スポーツの価値を通じて豊かさを創造
サッカークラブの経営をはじめ、体育会系学生のキャリア支援、アスリートによる企業研修など、スポーツの価値を通じたさまざまな事業展開を行っているCriacao。2019年に、学生たちの情報管理を目的としてPORTERSを導入し、生産性向上や効率化を実現しているという。具体的にPORTERSをどう活用しているのか、阿部氏と山﨑氏に聞いた。
――まず御社の事業内容についてお聞かせください。
阿部氏
弊社は「スポーツの価値を通じて、真の豊かさを創造し続ける存在でありたい。」と理念を掲げています。その象徴としてサッカークラブ「クリアソン新宿」を経営し、2025年までに世界一のクラブにすることを目標にしています。そのほかの事業としては、ブラインドサッカーを通じた企業研修、トップアスリートによる企業研修などがあり、なかでも大きな一つが体育会系学生に特化したキャリア形成支援です。
――具体的にどのようなことを行っているのでしょう。
阿部氏
大学の部活には多いと100~150名のもの部員が所属しており、主将をはじめとした幹部は上手くマネジメントできずに悩みを抱えていることがあります。それを我々が支援することで、より豊かな部活生活を送ってほしいという想いで、リーダーシップ研修やチームマネジメント研修を全国の大学で実施しています。その後、学生たちが就活を始めたタイミングで、自分に合った会社へ就職するサポートも行っています。現在、約3000名の学生にサービスを届けています。
特徴は、SHR(スポーツ・ヒューマン・リレーションシップ)と掲げ、つながりを大事にしていること。人間らしい温かさを大切にした、本質的な価値を提供する人材サービスを目指しています。
特殊なビジネス構造にも対応できるカスタマイズ性が決め手
――PORTERSを導入された経緯についてお聞かせください。
山﨑氏
これまでは学生の情報の管理をExcelなどで行っていました。管理方法として、19卒、20卒と卒業年度ごとにシートを作り、情報を入れていました。個人の情報はそこから辿れるのですが、希望の業界、企業との関係性、内定状況などの情報は各所に散ってしまっている。そもそもそういう情報を集められているのか。どの情報が手元にあり、どういう状況か把握するため、一元管理を目的として2019年2月にPORTERSを導入しました。
阿部氏
弊社は幼少期、高校、大学、社会人……と個人のライフタイムに合わせてさまざまサービス提供をしています。一人ひとりのアナログ情報をストックし、最適なサービスを届けられるビジネスモデルを作っていきたい。そしてその先には、「クリアソン新宿」のファンになってもらいたい想いもあります。PORTERSの導入はその足掛かりの一つですね。
――PORTERSのどんな点が決め手となって導入をされたのですか。
山﨑氏
圧倒的なカスタマイズ性の高さです。弊社のビジネスモデルや、サービスを届ける学生とのつながり方は、既存のシステムに転用するのが難しい構造ですが、そこをカスタマイズできたのがPORTERSでした。
阿部氏
あとは営業担当の方の対応です。具体的にどのようにカスタマイズできるのか、などをわかりやすく説明してもらい、良さをきちんと理解できて、導入後のイメージもわきました。
――実際にPORTERSを導入して、どのような効果がありましたか。
阿部氏
もともと課題だと感じていた、分散していた情報が一つに集約できるようになりました。また、実際に動かしながら「こういった情報も必要なのでは?」と見えてくる部分も多く、生産性向上・効率化の土台固めになりました。
阿部氏
キャリア事業の売り上げが、この半期で3倍になりました。また学生との総接点を、去年の3000人から今年は4500人に増やす計画があります。昨年の今頃は600人だったのが、今年は現時点で1000人と、かなりハイペースで進んでいます。PORTERSの導入によって無駄な工数が削減でき、学生との接点を増やすことに時間を割けるようになったため、これらの結果につながったのだと思います。
現状把握の解像度が高まった
――よく使用する機能がありましたら教えてください。
山﨑氏
学生・企業のフェーズ管理です。日々、接点を持った学生の累計人数を社内共有しているのですが、その際に「イベントに参加してくれた学生」「面談をした学生」など、学生の温度感もシステムで把握できるようにしています。
阿部氏
現状把握の解像度が高まりましたね。今までは、多くの情報がセミナー講師やCAの脳内にストックされている状況でしたが、一元化したことによって、リストで全体を把握したり、アラームを出したりできるようになりました。学生一人一人と向き合った価値を定量的にも把握できるようになり、コンサルタント一人ひとりのモチベーションに寄与しています。
――情報管理はレポート機能で行っているのでしょうか。
山﨑氏
はい。フェーズ管理では、「面談を実施した人」など重点フェーズに絞り込んでから、必要な情報をエクスポートして共有しています。社内で共有するデータはすべてPORTERSから取ります、ということをCAや講師に周知しているので、入力も徹底してくれています。もちろん私の方でも、どの情報をどこに入れるのか、項目の分類や並べ方をどうすれば入力しやすいか、など気をつけていますし、わからなければ一緒に画面を見ながら伝えるようにしています。
――今後はPORTERSにどのような要望がありますか。
山﨑氏
学生との連絡は基本的にLINEで行っています。そのやり取りをPORTERSで見ることができれば。また、学生からアンケートを回収する際、LINE@の機能を利用しています。現在はその回答データをエクスポートして、カスタマイズしてからPORTERSにインポートしているので、そのやり取りが直接PORTERSにストックされるようになれば、とても便利になると思います。あと、今後は部活単位の情報管理もできればと考え、実際にテストを進めています。
――具体的にはどういった内容なのでしょう。
山﨑氏
PORTERSには求職者の「個人情報」があり、そこに20代のレジュメ、休職中のレジュメなど複数の「レジュメ」をつけられます。しかし学生は就活期間のレジュメしかなく、その内容は個人情報とほぼ同じ。レジュメの一つ上の階層を活用できていない実感がありました。そんなとき、部活単位で情報管理したいという話が社内であり、上位階層に「部活」の情報、下位階層に「部活に所属する学生」の情報という設計に置き換えることに。例えば、「早稲田大学サッカー部」の学生には、個人を特定するIDとは別に、所属する部活を特定するIDを付与して紐づけを行います。営業担当の方にご相談したところ、「そんな使い方をされるとは想像もしませんでした…」と驚かれましたが、快くアドバイスしてくださり、こちらの理想の設計をそのまま実現することができました。現在、その移行作業中です。
――ありがとうございました。最後に御社の今後の展望をお聞かせください。
阿部氏
学生個人へのフォロー精度が高まってきたので、次のフェーズとして、部活単位でのフォローやコンサルティングをより深く行っていきたいです。PORTERSで部活ごとの管理も行えるようになれば、部員数や成績など定量的なデータも入力し、その部活の経年での変化を追えるようになります。ストックしたデータをもとに、新しい一手を打てるようになりたいですね。
また、スポーツを通じて価値を創出する方法は多様です。幼少年代への教育、親やスポーツ指導者など大人への教育にも取り組んでいけたらと思います。「スポーツとビジネス」「スポーツと社会」という風に、スポーツを取り巻く壁を越えて、スポーツの本質的な価値を世の中に広め続けていきます。
株式会社Criacao(クリアソン)
2013年4月創業。サッカークラブ「Criacao Shinjuku」の経営や学生へのキャリア支援、ブラインドサッカーによる研修、 若手ビジネスパーソンの勉強会などさまざまな事業を展開。サッカーの普遍の原理原則を解釈し、教育、衣食住、IT、エンターテインメントなど総合商社のように事業を拡大していき、関わる人全てに感動を創造し続けられる存在を目指している。
東京都新宿区新宿1-9-10 YKB東ビル2F
Tel.03-6709-9786