競争と共創でファッション業界の変革を助け、世界を豊かに新時代は始まる

1999年にコンサルティング会社アイ・ディ・アクセス(現株式会社iDA)として創業し、2012年にiDAをはじめファッション業界の異なる領域に従事する複数の専門サービス会社の集合体となったワールド・モード・ホールディングス株式会社を設立。22年に10周年を迎えた同社だが、DX化やコロナ禍で大きく様変わりしたファッション業界の中を、今後どう展開していくのか。22年にiDA代表を後任に託し、現在はワールド・モード・ホールディングスのグループ代表として新たな挑戦を続けている加福真介氏に、業界が抱える課題や中長期の展望などについて聞いた。

人材サービスから総合ソリューションへ

最初に、グループ設立の経緯を教えて下さい。

ファッション・ビューティー業界は、グループ設立の少し前から変化のスピードが速まり、コロナ禍でさらに加速しました。クライアントが直面する課題の複雑化を目の当たりにし、「人と企業を繋ぐだけのサービスでは課題は解決しない。もっと能動的に人や企業に関わりサービスの提供価値を高めたい」と考えるようになりました。多様で専門性の高いソリューション組織で、人材サービスと併せて複合的なアプローチをするグループの必要性を感じ、設立に至りました。

総合ソリューションのためには、ファッション業界への情熱と意欲が高く、且つ多様な専門性を持った仲間を集めることが必要でした。加えて、メンバーが自由闊達で共通の目標に向かう組織にする必要もありました。幸い、業界を代表するレベルのプロフェッショナルなメンバーが集まってくれ、マーケティング会社、研修会社、テック会社、店舗運営代行会社、ヴィジュアルマーチャンダイジング会社とグループ会社が増え、それらを融合して提供する本部体制も整ってきました。人材サービスと総合ソリューショングループには、大きなシナジーがあります。顧客の事業を理解し課題を解決することは、人材サービスの質の向上につながります。人材サービスの質が高まれば、ソリューション事業の成功確率も高まります。

現在は、シンガポール、マレーシア、ベトナム、台湾、オーストラリアの5か国へ海外展開もしています。高品質な日本のサービススキルを活かしてアジア太平洋地域全体のファッション市場に貢献するとともに、海外展開を推進し情報や人材が集まるハブとなることで日本のファッション業界の発展を支えてゆくことが目的です。海外進出5周年を迎えた本年は、シンガポールにAPAC(Asia-Pacific)本部を設置し、各事業会社のCI(Corporate Identity)をWORLD MODEに統一しました。統一には、グループの総合力を生かして顧客のニーズにワンストップで応えていきたいという思いを込めています。今後は、タイやインドネシア、ASEANでの拠点を拡充します。さらに香港にも拠点を設け、韓国や中国などAPAC全域の拠点展開も進める計画です。インターナショナルブランドはもちろん日本企業も複数の国に展開しますので、アジア太平洋地域において、当社がしっかりと信頼を得て、全域でサポートできる会社になることを目指しています。

競争と共創で業界変革に挑む

ファッション業界の変化と、それに対する御社の施策を教えてください。

ファッション業界はいま、大きな転換点にあります。消費者の価値観が多様化し、より質の高いCX(カスタマーエクスペリエンス)が求められているため、バリューチェーン全体の経営システムをデジタル起点で再構築する動きが起きています。また、日本の少子高齢化と人口減が予測される中で、海外展開する企業やインバウンド対応を強化する動きが増えています。さらに、環境や人、社会に配慮したサステナブルなファッションを求める声が広がっています。これらの変化への対応を推進できる人材を、いかに集め活躍してもらうかが課題です。例えば、デジタル化で生産性やサステナビリティを推進して優秀な人材を惹きつけ、働く人が誇りと情熱を持てるようになれば、CXがより向上するというように、業界課題と人材の間には強い相関関係があると考えています。そのために、ワールド・モード・ホールディングスではグループ内の人材、教育、店舗、マーケティング、IT、空間デザイン、海外支援など事業ネットワークを広げて連携を強化していきます。さらに、クライアントや取引先、同業他社、クリエイター、専門家、学校、地域社会とも連携を図っていきます。

また企業の変革を推進するために、人材に求められる能力要件は日々アップデートされ、専門教育や丁寧なフォローが必要となり、人と企業のマッチングはますます高度化すると考えられます。専門性がない人材サービス企業は、介在価値を発揮しづらくなります。当社の場合は総合ソリューション力を活かして、社内外の専門家とともにクライアントが迅速かつ柔軟にプロジェクトを遂行できるよう、多方面から支えていきます。

リテールやホスピタリティの業界は人材が不足しています。どのような解決策をお考えですか?

コロナ禍が収束し、国内需要とインバウンド需要が回復し始め、ファッション業界の採用ニーズも増えてきた一方で、需要に比べ人材が大幅に不足しています。その解決には、社内外の連携が不可欠だと考えます。一例として、学校との連携が挙げられます。現役プロフェッショナルから学べる機会の提供、当社の取引先へのインターンシップ、就職説明会などを実施し、若い世代の方々がファッション業界で活躍し未来を支えてくれるように、ファッション業界の楽しさを伝えていきたいと考えています。

また、マーケティングソリューションと組み合わせて、短時間のEC支援業務やインフルエンサー業務を創出するなど、多様な働きかたの実現へ向け、グループの専門サービスと組み合わせながら人材サービスの幅を拡げていきます。働き方の選択肢が広がることで、ライフスタイルに変化があってもキャリアを諦めずに歩み続けられるようになり、業界で働く魅力を高めることができます。グループの海外拠点や海外の学校と連携し、日本で就業する人材の採用と研修も強化します。そして、同業他社とも連携を図ります。働く人を幸せにしてファッション業界に貢献するという想いはどの会社も同じですので、健全な競争に加え、共創もしていきたいと思います。

シームレス社会への取り組みが業界の未来をつくる

ファッション・ビューティー業界は今後どう変化していくとお考えですか?

リアルとオンライン、さらには国境がシームレスになっていくと考えています。日本に居ながら、パリに本店を持つブランドのニューヨーク店の在庫をインターネットでチェックし、オンラインで販売員に相談、週末には日本の店舗で商品を吟味しオンラインで決済したら、パリに新婚旅行へ行ったときに本店で受け取りパートナーへサプライズプレゼント、といった買い物が実現していくでしょう。また、これから増々日本へのインバウンド旅行客が増え、世界中からのお客様を店舗やオンラインで接客する機会が増えていきます。ファッションやビューティーは、人を幸せにする産業です。デジタル化が進んでも、最終的に差別化を図れるのは「人」です。販売員に求められるスキルの幅は広がり、店舗とオフィスの社員の連携が進み、世界中の社員が連携していくようになるはずです。当然キャリアパスも拡がり、台湾に住みながら日本企業で働くなど、働き方の多様化が進むでしょう。サステナビリティへの企業の取り組みや生活者の意識は日本でもますます高まっていきますし、社員のウェルネスを追求する企業も間違いなく増えます。買う人はもちろん、働く人にも選ばれる企業や業界が持続的に繁栄すると思います。

今後の展開をお聞かせください。

優秀な人材や先端ソリューションが集まる日本およびアジア太平洋地域のプラットフォームとして、ファッション・ビューティー業界の発展を支えていきたいと思います。まずは、人材のキャリアデベロップメントの国際化に注力していく予定です。今後はアジア各国において、ラグジュアリーを中心としたファッション・ビューティー市場が日本以上のスピードで拡大するため、優秀な人財育成が必要不可欠となります。販売員で例えると、日本のインバウンドに対応して、アジアの人材が日本で働き接客経験を積み、母国に帰り接客販売のスペシャリストとして市場成長をけん引していく。それがキャリアデベロップメントの国際化のイメージです。

また、マーケティングやヴィジュアルマーチャンダイジングなどの国際化も進めます。海外製品を日本で販売するために海外市場でマーケティングを実施したり、日本への観光客のために、海外展開先での効果を狙って日本でマーケティングを実施したりすることを、グループの海外ネットワークを活かして実行していきたいと考えています。日本のクリエイティビティや分析力、ヴィジュアルマーチャンダイジングで各国市場に貢献するとともに、日本企業の海外展開をしっかりとサポートしていきます。

これからもワールド・モード・ホールディングスは、業界貢献に全力で邁進します。そして世界へと拡げていき、日本と世界のファッション・ビューティー業界や人と人が繋がりながら発展していく未来を支えたいと思います。そのためには、たくさんの魅力的な仲間が集まる会社となり、ITへの投資や事業開発、新しい国への進出などのチャレンジを続けていく必要があります。簡単なことではないですが、絶対に成し遂げます。

最後に、私が大切にしていて、グループのiDAの社是にもなっているディズニーの言葉を紹介させてください。〝If you can dream it, you can do it〟 (夢を見ることができればそれは必ず実現できる)。これからも常に将来を見据え、前向きな努力を続けていきます。