有料職業紹介事業の許認可申請
  • ポイント1
    ■そもそも有料職業紹介事業とは?

    職業紹介事業の種類には、次の2種類があります。(厚生労働省 職業紹介パンフレットより)
    (1) 有料職業紹介事業
    有料職業紹介事業とは、営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し 手数料又は報酬等の対価を受けて行う職業紹介事業をいいます。一般的に“人材紹介会社”といわれる企業は、この「有料職業紹介事業者」に当たります。

    (2) 無料職業紹介事業
    無料職業紹介事業とは、職業紹介に関し、営利を目的とするか否かにかかわらず、 いかなる名義でも手数料又は報酬等の対価を受けないで行う職業紹介事業をいいます。マッチングによる報酬が発生しないハローワークや大学のキャリアセンター、再就職支援事業会社などは「無料職業紹介事業者」になります。
     
    ‐人材紹介業を利用するメリットとは?
     求人募集をしている企業にとって、人材紹介を使うメリットは、
    ・成功報酬型なので、採用しなければ費用が発生しない
    ・採用要件を満たした母集団から選考できる
    ・求人募集までのリードタイムが短い
    ・採用業務の負担の軽減
    ・非公開求人にも対応してもらえる
    といったことが挙げられます。
     
    人材紹介業と人材派遣業との違いをご説明しておきましょう。
    人材派遣業の場合、派遣される人は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社からお給料を受け取ります。派遣会社は、派遣先企業から受け取った報酬から手数料を差し引き、派遣される人に支払う仕組みです。
    一方の人材紹介業の場合は、求職者と紹介先企業が、直接雇用契約を結びます。紹介会社は、紹介先企業から紹介手数料を受け取るだけで、雇用関係は結びません。
     
    紹介手数料については、上限制手数料、届出制手数料の2つに分類され、それぞれ細かな規制があります。上限制手数料は、厚生労働省による定型的な規制の下で手数料を決定し、受け取るものです。届出制手数料は、有料職業紹介事業者が厚生労働大臣に届け出た額の手数料を受け取るものです。
    一般的には、求職者の年収の15~35%程度を手数料として受け取るのが相場です。また、一部の職業を除き、求職者から手数料を取ることは禁止されています。
     
    有料職業紹介事業では、港湾運送業、建設業務の二つの業種については、斡旋を禁止されています。両者とも、極めて専門的な知識を必要とするためです。

    対して人材派遣業は、派遣賃金から派遣給与の差し引いた額が粗利益となるビジネスモデルで、業界平均の粗利益率は2-3割といわれています。

    ◇人材紹介業は経営の安定が肝要
    人材派遣業は派遣社員の方が働き続ける限り、毎月安定的に売上が発生するのに対し、人材紹介事業は入社発生時にしか売上が発生しません。
    よって人材紹介業は安定的な売上を出すために、毎月安定的に成約を発生させる仕組みを作る必要があります。
     
    ‐人材紹介の種類
     一口に人材紹介と言っても、いくつかの種類があります。大きく分けて、
    ・登録型
    ・サーチ型(ヘッドハンティング型)
    ・アウトプレースメント型(再就職支援型)
    の3種類です。
     
    登録型は人材紹介会社の中で最も多いビジネスモデルで、初期コストはかからず、採用が決定した場合のみ費用が発生します。さらに幅広い業職種の人材を抱える総合型人材紹介会社と、20代に強い、ミドルに強い、外資系に強い、IT業界に強い、医療業界に強いなどの特化型中小人材紹介会社の2種類があります。

    サーチ型は、企業からの求人にふさわしい人材を探し出し、そのスペックに沿った人をスカウト・紹介するビジネスモデルです。ヘッドハンティング会社には完全成功報酬型と、着手金+成功報酬型の2パターンあります。登録型は、転職希望者をターゲットとしているのに対し、サーチ型は、潜在層を掘り起こすことができるのが特徴です。最近では、CEO候補、COO候補、特殊な技術を持ったスペシャリストなど、採用難易度が極めて高い人材にアプローチすることが可能です。 

    アウトプレースメント型は、事業規模の縮小、リストラ、倒産で人員整理を進める企業の社員を、再就職支援会社が求人企業に紹介するビジネスモデルです。人材を雇用調整する企業側が費用を支払うため、採用する側は無料で人材を採用することが可能です。
  • ポイント2
    ■有料職業紹介事業の許可に必要な要件について

    許認可を申請するためには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

    1.財産的基礎の要件
    当該該事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有する必要があります。
    ・資産の総額から負債総額を控除した額が500万円以上(×事業所数)であること。
    ・自己名義の現金・預貯金の額が150万円以上であること。(事業所の追加につき+60万円)

    2.個人情報管理体制に関する要件
    求職者等の個人情報を適正に管理・遂行するため、事業運営体制に問題がなく、これを内容に含む個人情報適正管理規程を定めていることがポイントです。
    ・個人情報管理体制に関する要件
    ・個人情報管理の措置に関する要件

    3.職業紹介責任者に関する要件
    職業紹介責任者は、次のいずれにも該当し、欠格事由に該当せず、また業務を適正に遂行する能力を 有する者であることが必要とされます。
    ・労働関係法令に関する知識及び職業紹介事業に関連する経験を有する者であ ること。 
    ・成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。
    ・厚生労働省指定団体が主催する「職業紹介責任者講習会」を受講した者であること。

     ※職業紹介責任者講習会実施団体は下記のリンク集よりご覧いただけます。
     
    4.事業所に関する要件

    有料および無料職業紹介事業の許可基準について、2017年5月30日より以下の変更がありました。 事業所として適切であることの内容で、事務所の「20平方メートル」要件が廃止され、以下のどちらかのプライバシー保護対策がなされればOKということになりました。
    ・個室設置やパーティションなどで仕切る部屋で、プライバシーを保護しつつ求人者に対応することが可能であること。
    ・予約制、近隣の貸部屋の確保等により、他の求人者又は求職者等と同室にならずに対応することが可能であること。
    上記以外はこれまで通り、
    ・位置が適切であること。
    ・上記条件が満たされない場合は、事業所の面積がおおむね 20 ㎡以上であること。

    詳しくは、管轄の労働局などに問い合わせされることおすすめします。

  • ポイント3
    ■人材紹介(有料職業紹介)事業の許認可申請の流れ

    ◇許可申請の手続き
    有料職業紹介事業を行う際には、申請者の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して、必要書類を厚生労働大臣に提出し、許認可を得る必要があります。また、合わせて申請に書かかる手数料も必要です。

    ◇必要書類について
    ・有料職業紹介事業許可申請書 3部
    ・有料職業紹介事業計画書 3部
    ・届出制手数料届出書(上限制手数料による場合には提出は不要)3部
    ・添付書類(以下①~⑨) 2部
     ①法人に関する書類
      ・定款又は寄附行為
      ・法人の登記事項証明書
     ②代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類
      ・住民票の写し
      ・履歴書
      ・職業紹介責任者講習会受講証明書(以下「受講証明書」とい う。)の写し(職業紹
       介責任者に限る。)
     ③資産及び資金に関する書類
      ・最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
      ・預貯金の残高証明書等所有している資産の額を証明する書類
      ・所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明書
      ・最近の事業年度における確定申告書の写し
      ・最近の事業年度における法人税又は所得税の納税証明書
      ・最近の事業年度における株主資本等変動計算書
     ④個人情報の適正管理に関する書類
     ⑤業務の運営に関する書類
     ⑥事業所施設に関する書類
      ・建物の登記事項証明書(申請者が所有している場合)
      ・建物の賃貸借又は使用貸借契約書(借りている場合)
     ⑦手数料に関する書類
      ・手数料表(届出制手数料の届出をする場合)
     ⑧相手先国に関する書類(国外にわたる職業紹介を行う場合)
     ⑨取次機関に関する書類(国外にわたる職業紹介を行う場合で あって、取次機関を利用
      する場合に限る。)

    これだけ書類を整えるのは大変ではありますが、国の許認可事業なので厳しいチェックが入ることは仕方がないことかもしれません。

    ◇免許取得までの期間
    許可申請は、事業開始予定時期の約2ヶ月前までに行う必要があります。ポイント2でご説明した、申請の必要要件である「職業紹介責任者がいること」については、職業紹介責任者講習会を受ける必要があります。講習は、日本人材紹介事業協会、全国民営職業紹介事業協会で受けることができますよ。余裕を持って、申請スケジュールを組むといいかもしれません。

    ◇免許取得までの期間について
    許可申請の準備から免許取得までにかかる期間は概ね以下の通りです。
    許可要件を満たしているかチェック (1日程度)
    職業紹介責任者講習会受講 (1日程度)
    必要書類準備(1週間未満)
    申請書作成 (2~3時間)
    労働局にて事前確認 (半日程度)
    捺印後、申請手続き(責任者同行の上、半日程度)
    事務所検査 (申請から1週間)
    ・免許可証交付、営業開始(申請から約2ヶ月)
     
    免許取得準備から手続き完了まで約3か月、申請から事業開始までさらに約2ヶ月かかります。
    ※近年免許取得企業数が増加しており、対応状況によっては記載以上に時間を要することがあります。余裕を持って準備を進めましょう。
     
    新規取得後の有効期間は3年、更新後は5年になります。
    尚、更新の際には、有料無料職業紹介事業許可有効期間更新申請書の記入が必要になりますので、早めに準備するようにしましょう。また手数料として、18.000円の収入印紙の添附が必要になります。

    ◇許可申請にかかる手数料について
    許可申請書には、
    ・手数料として〔5万円+1万8千円×(職業紹介事業を行 う事業所の数-1)〕分の収入印紙
    ・登録免許税〔9万円〕の納付に係る領収証書
    こちらを添付する必要がありますが、都道府県労働局の指示に従ってください。なお、収入印紙が消印された後は、手数料は返還されません。 申請にあたり不明な点は、管轄の都道府県労働局にご相談ください。
  • ポイント4
    ■職業安定法及び関係法令等の主な改正内容について

    ここ数年で職業紹介事業者へ様々な要件が追加されています。人材紹介事業を運営していく上では重要な事項となりますのでご確認ください。(厚生労働省 職業紹介パンフレットより)

    【1】平成 30 年1月1日施行
    ◇職業紹介事業者に職業紹介の実績等の情報提供が義務づけられました。(p65 参照) ◇求職者に明示すべき労働条件等が追加されました。(p42 参照)
    ◇ 職業紹介により無期雇用契約で就職した者に対し、就職日から2年間転職勧奨して はならない等、求職者の早期離職抑止のための規定が設けられました。(p48 参照)
    ◇職業紹介責任者が遵守すべき事項が追加されました。(p40 参照)
    ・ 職業紹介従事者に事業運営改善向上のための教育を行わなければなりません。
    ・ 厚労省人事労務マガジンに登録し、労働関係法令の最新情報を確認するようにし なければなりません。
    ◇求人・求職管理簿、職業紹介事業報告書に記載すべき事項が追加されました。 (p53 参照)

    【2】平成 31 年4月1日施行
    ◇許可基準のうち、国外にわたる職業紹介に関する事項として、違約金・保証金等 を徴収する取次機関を利用しないこと等が追加されました。(p10、19 参照) また、国外にわたる職業紹介に当たり遵守しなければならない事項は、許可条件と して付されることとなるとともに、職業安定法に基づく指針で規定されました。
    ◇労働条件等の明示及び取扱職種の範囲等の明示に当たり、ファクシミリの利用及び SNS 等を利用する方法が認められることとなりました。(p30 参照)

    【3】令和元年9月 14 日施行
    ◇職業紹介事業者の欠格事由のうち、成年被後見人等に係る事由が改正され、精神の 機能の障害により有料の職業紹介事業を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び 意思疎通を適切に行うことができない者とされました。 これに伴い、精神の機能の障害により認知、判断又は意思疎通を適切に行うことが できないおそれがある場合には、医師の診断書の提出が必要となります。(p10、19 参照)

    【4】令和2年3月 30 日施行(予定)
    ◇求人の申込みを受理しないことができる場合が追加されます。
    ・労働関係法令等に違反する求人者からの求人の申込み
    ・暴力団員等からの求人の申込み 等

    【5】令和2年4月1日施行(予定)
    ◇求職者に明示すべき労働条件等として、「就業の場所における受動喫煙を防止する ための措置に関する事項」が追加されます。
  • ポイント5
    ■人材紹介業で成功するポイントをご紹介

    人材紹介の許認可の手続きと並行して、システムの選定の検討もすすめてください。人材紹介の事業運営において重要なツールとなります。安全な個人情報の管理や、求人・求職者のマッチング等、今後ビジネスを拡大していく上でも大切な情報やノウハウの蓄積が可能です。おおよそ事業開始の2ヶ月前から選定に入ることをおススメします。

    その時に少人数から低コストで簡単に使うことが出来、初期費用なく、すぐに活用することができるシステムが良いでしょう。将来的な事業拡大に伴い、自由にカスタマイズ出来ることも重要です。

    ◇クラウド型のマッチングシステムの導入
    ポイント1で説明した通り「人材紹介業」においては安定した売上を確保するために、成約確率の改善を目標とした事業戦略の立案が必要になります。

    人材紹介会社が売上を拡大するための3つのポイント
    も是非ご覧ください。

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    ◇お役立ちリンク集

    【有料職業紹介許認可関連リンク】

    ● 厚生労働省 職業紹介事業パンフレット
    ● 厚生労働省 申請書ダウンロード


    【職業紹介責任者講習会実施団体】

    ● 公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会
    ● 一般社団法人 日本人材紹介事業協会

      
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    ● HRビジネスクラウド機能一覧