておけば、その方にとって違う未来が開けたのかもしれません」と、大島は苦い思い出を振り返った。

そういった経験もあり、大島が大事にしているのは“自利と利他の統合”だ。 “あなたのために”という利他の気持ちと、 “クライアントのために”“自社のために”といった自利を融合させ、誰もがハッピーになるような選択肢を、コンサルタントとして提案している。

トップコンサルタントへと飛躍させた一件

大島にとって、忘れられない成約がある。アパレル業界で、販売職から本部職にキャリアチェンジした女性を担当したときのこと。その候補者は年上で経歴も華やか、能力も高い。本来ならおじけづきそうなものだが、何としても自分が転職支援をしたいと、大島の気持ちは高まっていった。結果、リンクスタッフィングの求人では最難関の、医療コンサルティング企業への入社が決まったのだ。しかもその候補者は入社後に活躍し、社員紹介ページで取り上げられるほどの存在になった。この一件は、大島の大きな自信になっているという。

「それまで私は同じ業界で、販売職から販売職、本部職から本部職など、同じキャリアでの転職支援しかできていませんでした。けれど、違う業界・職種へのキャリアチェンジを、その方のポテンシャルだけをもとに導けた。CAとしてステップアップできた、忘れられないエピソードです」

2019年には、クォーターで過去最大の受注金額をつくり、MVPとして全社で表彰された。2020年も、大島のチームが月間MVAとして表彰された。名実ともにトップコンサルタントとなった大島は現在、現場で活躍しつつ、ほかのメンバーの育成にも力を入れている。

KPIは、スカウト数や求人紹介数など、行動量に基づいたものが中心。営業数字で最も重視しているのは粗利だ。求人開拓に外部媒体を使用しているため、かかる経費は小さくない。その分、ハイキャリアの候補者を決めていけるように、一人ひとりを成長させていくことを課題・目標にしていると、頼れるリーダーは笑顔を見せた。

平日はコンサルタント、週末はバンド

もうひとつの“本業”である音楽と、大島はいかに出会ったのか。物心ついたころから、大島は自然と歌手になりたいと思っていた。DREAMS COME TRUEの吉田美和さんの歌声に感動し、歌手への思いはより強くなった。中学校でミュージカルクラブに入り、ボーカルレッスンにも通い始める。高校に進むと軽音楽部に入り、バンド活動を開始。大島の歌唱力とパフォーマンスは聴衆をくぎ付けにし、ライブをすると他校生からバンドの誘いが相次いだ。さらには大手芸能事務所から、新人育成プロジェクトのメンバーに抜擢され、一年間レッスンを受けた。

だが結局デビューにはいたらず、リンクスタッフィングで社会人生活を送り始めた2018年、大きな転機が訪れる。Penthouseからの誘いだった。

「歌うことは続けていたのですが、当時は仕事も忙しく、音楽と疎遠になっていると感じていました。仕事は楽しいけれど、どこか味気ない無味乾燥の日々でした。そんなときに、大学の音楽サークルの同期から誘ってもらい、やるしかないと二つ返事で引き受けたんです」

大島の人生で、消えかけていた“歌手”の存在に、再び灯がともった瞬間だった。平日はコンサルタント、週末はバンドの練習という日々が始まった。ほかのメンバーも、一人を除いて仕事を別に持っており、両立しながらの活動である。

音楽への考え方や向き合い方も変化した。それまで大島は、好きな音楽を楽しく発信してきた。Penthouseはそれに加え、“いかにたくさんの人に聞いてもらえるか?”という視点を大事にしている。

「YouTubeやツイッター、インスタグラムなどを上手に使って発信しています。私以外のメンバーはみんな東大出身で、めちゃくちゃ賢い(笑)。バズる仕組みを分析して何を投稿するか考えています」

働きながらでも夢は追いかけられる

2021年6月現在、Penthouse のYouTubeの登録者は3万1,000人超、ツイッターのフォロワーは1万4,000人、インスタグラムは1万1,000人と、かなりの影響力を持っている。仕事があって忙しい、疲れている、などと言い訳せず、限られた時間での活動に全力で打ち込むメンバーたちに刺激を受け、大島の野心も再燃している。「やるからには、Penthouseとしてもコンサルタントとしても、もっと活躍していきたいですね」と力強く話す。

一方で、バンドがもっと有名になったとしても、会社員との両立にもこだわっていきたいと大島。自分の姿を通じて、人々に新しいキャリアの可能性を見てもらいたい、という思いがあるからだ。

「夢があっても、就職したら諦めないといけない、と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。働きながらでも夢を追いかけられる、と伝えていきたいですし、その姿を見せていきたい。だから、今後もできる限り、コンサルタントとバンドは両立していきたいです」

コンサルタントとして思うような成績が出ないとき、バンドのファンから応援の声をもらい、元気づけられることもある。一方で、仕事での喜びや達成感が、音楽活動に相乗効果をもたらすことも。コンサルタントと音楽、一見すると全く異なる世界は、確実につながっている。どちらも大島にとって大事で、欠かせないものなのだ。

トップコンサルタントは、転職支援だけでなく、自らの生き様を通じても、求職者にメッセージを届け続けている。キャリアは自由なんだよ、したいことがあれば全部実現させよう、と。私はあなたを応援していくから、と。