IT技術&DX化による生産性改善は事業の競争力を高めるうえでも重要
―まずは、マーキャリ NEXT CAREERの事業内容についてお聞かせください。
マーキャリ NEXT CAREERは、BtoBマーケティングエージェンシーである株式会社エムエム総研の一事業部としてスタートしました。エムエム総研では、IT業界のお客様を中心にオンライン/オフライン両方のプロモーション支援を提供しており、コールセンターが社内にあったほか、アウトバウンド型のリード獲得コール支援などにも対応していました。さらに、インサイドセールス・カスタマーサクセスなど分業型営業組織の立ち上げ支援を行う事業部や派遣事業部もある中で、お客様からの「人材が欲しい」という声から2021年5月にマーキャリ NEXT CAREERとして人材紹介サービスを開始しています。
―御社におけるシステム活用の方向性を教えてください。
システム活用に対して我々はもともとポジティブにとらえています。特に人を増やして対処するのではなく、IT技術を活用してDX化しながらその仕組みで生産性を改善していくことは事業の競争力を高めるうえでも非常に重要だと考えています。その上でデジタル化やシステム活用は競争戦略の中の重要なピースであり、重要なファクターであると考えています。
将来の事業成長を見据え、PORTERSの専門性、拡張性や設計を重視
―デジタル化とシステム活用を重視していることでPORTERSを導入されたのでしょうか。
マーキャリ NEXT CAREERの考え方として、短期業績と同時に中長期的な事業基盤を早期に形成することを求められていたので、業務生産性の向上につながることと事業成長の基盤には仕組みのデジタル化、システム活用は欠かせないものでした。
当初はデータをExcelで管理していましたが、このような背景からサービス開始とほぼ同時にシステム検討を始めることになりました。私はデータベースに対して知見もあったことからkintoneの導入も考えました。しかし当社には人材紹介業の経験者もおらず、kintoneを活用して0→1でデータベースを作り上げていくにはとんでもない工数がかかると思ったため、人材業界専門で提供しているプラットフォームを探すことになったのです。
人材紹介事業では、求職者情報、選考情報、求人情報など取り扱う情報の幅があります。また、マーキャリ NEXT CAREERは新規事業であったためにCA/RA双方に解像度が高い情報を提供するという方針を持っており、1人当たりの取り扱う情報の幅もさらに大きくなります。
さらに、候補者と求人の数だけ選考プロセスを管理する必要があります。候補者を支援する期間は2ヵ月弱かかりますので、アクティブに動く候補者が平均40名だとして選考が5社動けば、200件のステータス管理をする必要があります。仮にそれが年間続けば、12ヵ月で2,400件。候補者が5名もいれば、あっという間に1万レコードを必要とする世界となります。加えて、組織で動く以上、情報共有やレポーティングもしないといけません。
そのうえで、外部の人材紹介関連担当者にご紹介いただきながらPORTERSを含めいくつかのツールを検討していたのですが、事業が成長してきたときにリプレイスしなければいけないリスクを避けるため、プロダクトの拡張性や設計を重視しました。その観点から、PORTERSはまさに私たちが重視したい条件を満たしていて、また商談の際に営業の方がAPIなどによる拡張性を伝えてくださり、さらに当社に適した基本項目の設計もお手伝いただけたことなどからPORTERSが最適だと考え、迷わず導入することを決めたのです。ちなみに導入して数年が経ちますが、全く不満は上がっていません。
PORTERS導入が投資対効果に大きく貢献
―PORTERSを導入してから、どのような導入効果がありましたか。
PORTERSは顧客に使ってもらうツールではありません。WebサイトやWebシステムと異なり利益や売上アップへの直接的な因果関係は見いだしにくいという側面はありますが、投資対効果という意味では大きく貢献しています。
かつてExcelなどで求人情報を探し、マッチングさせるまでにかけていた時間は、CA/RAが候補者1人あたり約30分以上かけていましたが、PORTERSを導入したことで1人あたり10分前後へと縮まりました。マッチング工数を1/2圧縮できたわけです。この時間短縮によりCA/RAの業務生産性が向上し事業成長につながっていると考えています。
そのほか、PORTERSの導入価値として見たいデータがすぐに見られるプラットフォームになっていることが挙げられます。そもそもCA/RAは何も迷うことなくPORTERSにアクセスするだけで候補者や求人の詳細、面談以降のデータを管理することができています。一方で管理者、マーケテイングサイドではCA/RAの視点とは異なるデータ、例えば集客した日付時点でのデータを集計したいことがありますが、PORTERSは同じデータでも異なる軸での管理や確認が可能で、さらに複数のレポート作成も可能なので、定点観測やKPI期間集計などに活用しています。一元管理による業務の分断がなくなることでストレス軽減、生産性向上が実現できており、そこに大変価値を感じています。
さらにもう1つの導入効果として挙げられることは、競争力に欠かせない付加価値を人材サービス以外の観点で築き、候補者や求人企業に還元できることです。
PORTERSというプロダクトの柔軟性や開発者の設計の素晴らしさですが、APIを開放して自社でシステム開発ができることにつながっています。私たちは求人票のほかに候補者向けのマイページをWeb上で開発して顧客体験もデザインしていますが、これもPORTERSで実現したことであり、候補者、求人企業の満足度の向上にもつながっていると思っています。
ちなみにPORTERS導入による感謝の声は社内からも多数あります。マッチング工数短縮の件だけでなく、基本的な選考管理機能やリマインドメール機能のおかげで選考連絡に関する無駄なコミュニケーションが大きく減り、まさに良質な顧客体験のために必要なコミュニケーションに集中できるようになった、などの意見を沢山もらいました。求職者、企業担当者に加え社内の満足度も高く、三方よしの状態で活用ができていると言えます。
―PORTERSでよく使っている機能や便利だと思う機能はなんでしょうか。
管理職である私がよく使う機能はレポーティング機能です。そのほか、カレンダー機能も使っています。以前、カレンダー機能は使っていなかったのですが、アシスタントが気を利かせて、選考プロセスに紐づくアクティビティーを登録して、そのアクティビティーの日付でカレンダーを表示させ、「いつ誰がどこでやる」ということを管理できるようになったので、便利に活用しています。
CAスタッフもPORTERSのカレンダー機能に候補者の選考状況を登録していますので、「誰かがどこで何をやっているのか」が一目瞭然で分かるようになりました。PORTERSのカレンダー機能には助けられています。
知名度を獲得して「特化型転職市場No.1」と呼ばれるまでに成長させていきたい
―最後に、マーキャリNEXT CAREERの今後のビジネス展開を教えてください。
近い将来、「営業のSaaS業界転職といえば『マーキャリNEXT CAREER』」といわれるくらいの知名度を獲得して、特化型転職市場No.1と呼ばれるまで成長をさせていきたいと考えています。この先、まだまだ組織規模を拡大させ、事業も大きくする必要がありますので、様々な課題も待ち受けています。ただ、PORTERSがシステム基盤としてすでに安定稼働できていることで、集客や社内サービス品質の再現性、教育などに注力して事業成長に取り組めることは、大きなアドバンテージとしてとらえています。
株式会社エムエム総研
■企業情報
株式会社エムエム総研
東京都新宿区新宿6-27-56 新宿スクエア5F
1989年設立。デジタルセールス&マーケティングの専門企業として、「デジタルマーケティング」「営業DXコンサルティング」「デジタルセールス人材採用」という3つの事業を展開。意志を持って新たな領域に挑戦する「人」と「企業」を支援し続けている。