コンプライアンス最優先の経営で
未来永劫愛される企業に

全国に24の拠点で、人材派遣・紹介、アウトソーシング事業等のサービスを展開するサウンズグッド。総合人材サービスを手掛けるSGグループの一社として右肩上がりに業績を伸ばし、今年度で設立15年目となった。業績を上げ続けられる理由や志、取り組みなどについて、同社取締役の森川竜平氏に聞いた。

大口契約を狙わず1人の派遣を大切にした創業時

最初に、事業概要をお聞かせください。

サウンズグッドは、SGグループの人材派遣の中核会社として全国24拠点で運営しており、IT・製造・軽作業・オフィスワーク・介護・看護・保育・ホテル&リゾート・外国人人材など幅広い人材需要に対応しています。グループ企業としては、サウンズグッドの他に、コールセンターやアウトソーシング事業に特化したジャストファイン、ドライバー派遣のドライブトライブ、スキマバイトマッチングサービスのグレフ、特定技能人材支援の日本料飲外国人雇用協会、日本最大級のスキー場情報サイトを運営しているインプレイがあり、今期さらに2社、業種特化型の新会社を設立予定です。

サウンズグッドは2009年5月に設立し、のべ20万3,480人の登録スタッフと、8,392社のお客様に支えていただき、今年でちょうど15年目を迎えることができました。(※23年5月30日時点)創業当時は、大手企業のグループ会社というわけでもなく、商談は成立しても実績がないことから与信が通らず契約ができない事も多々ありました。8ヶ月間ほどは赤字状態が続き、想像を絶する苦労をしました。

どのように契約数を増やしたのでしょうか。

大手派遣会社のような数十人~数百人規模の大口の取引を目指すのではなく、1名でも採用してくださる企業があれば、企業規模に関わらず契約しました。地道な営業活動で少しずつ実績を積み重ねていった結果、大手企業との契約も増え、初年度を7億8,900万円の黒字でスタートできました。このとき、1名の採用の重さ、ありがたさを感じられたことは、「企業とヒト、ヒトとヒトを笑顔で繋ぐ企業であり続ける」という当社のミッションに大きく影響しています。

ちなみに、社名をサウンズグッドにした理由は何ですか。

〝Sounds Good〟 は英語で「それ、いいね」を意味します。相手の依頼や提案などに対しては、共感する意味合いとしても使われる表現でもあり、まさに私たちのサービスに対して、お客様やスタッフから「Sounds Good」と言っていただく企業を目指そう!と社名をサウンズグッドにしました。社名は創業メンバー皆で話し合い、最終的には投票で決定しました。

グループ売上210億円を2年後350億円に

毎年着実に業績を伸ばし、グループ会社も増え続けています。特別な戦略があれば教えてください。

会社のミッションや営業戦略も重要ですが、従業員一人ひとりの高い「チャレンジ精神」が業績アップに貢献していると感じています。弊社の行動指針のひとつにも「夢と高い志をもって何事にもチャレンジしよう」と掲げていますが、チャレンジを歓迎する社風ですので、常に新たなアイデアを皆で出し合い、決めていく作業を日常的に実施しています。以前からチャレンジ精神が高い社員が多いのですが、近年は「リファラル採用」で入社してくれた社員も多く、チャレンジ精神の高い人材のつながりから良い化学反応が起きているようにも感じています。それと同時にグループの従業員数が400人を超えて働き方や仕事への価値観が多様化した現在は、それぞれが働いて幸せになれる環境を重視しています。

売上比率が高い業種は?

全売上の約4割は「IT・製造・物流」、約3割が「コールセンター・事務」、2~3割が「介護・看護・保育」です。なかでもIT関連の業種はここ数年で最も需要が高まっており、弊社では「IT・エンジニア事業推進室」として専門の事業部が対応しています。

現在、サウンズグッドのみの売上は102億円、グループ全体では210億円です。25年にグループで350億円を目指しています。今期、新たに2社設立しますし、ここ数年注力しているIT・エンジニア領域のご支援や昨年22年よりアフターコロナの需要を見据えてスタートしたホテル&リゾート事業部もインバウンドの回復をうけ契約が増えているので、350億円は実現可能な数字だと思います。

世間では、ホテル・リゾート業は人材不足と言われています。どうやって派遣スタッフを集める予定ですか?

いくつかの手段があります。ひとつは、他業種の求人で登録していた当社のスタッフに、ホテル・リゾート業界で働くお誘いをすることです。ホテル・リゾート業でのお仕事は、「旅」や「非日常」と直結します。他の業種にはないホテル・リゾート派遣ならではの魅力をメールマガジンやLINE、note(登録者が自由に文章や写真を投稿できるメディアプラットフォーム)で発信しています。また、今年5月より「登録支援機関」としての認定を受け、特定技能の外国人人材の支援も開始しました。特定技能の宿泊・外食分野ではホテル・リゾート業の人手不足解消に大きく貢献できると考えています。

外国人雇用にも注力していらっしゃるので、御社の従業員も多国籍なのでしょうか。

そうですね。現在グループの従業員数は464人で、うち外国籍の人が35人在籍しています。支店長やマネジャーなどの責任者もいます。当たり前ですが、社内評価制度は国籍に関係なく、みな平等に評価しています。彼らは基本的にバイリンガルやトリリンガルで探求心が強いので、もう私なんかは敵いません。(笑)

御社内の評価制度や研修などの特徴を教えてください。

評価制度としては、売上やKPIなど数字の評価軸も設けていますが、前期は見直しをしまして、エキスパート職とスペシャリスト職の軸も評価に加えました。マネージメントが得意な人と専門技術が優れた人など、それぞれ異なる能力を公平に評価するための改良です。また、挨拶や仕事への姿勢など、サウンズグッドの行動指針に沿った行動を評価するバリュー評価も取り入れています。常により良い会社作りを目指し、改正内容は従業員アンケートの結果をもとに決めています。

研修の特徴は、大きく2つあります。1つめは「元労働局長」が顧問におりますので、毎月コンプライアンス会議の実施や全国の拠点の派遣元責任者へコンプライアンスの定期指導をしています。2つめは現役の「派遣元責任者講習の講師」である顧問が、入社後全員に派遣法などの研修を実施しています。コンプライアンスの徹底は、我々がもっとも注力するポイントの一つです。

コンプライアンス最優先の経営が社の未来をつくる

コンプライアンス徹底をもっとも注力するポイントに挙げる理由は何でしょうか。

理由は2つあります。1つめは、派遣労働者の「権利」を守ることです。派遣法では、派遣労働者に派遣先と同一の労働条件を保障することが義務付けられており、その義務を果たすことで、派遣労働者は安心して働くことができるからです。

2つめは、派遣先企業からの「信頼」を獲得することです。派遣先企業は、派遣会社がコンプライアンスを守っていることを前提に、派遣労働者を受け入れています。仮に派遣元企業がコンプライアンス違反を起こすと、派遣先企業からの「信頼」を失い、派遣契約を解除される可能性があります。許認可事業である派遣会社として社会的責任を果たして行くことで、100年先も社会に役立ち続ける企業にしたいと思っています。「働く人たちを幸せにしたい」そう思ったとき、コンプライアンスの最優先は外せないポイントです。

ともに働くすべての人を楽しく幸せにする企業として、コンプライアンスを最優先させる経営を、今後も継続します。

派遣スタッフにも御社の思いが伝わっているからこその企業成長なのでしょうね。

そうだとうれしいです。派遣社員とは、臨時的に働くことだけが目的でなく、スキルアップや新たな挑戦ができる選択肢だと思っています。

また、派遣社員という選択肢をサポートする会社として、不合理な待遇差のない賃金水準の向上にも取り組んでいます。20年4月から同一労働同一賃金が施行されましたが、弊社では、ハローワークや関係団体が主催するセミナーにも積極的に参加しています。また、派遣先に対しても派遣法の周知を目的に、労働局主催の派遣先の研修へ案内をしたり、当社の顧問による研修会の実施などにも力をいれています。

最後に、派遣スタッフに対する新たな取り組みがあれば教えてください。

就活に苦戦する学生を助け、就職時に即戦力となるよう育てるプロジェクトを派遣先企業様と連携して行っています。社会人スタート時の土台として、本人のキャリア形成支援をする取り組みになります。今後も社会における様々な課題解決に向き合い、皆様から共感・賛同していただけるサービスを提供していきたいと思います。