定着率と採用フィーの低さが特徴
13億人の人口を有し、世界5位(※2016年度)のGDPを誇るアジアの大国・インド。今なお経済成長が続き、2028年にはGDPで日本を追い越すと予想されている。そんな圧倒的な市場規模とチャンスがあるインドで、人材ビジネスを行っているのがReeracoen Indiaだ。
――インドで人材ビジネスを行っているReeracoen India(リーラコーエン インド)様は、どういった領域で事業展開しているのでしょう。
主に3つの領域です。一つ目は現地の日系企業へ、インド人の中途採用支援。業種は総合商社、コンサル、物流、メーカーなどさまざまです。二つ目は、インドで働きたい日本人を現地の日系企業へ紹介。業種は工業団地のサプライヤーなどが多いですね。三つめは、IT技術者をはじめとしたインド人の日本での就業支援です。
クライアント企業で最も多いのは日系企業で、全体の約8割。外資系とローカル企業が約1割ずつです。
――人材ビジネスを行う上で、インドというマーケットが、日本と異なるポイントを教えてください。
インドは東南アジアの中でも、他国と比べて定着率が低いのが特徴です。一年で平気で辞めることも珍しくありません。私たちにとってはビジネスのポイントが多いのですが、その分、採用コストは低くなります。日本で紹介フィーは30~40%ですが、インドでは一か月分の給与に相当する8.33%が一般的。インドは歴史が深い国で、マーケットプライスが決まっているため、人材ビジネスに限らず、元々の基準で物事をとらえる文化があります。数字では厳しい市場と言えるでしょう。
――求職者開拓はどのように行っているのでしょうか。
媒体が中心で、8割がNaukri (https://www.naukri.com/)です。あとはMonster (http://www.monsterindia.com/)やShine (https://www.shine.com/)といった、中小規模のポータルサイトです。エグゼクティブ層はLinkedInで情報共有することが多く、IT人材はほぼリファーラルです。インドはNaukriが一強で、ポータルサイトの数は少ないですが、これから細分化して、専門性に特化したサイトが出てくるのかなと思っています。
――御社はインドの中で、どのエリアに注力しているのか教えてください。
インドには約1300社の日系企業があり、北部のグルガオン・デリーに500~600社、チェンナイ・バンガロールにそれぞれ200社、ムンバイに約150社があります。インドに進出する日系企業は、マルチ・スズキ・インディア(スズキの子会社)のビジネスが大半です。製造工場が北部にあるため、紐づくサプライヤーや商社も進出してきたのです。最近はモディ首相の出身地である、グジャラート州アフマダーバードへ日系企業が多く進出しています。数年前までは0だったのが、今は50社ほどあり、首相も任期中にこの地を盛り上げるべく注力しています。
PORTERSを活用しスピード感と歩留まり率を改善
――PORTERSを2017年3月に導入しました。その経緯と、よく活用している機能は何でしょう。
元々、社員が1名だけだったのが、拠点拡大に伴い15名にまで増え、そのタイミングで導入しました。よく使う機能はダッシュボードです。アプライ、選考、レジュメなどの項目を見て、一か月という時間軸でどれだけの案件を成約できるか、スピード感と歩留まり率を意識しています。
弊社はコンサルタントに、選考プロセスだったら3日以内に結果回収、面接は1週間以内にセッティング、アプライは当日中に送るなど、ルールを決めています。ダッシュボードを見ると一目で状況がわかるので、未対応のものは「進捗はどうなっていますか?」とコンサルタントに伝えていますね。インド人コンサルタントのマネジメントにもPORTERSは役立っています。
――具体的にはどのように役立っているのでしょうか。
インド人は一般的に、日本人より英語ができ、地頭もいい。自分たちで考え、前に進める能力を持っています。そのため、マクロなマネジメントをすると、我々が求めるのと違う方向に行ってしまいます。マイクロマネジメントで細かく管理する必要があるため、PORTERSが役立つのです。
――ほかにも便利だと感じる機能があれば教えてください。
メールを送りたい求職者がいたら、クリック一つでフォームが立ち上がるのがうれしいですね。またテンプレートも豊富なので、一斉送信するときなどは活用しています。
目指すのは拠点拡大と入社後の活躍支援
――では、今後どのような要望がありますでしょうか。
レポート機能やエクスポート機能はまだ使いきれていないので、動画などオンラインで指導を受けられるといいですね。あとメモ欄を、CA用・RA用と分けてもらえると助かります。弊社では、「なぜこの求職者を推薦するか?」を、CAがメモ欄に入力しています。その後、選考プロセスが止まってしまうことがあると、その理由をRAに記入してもらうのですが、推薦文と混在してしまう。少々見づらくなってしまうので、改善できれば便利かなと思います。
――ありがとうございました。最後に、今後の御社の展望を教えてください。
インドは国土が広く、マーケットも大きい国です。弊社も北部では徐々に認知度が高まっているので、その実績を活用しながら、チェンナイやアフマダーバードなどにも拠点を出していきたいです。またIT人材の宝庫なので、エンジニアが不足している日本や、海外にクロスボーダーで紹介していきます。
人材紹介の面では、インド人と日本人はカルチャーギャップがあります。紹介しても、すぐ辞めてしまうと困っている日系企業が少なくありません。そこで、日系企業で長く活躍してもらうために、インド人向けの教育研修のオンラインコンテンツを作っています。5Sやホウレンソウ、面接時のマナーなど全く違うので、そこを指導していきます。定着率が上がれば、企業の満足度も高くなっていくでしょう。
■PORTERS導入のポイント
①規模拡大に伴い効率的な業務・進捗管理をするため
②歩留まり率とスピード感の改善のため
③データをもとにマイクロマネジメントを実践するため
Reeracoen India Pvt., Ltd.
日本の大手人材サービス企業、株式会社ネオキャリアのReeracoen India現地法人。2000年から人材サービスを展開してきたネオキャリアのノウハウを活かし、2011年よりアジアに展開。わずか7年でアジアを中心に10ヵ国22拠点でサービス展開できるまでに拡大をしている。