紙やExcelでの曖昧な管理状態からの脱却を図るため、PORTERSの導入を決断
―はじめに御社の事業についてお聞かせください。
パソナは人材派遣を中心とした事業を1976年にスタートしました。
その8年後の1984年に「パソナアジア」として香港に進出し、グループとして海外進出を果たしてから間もなく40年になろうとしています。
日本の人材紹介会社の中でも海外進出の歴史は最も長くなっています。
現在はグループとして14か国、合計58拠点を持っており、人材紹介を中心に幅広いサービスを世界各国で提供しています。
―その中でタイ拠点では具体的などのような事業を行っていますか?
タイには4つの拠点があります。
まずはタイ国内の人材紹介を手掛ける「パソナ・リクルートタイランド」。
人事制度や再就職、希望退職制度の設計など人事に関するコンサルを手掛ける「パソナ・HRコンサルティング」。
特定技能を持つ方や技能実習生のタイ人を日本に送り出す「パソナ・オーバーシーリクルーメント」。
最後は「ベネフィット・ワン」という福利厚生代行している拠点です。
「オーバーシーリクルートメント」はコロナ禍の影響で活動できていませんが、人材紹介にとどまらず、採用後の研修、人事制度設計、福利厚生などの総合的なサポートがグループの強みとなっています。
―PORTERSを導入することになった経緯はどういったものだったのでしょうか?
元々多くの海外拠点で同じシステムを使っていました。しかしパソナの海外拠点の歴史も長く、以前導入したシステムをそのまま横展開して使っていた状況でした。システムへの投資もあまりしておらず、IT技術の進歩の中でシステムの老朽化や陳腐化が表面化し始めたのです。
また、そもそもそのシステムもあまり活用できておらず、ただデータの保管場所としてしか使っていませんでした。マッチングや数字に関する進捗管理もExcelと紙でやっていました。
私は3年ほど前にタイ拠点に来ましたが、コンサルタントがデータや資料をプリントアウトしてキャビネットの中に何冊もしまっていて、都度それをめくってマッチングしているのを見て非常に驚きました。あまりにも時代にそぐわない管理状況だなと。
その中でコロナ禍の影響によりリモートワークが始まりましたが、そのような紙の管理だと全く対応できなくなりました。今の時代や環境に対応できるシステムに変えなくてはいけないという危機感から新しいシステムの導入を決めたという流れです。
―新しいシステムを導入するにあたって、PORTERS以外にも検討しましたか?
はい。パソナのベトナム拠点はITに強みを持っており、そこでシステム開発できないか検討しました。また、他の拠点で使っているベンダーもあったため情報収集をして比較検討しました。
―その中でPORTERSに決めた理由は何だったのでしょうか?
ポーターズさんの人材紹介への理解が深く、問題や課題、ポイントとなる点を良く把握していると感じたためです。
また、私たちは拠点数が多く、国によって就職周りのプロセスや法律も異なるため、各国の文化や管理方法に合わせて自由にカスタマイズできる点が各拠点でも好評でした。
ポーターズさんの信頼感や導入実績の多さと、管理上必要となるカスタマイズ機能が決め手となりPORTERSに決めました。
―カスタマイズ以外にもシステムに求める必須要件はありましたか?
クラウドベースでいつでもどこでもアクセスできる点、マッチング機能が充実している点、今までの紙ベースの管理をすべてデジタル化できる点ですね。
とにかく紙やExcelでの管理から脱却したかったので管理ツールとしての面を最も重視しました。
―PORTERS導入の際の苦労はありましたか?
今回海外の複数拠点での同時導入となりましたが、各国で独自のやり方が浸透しており、横の連携が全くない状態でのスタートでした。
本来であれば、まず1か所でベースを決めて、それをフォーマットとして微調整程度のカスタマイズで展開していくのが理想だと思いますが、独自のやり方をしている各拠点が同時に同じシステムを導入するため、意見を聞きながらそれぞれの要望に合わせてカスタマイズしていかなくてはいけない点は大変でしたね。
PORTERSでマネジメントとプロセスを可視化。人材紹介にとどまらないソリューションの提供に向けて。
―PORTERS導入後にどのような効果を実感されていますか?
タイ拠点としてはシステム導入が4月末で、それからもカスタマイズを続けていたため数字としての効果検証はこれからですが、他の拠点からはKPI達成などの管理、数値の可視化という点で非常に楽になったという声が多く上がっています。
また、これまで求職者などの情報を紙で持っていたためブラックボックス化していたのが課題でしたが、PORTERS導入後はシステムを通じて管理やプロセスの可視化が進み、個別にちゃんと情報が拾えるようになった点は非常に大きいです。
とにかくマネジメント面での利点が大きいと感じています。
―マネジメントやプロセスの可視化で変わった部分はありますか?
可視化によるメリットは2点あると感じています。
まず曖昧だった要素がすべて具体的な数字として落ちてくる点。
「いい感じ」「最近増えたね」という抽象的な表現で現状把握していたのが、数字ベースで把握できるようになりました。
もう一つは業務を進める上でどうしても忘れてしまったり漏れてしまったりすることがありますが、システム上でタスクが明確になり、リマインダー機能により漏れなくフォローアップできるようになった点です。
―PORTERSで改善して欲しい点や機能のリクエストはありますか?
外部のサイトやサービス、システムとのリンクをもっとスムーズにできると良いなと思っています。例えば求職者に適性検査などの結果を自動でPORTERSに読み込むなどです。
また、目標に対する達成率は現在Excelでエクスポートする形ですが、結局Excel管理になってしまうので各国個人のパフォーマンスに対する達成率をPORTERS上で表示できるとよりマネジメントしやすくなると感じています。
―その点は要望が多いので、実現できるよう働きかけていきます。
弊社のサポートについてはいかがでしたか?
タイだけでなく、各国のグループ拠点から今回担当してくださった営業の方と、導入支援の方のサポートが素晴らしいという声が挙がっています。
導入プロセスで毎週のようにMTGで密に連携を取って下さったのはもちろん、導入後の疑問や問題へのサポートも非常にスピーディですごく感謝しています。カスタマイズに関してもその都度すぐに対応してくれるのでありがたいです。
―ありがとうございます。最後に御社のビジネス展開においての今後の展望をお聞かせください。
パソナグループ海外拠点の方向性として、ワンストップソリューション・トータルソリューションを通して「世界のパソナグループ」になろうというのがゴールです。
ほとんどの海外拠点で人材紹介サービスを提供していますが、お客様にとって人材を採用することだけがベストソリューションではないケースもあるため、お客様のご要望や課題に合わせてサポートを提案し、お客様の事業拡大のお手伝いをしたいと思っています。
新しく幅広いHRソリューションを拡大・展開して差別化を進めていくことが、ここ2~3年のアクションプランという考えを各拠点共通で持っています。
Pasona Recruitment (Thailand) Co., Ltd
Pasona Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
98 Sathorn Square Office Tower, 26th Floor, Room No. 2602-2604,
North Sathorn Road, Silom, Bangrak, Bangkok 10500 THAILAND
15地域55拠点で海外に進出する日系企業に総合的な人事サービスを提供するパソナグループのタイ拠点として、日系企業のグローバル人材ニーズに応えるため、2012年11月にタイ・バンコクに設立。 人材紹介事業に加え、人材派遣、研修、人事制度設計などのHRコンサルティング、再就職支援など、人事に関連するすべてのサポートを展開する。
取材日2021年10月21日
※掲載内容(所属、役職名等)は取材時のものです