Research Institute

2020.05.22

人材ビジネスにおける新型コロナウイルス対策調査【人材紹介業 編】

実施期間:2020年4月8日~4月22日/有効回答数244  対象:ポーターズマガジンご購読者・セミナーご参加者の人材関連事業に従事する方

100年に一度と言われるコロナ危機、ポーターズマガジン編集部では、前回の派遣事業編に続き、緊急事態宣言下の人材紹介会社を対象に意識調査アンケートを実施しました。

1.回答者の属性

2.コロナウイルスによる事業への影響

4月中旬の時点で、回答の73%で影響が出ており、現在はさらに影響範囲が広がっていると考えられる。紹介事業ではプレースメント後、数か月後の売上予測となるため、求人数の低下がみられる企業は下方修正する、またはその予定の企業が多く見られた。
一方で変更がないと回答した企業も21%存在する。変更がないと回答した企業のうち、51%が総合型の紹介会社、13%がエグゼクティブ、ITエンジニアの領域からの回答であった。しかしながら、変更がないと回答した企業のうち、92%が新型コロナウイルスの影響が出ている、または今後出ると回答しており、領域ごとの差がある程度でてるのか、継続してみていきたい。

採用ポジションのクローズや採用計画の延期については、高い割合で見られている。 内定取り消しも15%みられた。採用ポジションの増加があったと回答した企業は5%いたが、その企業のうち、8割が総合型、2割が看護師紹介で、同時にクローズもあったと回答している。
また、その他の回答では、面接が組めずに選考が進めない、新規企業獲得難、選考基準が高くなった、内定者の辞退といったコメントもみられる。

紹介会社の状況については、テレワーク実施が73%と顕著だった。併せてフレックスや時間調整などは40%程度。フレックスはコロナ以前から取り組んでいた企業が半数以上であった。その他、休業や自宅待機はあまり行われておらずおらず、リモートでの就業続行に比較的スムーズに移行できていることがうかがえる。

紹介事業の特性上、Web会議ツールの利用が増えていることが分かった。
主に使用しているツールの理由としては、以前から使っていたから、が半数で、あとは、簡単に使えるから(Zoom、LINE)、顧客環境に合わせて利用している(Chatwork, Slack)、セキュリティ面で他よりも安心である(Teams)との理由が挙げられた。
その他利用しているツールには、Line works、Meet in、Kakao Talk、Workplace(facebook)なども挙げられている。

今後のwith コロナ、Afterコロナにおける事業継続に向けた取り組みには、テレワーク環境の整備、新規のクライアント開拓、が急務となっている。 事業内容としては、ハイキャリア・エグゼクティブ領域の強化が13%、人材サービス以外の事業開発が17%、とリスクに対した事業展開を検討されていることが分かる。 その他、クライアントへの人材紹介以外のサービス提供、顕在化した求人にスピード対応するためのCRM/MA/SFAの強化、新卒や雇い止めの揺り戻しニーズを見る、といった意見があった。


編集部では、リーマンショックを超える経済インパクトを及ぼしたコロナの影響は長く続くことが想定されるため、紹介事業や採用全体の推移を継続的に調査を行いたいと思う。この状況への打開策や取組みについても個別企業へのインタビューとして掲載していきたい。