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  • ポイント1
    人材紹介サービスの紹介手数料(紹介料)

    こんにちは。人材紹介ビジネスの売上・生産性を向上させるクラウド型マッチングシステム「PORTERS Agent」を提供するポーターズです。

    人材紹介業の許認可申請時は、手数料に関する取り決めの報告が求められます。その際には手数料制度を「上限制手数料」か「届出制手数料」のいずれか選んだ上で

    • ・上限制手数料の場合、求人受付手数料 
    • ・届出制手数料の場合、上限の手数料 

    を設定します。ここでは「上限制手数料」「届出制手数料」それぞれの特徴を紹介します。

    上限制手数料

    上限制手数料では、下記の手数料上限が定められています。

    上限6ヶ月を超えて雇用する場合、6ヶ月の賃金の10.8%以下の手数料の徴収が可能。(免税事業者は10.3%以下)


     上限6ヶ月を超えて雇用する場合、6ヶ月の賃金の10.8%以下の手数料の徴収が可能。(免税事業者は10.3%以下)

     引用元:厚生労働省消費税率の引上げに伴う有料職業紹介事業の手数料の最高額の改定について
     


    上限制手数料は昔からの制度として形式上存在するものの、以下で解説する届出制手数料の方が多くの金額を受け取れるため、ほとんどのエージェントは利用していません。

    届出制手数料

    届出制手数料では、紹介手数料は採用決定者の初年度の理論年収に、事前に定めた料率をかけた金額を受け取ることができます。手数料の料率の上限は、人材紹介事業の許認可申請時に厚生労働大臣に届け出ます。

    料率は50%を上限として自由に設定可能です。しかし実際に手数料を50%にしている人材紹介会社はほとんどいません。20~30%の間で設定する企業が多いです。

    年収が600万円の方を紹介して採用されたとき、それぞれの手数料制度で受け取れる金額は以下になります。


     上限制手数料の場合
     300万円(年収の6ヶ月分)×10.8%=32.4万円

     届出制手数料の場合(料率30%を想定)
     600万円×30%=180万円
     


    届出制手数料の方がより多くの金額を徴収できるため、多くのエージェントが届出制手数料を選択しています。

    その他設定できる費用

    人材紹介免許取得時には、採用成功時の手数料以外の費用も設定可能です。

    • ・求人受付手数料


    企業からの求人受理時に、670円以下の事務費用を設定できます。しかし実際には、求人受付手数料を徴収しているエージェントはほとんどいません。

    • ・着手金


    エージェントの種類として、採用要件に合う人材をスカウトやヘッドハンティングで探す「サーチ型」エージェントがあります。サーチ型エージェントでは、経営層などの高い採用要件に合う候補者を見つけるための費用として着手金を請求するパターンがあります。

    着手金が発生する場合、紹介した人材が採用に至らなかったとしても着手金の返金はありません。

    人材紹介サービスの紹介手数料(紹介料)の相場

    一般的なエージェントでは届出制手数料を選択しており、手数料の相場は


     紹介手数料=求職者の理論収入×20%~30%程度
     


    となります。

    しかし、経営人材やマネージャなどの採用難度が高かったり、ITエンジニアなど求人企業からのニーズが強い職種などの場合は、相場よりも高い料率を設定するところもあります。

    理論年収の計算方法

    理論年収とは「採用決定者が1年間働いた場合の収入」を推定するものです。理論年収と実際に支払われる年収は異なることがあります。

    理論年収は下記の式で求められます。


     理論年収=(基本給+交通費などの諸手当)×12ヶ月分+賞与
     


    なお、理論年収には「毎月変動する残業代」は含まれず、固定残業代しか計上されないことに注意してください。

    人材紹介サービスの紹介手数料(紹介料)が発生するタイミング

    エージェントの多くは、紹介した人材が入社した後に紹介料を請求します。ただしサーチ型のように、入社前に着手金が発生する例外もあります。

    一方で紹介した人材が早期退職してしまった場合は、企業の損失を補填するために紹介手数料の返金規定を設けているエージェントも多いです。返金規定については後ほど解説します。

  • ポイント2
    人材紹介サービスの紹介手数料(紹介料)は高い? 人材紹介サービスを利用するメリット

    届出制手数料を採用しているエージェントが多いため、中途採用領域の人材紹介サービスでは、1人採用するごとに100万円以上の手数料が発生するケースがほとんどです。他の採用サービスと比較したときに、人材紹介会社の手数料を「高い」と感じる企業も多いのではないでしょうか。

    しかし、人材紹介サービスには他の採用サービスにはないコスト上のメリットがあります。

    成果報酬型のため、採用するまでの不要なコストがかからない

    他の採用サービスのほとんどでは、サービス経由で採用できたかどうかにかかわらず、利用した時点で費用が発生します。

    一方で人材紹介は採用が決定するまで料金がかからないため、採用できなかったときの費用面のリスクを避けられます。

    マッチングコストを削減できる

    人材紹介ではエージェントが集客を行い、職歴・スキル・キャリアの確認を行った上で適切な候補者を企業に紹介します。また日程調整や応募者への合否連絡などのオペレーション業務も代行します。

    マッチングにかかる採用担当者の負担を削減できることも、人材紹介を利用するメリットです。

  • ポイント3
    人材紹介業の返金規定とは

    人材紹介の手数料の返金規定は、人材紹介会社が企業と人材紹介契約を結ぶ際に必ず明記しなければならない事項の一つです。ここではトラブル時の返金額や返金保証期間の相場を紹介します。

    早期退職時の保証期間と返金手数料の相場

    紹介した人材が保証期間内に早期退職してしまった場合、エージェントは企業に対して手数料の返金が発生します。入社から退職までの期間に応じて返金額の料率は変化します。

    一般的な人材紹介業の取り決めでは保証期間は90日、返金手数料の相場は下記になります。

    • ・入社後1ヶ月以内の退職:徴収した手数料の80%
    • ・1ヶ月以上3ヶ月未満の退職:徴収した手数料の50%


    エージェントの中には保証期間を180日に設定していたり、返金額が時期に応じてさらに細かく分類していたりするところもあります。

    代わりの人材を無償で紹介するフリーリプレイスメントを行う会社も

    紹介した人材が保証期間内に退職した際に、代わりとなる人を無償で紹介する制度をフリーリプレイスメントと言います。人材紹介会社の中には、手数料を返金する代わりにフリーリプレイスメントで補償を行うところもあります。

    フリーリプレイスメントでは、エージェントは徴収した手数料を返金する必要がありません。また求人を募集している企業も求めていた人材が手に入るため、両者の損害を最低限に抑えられます。

    多くの人材を抱えている人材紹介会社であれば、フリーリプレイスメントの方が互いにメリットが大きいでしょう。

    しかし代わりとなる人材をすぐに紹介できない場合は、補償制度として成り立たなくなり訴訟トラブルにまで発展してしまうリスクもあります。エージェント側の集客の状況を見ながら適切な保証制度を選択しましょう。

  • ポイント4
    【人材紹介会社向け】人材紹介業のリーガルチェックのポイント

    成功した際の報酬の高さから「人材紹介は利益率が高い」と言われています。一方で、成功難度の高さや動く金額の大きさゆえに、求人企業とのトラブルが起こることも少なくありません。

    ここでは人材紹介会社向けに、ビジネス上で気をつけるべきリーガルチェックのポイントを手数料にフォーカスして解説します。

    法律で手数料を求職者から取ることが禁止されている

    求職者からの手数料の徴収は、職業安全法32条の3第2項により原則禁止されています。

    しかし例外的に、下記の職業分野では徴収が可能になっています。

    • ・家政婦(夫)や配膳人・調理師(過去の法改正の経過的措置の名残が残っている)
    • ・芸能人やモデル(自ら手数料を負担することが効果的な場合があると考えられている)


    ただし上記の職業でも、徴収は月に3回まで、一回につき690円までの上限が設定されています。実際には、芸能人とモデルを除いて求職者から手数料を徴収するケースはほとんどありません。

    また、上述した職業以外の求職者からは手数料は取れません。

    紹介手数料を払わない企業への対処を定める

    人材紹介業では、紹介した人材の中抜きが行われる危険性があります。

    中抜きとは、本来ならば払わなければならない手数料を払わずに、人材紹介会社に内密で企業が人材を採用する行為です。成果報酬型を採用しているエージェントでは、人材を採用しない限り紹介手数料は発生しません。中抜きが横行すると、企業は適切な費用を支払わないままに求めていた人材を採用できてしまいます。

    中抜きのトラブルを防ぐためにも、契約提携時に中抜きが発覚した場合、違約金を徴収するなどの罰則の条項を組み込むことが重要です。

    一般的な人材紹介契約書では中抜きを防ぐために、求職者と直接接触して人材紹介会社に知らせないままに雇用契約を結ぶことを禁止する「直接接触の制限規定」を記載しています。

    また「紹介して不採用にした人材と別のルートで接触し、採用した場合」も中抜き行為とみなし、人材を紹介してから12ヶ月以内であれば人材紹介手数料を改めて請求できる条項も合わせて記載しましょう。

    紹介した人材に関するトラブルの規定を定める

    人材紹介業は紹介した候補者に入社してもらい、企業で活躍してもらうことがゴールです。しかし、入社後に人材に関するトラブルが発覚・発生する場合もあります。どんなトラブルが起こり得るか事前に把握し、人材紹介契約でトラブル時の対応を定めましょう。

    紹介した人材が早期退職した場合

    上記でも伝えた通り、紹介した人材が退職した場合には紹介手数料の一定割合を返金する条項を定めましょう。

    ただし、退職事由を問わずに返金をするのか、自己都合退職または解雇に限ってのみ返金をするのか、返金対象となる事由の範囲を記載しましょう。早期退職が起こった場合、エージェント側は契約書で定めた通りに返金処理を行います。

    紹介した人材の心身に問題があった場合

    もし人材の心身に問題があり、業務に支障が出そうなことを予見していたにも関わらず、企業に伝えずに紹介・採用された場合、企業間とトラブルになる可能性があります。

    場合によっては人材紹介会社の責任として、返金や損害賠償に発展する事態にもなり得ます。

    ただし、求職者自らが虚偽の申告をしていたときには、返金対応しなくても良い場合があります。また「心身に問題がある」と企業が言っていても、事実とは異なる場合もあります。

    まずは産業医に病状の診断を仰ぎ、本当に業務に支障が出る状態なのか事実確認を行いましょう。

    返金対応としては、企業との契約書記載の内容に則って行われるか、企業との個別交渉になります。

    契約書が法律上問題ないか、弁護士にリーガルチェックを依頼する

    契約書の内容は、トラブル前はお互いの抑止力となり、トラブルの最中では問題解決の指針となります。

    人材紹介の契約書を作成する際には、法律を考慮してエージェント側が不利にならないように作成するのが肝要です。契約書を作成した後は、内容を一度弁護士に見てもらいリーガルチェックを行いましょう。

    特に下記の条項はトラブルを未然に防ぐために大切なものになるので、入念なチェックをお願いするようにしましょう。

    • ・紹介手数料の金額
    • ・紹介手数料の支払い時期
    • ・直接接触の制限規定
    • ・返金規定
  • ポイント5
    まとめ

    不確実性の高い「人材」を扱うエージェントは企業間のトラブルがつきものです。契約書の条項を定めることが無用な争いを防ぎ、ひいては企業の利益・エージェントの利益にもつながります。

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    ▽執筆者

    ナウビレッジ株式会社
    代表取締役 今村邦之

    ▽経歴

    25歳で人材紹介会社、株式会社UZUZを創業。デジタルマーケティングを軸に会社を成長させ、2020年に退職。
    同年10月に、ナウビレッジ株式会社を設立。創業3年で200社超のマーケティング支援の実績。
    東京医科歯科大学 非常勤講師、筑波大学 ヒューマンバイオロジー学位プログラム講師、iU 情報経営イノベーション専門職大学 バーチャル研究室 客員教授。
     
    【事業概要】
    デジタルマーケティングの業務代行、内製化支援

    創業3年で80社以上の人材紹介会社様のマーケティング支援を実施。
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