年齢・学歴より経験・スキルを重視。
少子高齢化に対応する独自の採用基準で業界に変化を

年齢や学歴など従来の採用基準にとらわれず、スキルと経験を重視したハイクラス派遣・紹介をおこなう企業、アドバイザリーグループ。育児や介護で離職期間がある求職者や、65歳以上のシニア採用にも積極的だという。あえてシニアやブランクがある人の採用にこだわる理由は何か。代表取締役・CEOの松岡ジバゴ氏に聞いた。

経験豊富なシニアやワーキングマザーこそ少子高齢化に必要な人材

御社の紹介領域を教えてください。

財務、経理、監査、人事、マーケティングなど、主にバックオフィス業務のハイクラス人材を紹介しています。正社員や契約社員はもちろん、繫忙期やプロジェクト単位での短期採用など、クライアント企業のニーズに合わせた紹介も得意としています。

独自の採用基準があると聞きました。

アドバイザリーグループでは、従来の主な採用基準である年齢や学歴よりも、スキルや経験を重視します。年齢は45歳から60歳辺りが中心で、それ以上のシニアワーカーも多く在籍しています。育児や介護、定年などで離職期間があっても、高い技術や能力、ポテンシャルがあれば積極的に紹介します。

日本企業では、高いスキルや豊かな経験があるにも関わらず、家庭や身体の事情で離職期間があったり、年齢が若くないだけで採用されなかったりする現実があります。ですが、この方々は少子高齢化の日本社会に必要な人材だと、我々は考えています。

独自の採用基準を設けるに至った背景を教えてください。

アドバイザリーグループを立ち上げる前、私は大手の人材派遣会社に在籍していました。大手は基本的に、若年層にフォーカスします。そのため、経験が豊富なシニアワーカーや、能力があるのに評価されないワーキングマザー、中小企業の隠れた逸材などを見逃してしまうと、在籍中に感じていました。

また、日本はフリーランサーにネガティブな印象を持つ企業が多く、採用のふるいにかからないことがありますが、フリーランサーは特定分野のプロフェッショナルとして、柔軟な働き方ができます。そのため、一定期間のプロジェクトや短期雇用にとても親和性があることにも着目していました。

合わせて、才能や経験がありながらも、介護や育児などで時間の融通を利かせるために正社員を諦めた人も、少なからずいます。私たちは、この方々が持つ能力を活かし、実力ある人材を求める企業に紹介することが、ブランクや年齢でキャリアを諦めた方々の自信を取り戻してもらうきっかけになると考えています。

職を失い窮地に立たされた求職者が正社員に。
事業は間違っていなかったと確信

ハイクラスのシニア人材の派遣というところで競合はいますか?

業務面での部分的な競合はいますが、まったく同じコンセプトの企業は日本にはないと思います。弊社の業界ポジションは、大手コンサルティング会社と、人材エージェントとの、ちょうど中間だと思います。大手のコンサルティング会社は、大手クライアントからプロジェクトを受注し、大手人材会社は求人に対して人を派遣、紹介します。

弊社では、中堅のクライアント企業からプロジェクトを受注し、人材をご紹介したり、大手企業が受注したプロジェクトから派遣の依頼を受けたりすることもあります。その中には大手コンサルティング企業をリタイアした人をご紹介することもあります。直近5年では、派遣と紹介の売上比率は半々です。いずれのクライアント企業も、私の15年間の人材業界経験で培った信頼関係の上で契約をしているため、弊社が紹介する人材の属性やメリットをご存じです。クライアント企業からのオーダーの中には、正社員が見つかるまでの即戦力となる派遣スタッフや、プロジェクト単位での採用も多く、経験と実力を兼ね備え即戦力になるシニア世代やワーキングマザーの紹介が喜ばれることも多々あります。

シニアや育児中の求職者を採用に導くために、どのような工夫をしていますか?

企業の多くは、若くて長く働ける人材を求めます。日本で長く続いた終身雇用制度や正社員重視の慣行が、若手・学歴採用に拍車をかけてきたかもしれません。ですが、若手・学歴採用はクライアントからするとレッドオーシャンです。大規模で財力のある企業でなければ、希望の人材を採用するのは難しいことを意味します。我々は視点を変え、年齢や離職期間などに関係なく、実力がある人をまずは派遣で紹介し、クライアントにご納得いただいてから正社員登用へつなげる取り組みを進めています。雇用条件によっては大手人材派遣企業よりコストがかかることなく紹介できる点も、クライアント企業が弊社の人材を積極的に採用くださる理由の一つになっていると思います。

先日、我々の事業が間違っていなかったと確証する出来事がありました。あるシニアの求職者様で、住宅ローンと高齢の両親の介護を抱え、子どももいるのに職が見つからず、窮地に立っておられました。従来の「若手・学歴」といった採用基準では面接にも至らない状況でしたが、弊社のサービスを通して無事に仕事が見つかり、半年後には正社員になりました。我々の事業でその方の窮地を救えるなんて、素晴らしいことです。このような経験の積み重ねがモチベーションになっています。

日本は今後もしばらく、少子高齢化が続きます。労働人口が減少している部分に、従来の基準では採用されなかった経験やスキルが豊富な人材を活かし、労働雇用マーケットのアンバランスを埋めていければと考えています。

人材業界にポジティブな変化をもたらし、
誰もが働きやすい社会をつくる

コロナによる影響はありましたか?

コロナ禍で働き方が一気にフレキシブルになったことは、バックオフィス業務の紹介を主とする弊社にとってポジティブなインパクトでした。これまでは出勤ありきだった業務がフルリモートになれば、育児や介護で出勤できない方々の雇用先が増えます。

一つ課題を挙げるとするなら、在宅業務は時間の区切りがつきにくいため、働き過ぎてしまう人がいる点です。クライアント企業としては働いてくれるに越したことはありませんから、あえて働きすぎを注意することはしないでしょう。ですが、この関係はいずれ求職者のストレスになります。我々が仲介し、クライアント企業と求職者、双方が無理なく関係を続けられるよう注力していかなければなりません。

御社の社員採用や教育にはどのような特徴がありますか?

従来の採用に対する価値観を変えていくことが我々の使命ですから、アドバイザー(コンサルタント)はなるべく人材業界の経験、固定観念が少ない人を採用しています。面接では、共感力と傾聴力に着目しています。我々がクライアント企業に紹介する求職者は、いずれも経験豊富でスキルがありますので、個々の能力をじっくり聞いて、クライアント企業に説明するスキルが必要だからです。また、クライアント企業の要望を理解し、求職者の希望と上手くバランスをとる能力も求められます。入社後は、私が主となり、2~3カ月間は仕事の現場を見せながら仕事を覚えてもらいます。アドバイザーが仕事に自信を持ったら、後は適宜OJTで知識をつけていきます。

今後の展望は?

弊社の採用基準を通じて、人材紹介業界にポジティブな変化を起こし、誰もが働きやすい社会にしていく取り組みは、当面変わらず続けていきます。その上で、もう少し利益が出たらやりたいことが2点あります。まずは、育児をしながら働ける環境づくりのために、保育園を作りたい。そこで、子ども達に英会話も教える。これからの社会は、バイリンガルであることが必要になると思います。そして、昨今社会問題となっている空き家を買い取って保育園や介護施設にリフォームする。さらに子どもと高齢者が交流できるコミュニティができれば、なおいいですね。