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コロナ禍でリモート派遣に需要が高まる理由

人材派遣からその歴史をスタートさせ、人材紹介、アウトソーシング、採用支援、DX化などHRビジネス全般を行っているCRGホールディングス株式会社。専門領域に特化したグループ各社が知見を発揮し、企業のあらゆる採用課題に応えている。そんな同社が、コロナ禍で特に注力しているのがリモート派遣だ。そのメリットや企業からの需要が伸びている背景、同社のサービス事例などを古澤社長に聞いた。

リモート派遣への高まる需要

まず貴グループの事業概要について教えてください。

大きく3つあります。主軸にしているのはHRサービス。コールセンター向けの人材派遣が主軸ですが、培ったノウハウを活かし、クライアントの様々な課題の解決も支援しています。また、CXOなどのハイキャリアの人材紹介も行っています。クライアントは人材会社を中心に、管理職が必要な企業や、上場を目指している企業など。ほかには採用支援や採用代行も手掛けています。

二つ目はアウトソーシング事業。工場における製造・物流を中心に、システム開発などの請負もしています。直近で強化しているのは、リモートBPOと言われる在宅での電話対応やデータ入力。全国に数十万人いる弊社の登録者をリモートで活用することで、費用対効果もよく、コロナで案件がなくなってしまった、出勤が難しいという登録者も活躍できるため、ニーズが高まっています。

三つめは、RPAやAI、OCRなどの導入を通じ、業務効率化やDX化を支援するテクノロジーサービスや、SaaS型採用業務効率化・改善サービス「採用見える化クラウド」の提供をしています。また、大量の人材の採用・管理で苦労している企業向けに、勤怠管理に特化したシステムの企画開発なども行っています。

コロナ禍で需要が高まっているサービスはありますか?

フィールド系のリモートサービスです。例えば東京のお客様から、「大阪で写真を撮ってきてほしい」「契約書の回収をしてきてほしい」などのオーダーを受け、全国の登録者に対応してもらうのです。リモートBPOもそうですが、感染拡大に伴いリモート系の需要が増えています。

また、コロナ禍で急速に進んでいる、書類の電子化サービスもしています。書類を送ってもらい、電子化するサービスは以前からありましたが、重要書類は外に持ち出せません。そのため弊社では、企業に専門スタッフを派遣し、高い品質とスピードでスキャンサービスをしています。こちらも全国の登録スタッフと連携しながら行っています。

地方での障がい者雇用支援もあります。現在、障がい者の法定雇用率は2.3パーセントで、多くの人材を抱えている企業は雇用を促進する必要があります。しかし地方では、大企業の求人オーダーは多くなく、障がい者の働ける場所も少ないのが現状です。そこを弊社がマッチングするサービスです。働き方としては、弊社がサテライトオフィスを地方に設け、各企業のブースで障がい者の方々に働いてもらうことで、企業と働きたいと思う全国の障がいを持つ方を支援することができます。

ユニット型派遣の大きなメリット

新型コロナで、派遣事業はどのような影響を受けましたか?

2020年7月から2021年2月ころまで、コールセンター派遣では、スタッフの契約終了が相次ぐなど大きな影響がありました。人材の需要が減ったというより、各企業が直接雇用に切り替えたため、派遣のオーダーが減ってしまったのです。現在は、自治体やワクチン関連のコールセンター派遣など、コロナ需要で業績が回復していますが、いつまでも続くわけではないので、ウイズコロナの派遣のあり方を引き続き模索していく必要があると考えています。

派遣事業の利益拡大のために、取り組んでいることを教えてください。

コールセンターや工場への派遣では、ユニット型の派遣を強化しています。具体的には、一人の責任者とスタッフ10名などを、一つのユニットとして派遣しています。ユニット型であれば、責任者が日ごろからスタッフと顔を合わせ、相談に乗ることもできるので、離職率の低下につながるのです。コロナ需要で、このユニット型への需要が増えています。ただ、責任者を務められる人材は多くないので、正社員で募集したり、登録スタッフから募って教育したりしています。

またユニット型でなくても、現場に事務担当を配置するケースもあります。これは欠勤率を下げるためです。これまではスタッフのフォローや、欠勤があったときの理由の確認やスタッフの体調確認など、営業担当が行っていました。ただ、本来の業務が回らなくなってしまいますし、残業が増えると労務問題にもなります。そこで分業化を図ったのです。営業担当の負担も減りましたし、派遣スタッフの欠勤率も改善しています。

派遣スタッフのキャリアアップ支援ではどのような施策を行っていますか?

キャリアアップを目指したい方には、もちろん教育も行いますが、責任のある立場を与え、役割を明確にしています。その先に、派遣スタッフから正社員など、雇用の切り替えを通じてキャリアアップを実現した登録者もいます。専門技術・知識を身に付けて、スペシャリストを目指してもらうケースもありますが、それだと派遣会社に帰属しづらいと考えています。

リモート派遣を成功させるには

需要が高まっているリモート派遣には、改めてどのようなメリットがあるのでしょうか。

コールセンターへのユニット型派遣で、リモート勤務の場合、責任者には弊社の事務所に出勤してもらいます。ただ、10名ほどのスタッフは全てリモート勤務です。業務のスクリプトやQ&Aなどを制作してスタッフに共有し、自宅でインバウンド・アウトバウンドともにコールセンター業務を行ってもらっています。

従来のように出勤があると、企業はオフィスを用意しなくてはいけません。またアルバイトスタッフを自社雇用すると、家賃に加えて人件費も毎月支払う必要がある。繁忙期・閑散期がある場合は、大きなロスになります。

リモート派遣は、基本的に成果型なので、必要以上の人件費が発生しません。派遣スタッフと個人情報の管理さえきちんと行えれば、BCP(事業継続計画)の観点からも、リモート派遣はリスクが少ないのです。需要が伸びているため、現在はインサイドセールスのリモート派遣チームも作っており、すでにオーダーが入っています。

ありがとうございました。最後に派遣事業はこれからどうなっていくか、見通しをお聞かせください。

人材派遣のマーケット全体の売上は、コロナの影響で縮小していますが、働き方が多様化している時代なので、派遣という働き方はさらに拡大していくでしょう。ただこれまでのように、一か所に集まるのでなく、リモートなど場所に限定されない働き方になっていくと思います。

また業務内容を分散化し、コア業務以外は外部にアウトソースする流れも進んでいきます。実際に、人事(労務管理)・総務を全て請け負うサービスへの需要が高まっています。

派遣スタッフは、スキルアップや専門技術を身に付けないと、生き残るのが難しい時代でもあります。そのため派遣会社は、いかに一人ひとりの育成をしていくかが重要になるでしょう。