働き方改革による労働市場の変化、新型コロナウイルス蔓延による有効求人倍率の低下。変化に対応しきれない人材派遣会社は、やむを得ず倒産せざるを得ない企業も増えています。そんな課題を解決し、利益拡大のためにRPAやクラウド導入などAI・自動化をして、社内DXを進めていくことは非常に重要です。
今回の記事では、RPAの導入に関して、人材派遣会社が考慮すべきことを説明していきます。
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ポイント1人材派遣会社の課題
●求職者不足
一つは人手不足です。
医療など求職者獲得が難しい市場を除くと、登録単価は一人につき5000円~2万円、稼働単価は2万~7万円にまで上がっています。
採用が難しくなると稼働数が増えず、当然利益も増えません。
求職者を獲得するのは、人材派遣会社において非常に重要ですので、課題を感じている企業は解決する必要があります。
●広告の多様化、広告費用の肥大化
また、広告の手段が増えてきていることも大きな変化です。
以前まで、広告の主流はマスでしたが、最近ではインターネットの広告費用がかなり大きくなっており、人材派遣会社でもインターネット広告に費用を割く会社が増えてきました。
インターネット広告と一口に言っても様々あります。
Web広告で言うとリスティング広告、SNS広告で言うとFacebook広告、Instagram広告、Twitter広告などが有名です。
自社がターゲットとしている人たちがどういったツールを普段の生活から活用していそうかを考え、適切な広告手段を考えましょう。
●法改正への対応
法改正への対応もあります。
人材派遣社員への教育訓練の義務化によるコスト増、同一労働同一賃金への対応、36協定の適用など。
各社は法令順守の対応に追われています。
常に、法を守りながら、体制をアップデートしていかなくてはなりません。
これらの課題に加え、コロナ禍におけるスタッフ、クライアントへの対応などに追われ、多くの人材派遣会社は、生産性向上や利益改善のための施策に取り組めていません。
「そもそも何をすればいいのかわからない」「目の前の対応でリソースが割けない」という状態に陥っている人材派遣会社も少なくないのではないでしょうか。
ここでは人材派遣会社が、人材派遣クラウドサービスを活用することで業務の生産性を向上し、利益を改善していくかを紹介していきたいと思います。
導入事例も併せて紹介しますので、ぜひご覧ください。
関連コラム PORTERSお客様導入事例 -
ポイント2AI・自動化の波が来ている
人材派遣会社の忙しさに追い打ちをかけるように、AI・自動化の波が来ています。
これまで、当社が多くの派遣会社の業務の自動化をご支援する中で実感したのは、RPAや自動化の導入により、生産性が劇的に上がるということです。
労働集約的な業務に、AIや自動化を導入することにより、人の手間は大きく省け、効率的に物事を進められます。
●RPAとは?
RPAとは、Robotic Process Automationの頭文字を取っています。
ロボットがコンピューター内で人間の行動をプロセス化し、実行したり、計画立てたりしてくれます。
このことにより、人間が起こしてしまうようなミスを防止したり、正確に処理したり、少ない時間で成果をあげたりして、効率的な経営を可能にします。
●定型化された業務を代行する存在
従業員が日々行う業務の中には、定型業務がとても多く存在し、従業員は多くの時間をその定型業務に費やしています。
そんな定型業務を自動化できるシステムがRPAという存在です。
ロボットが定型化して問題なく行うことができる業務を行います。
●実際にRPAが行う業務の例
一口に定型業務と言っても様々な業務があります。
- ・データ入力や更新、転記などの単純作業
- ・NGワード検索、や突合、勤怠データチェックなど繰り返し作業
- ・Webサイトからのデータの収集・レポーティング
- ・システム連携のデータ更新やメンテナンス
- ・各種証明書の作成業務
- ・インターネットバンキングとの連携や外部の購買システム連携
RPAは上記にあげたこと以外にもさまざまな業務をしてくれるため、業務時間を削減することができます。
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ポイント3RPAの導入のメリット・デメリット
●RPAの導入のメリット・効果
業務工数・作業時間の削減
RPAによって、営業やコーディネーターにとっては、エントリーからの人選、面接や職場見学の設定、メール返信、さらにはマッチングなどのオペレーション業務が削減されます。
今まで手動でメールを送信していたのならば、自動で送信できるだけで大きく工数を削減でき、その分の時間で面談、人選やスタッフやクライアントのフォローなどに時間を割くことができます。
面談率の向上
面談率の向上も導入の効果が大きく数値で出ています。
過去ご支援した会社ではエントリーが休日や夜でもロボットが対応することにより、面談設定率が20%から40%にまで向上しており、2倍の数字をたたき出しています。
コスト削減
応募率や面談率が上がると、広告費の削減につながりコストを実現します。
また、副次的な効果としては、RPAによる作業軽減により、残業時間をなくし、社員の働き方の改善に成功している会社もあります。
関連コラム 成功している会社マッチングと人選スピード・精度向上
システムとRPAを活用することで、ベテランコーディネーターに依存していた脳内マッチングを自動化することで、未経験者でもマッチングに一定の精度を持たせることができます。
以下、画像にまとめましたので、ご確認ください。
※RPAの場合
※AIの場合
●RPAの導入のデメリット
RPAやAIを導入しようとすると、まず、業務の棚卸しと整理が必要になってくるため、業務整理する手間も踏まえると、導入を躊躇する人も多いのです。
しかし、現在の業務の生産性を理解し、効率化していくことは利益改善のために必要なプロセスですし、今後のAI化の流れを考えても重要です。
大手人材派遣会社は、すでにRPAやロボットに投資していることが多く、元から高かった生産性がさらに上がっています。
他社と差別化ができている人材派遣会社でない限り、特に中小規模の会社は、自動化を導入しないと淘汰される可能性が高くなるでしょう。
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ポイント4業務の自動化までに必要なこと
では、どのように自動化を進めていけばよいのでしょうか。
●業務の標準化
まずは土台として、業務の標準化が必要です。
今の業務を人材派遣システムが行うべきもの、人が行うべきもの、だれか一人にと頼り切っているものなどを洗い出し、標準化していきます。
標準化を進めたいが、法改正のたびに基幹システム改修を行ったため、業務が複雑になりすぎて手が付けられないことや、複数拠点がある人材派遣会社では、支店ごとの独自ルールがあり、全社で統一されていないことも多く見受けられます。
このような状況のまま、自動化を検討すると、煩雑な業務が自動化でききれずにより複雑な業務が残ってしまうことになりかねません。
標準化には、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング=業務改革)も有効です。
とある派遣会社は、既存の業務内容をそのままシステムで再現しましたが、ベテランは生産性が落ちてしまう、ということが発生しました。業務の中には人が行った方がいいアナログだからこそうまくいっていた業務もあるのです。
テクノロジーを最大限活用するためには、業務を細分化し、自動化することや人が行うこと、システムに任せることを再構築する必要があります。
●システム活用した業務の標準化
人材派遣システムで業務を標準化する方法は二つあります。
一つ目は、自社でのシステム開発です。
自社の希望のシステム構築が出来ることがメリットですが、構築および保守に莫大なコストや時間がかかります。
また動作しなかったり、致命的な漏れがあったりした場合や、業務プロセスが変更になった時などにシステムの改修に追加のコストが発生します。
このため、費用対効果を合わせるのはかなり難しいでしょう。
二つ目は、人材派遣クラウドサービスの活用です。
人材派遣システムに、自社業務を乗せるということです。
これにより、低コスト・スピーディな運用開始が実現できます。
クラウドサービスの利点はサーバーやソフトウェアのアップデートが自動的に行われることはもちろん、多くのユーザの利用方法の集約されたフローを利用することが出来ます。
失敗する確率も低くなりますし、設計して導入するだけですぐに使えます。
ポーターズはPORTERS Staffingの提供を通じて、この二つ目のプランを支援したいと考えています。
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ポイント5人材派遣~PORTERS Staffing~導入で何が実現できるか
ポーターズが提供するPORTERS Staffingは人材派遣企業様向けのクラウドサービスですので、常に最新のシステムを利用することが出来ます。
社内をDX化させ、成果管理やマッチングの業務をシステムに任せることができるのです。
●最適な業務フロー
これまでの派遣会社様への導入実績から最適な業務フローをご提供するため、最適なデータ管理でお客様の業務の標準化を迅速にご支援します。
特徴としては、求職者と求人情報の一元管理により、人選から更新管理、掘り起こしまでが人材派遣システム上で行えます。
求人票の作成や、Webサイトへの転記など、業務における二重入力・三重入力も解消され、効率化を行うことが出来ます。
この求職者はどの工程まで進んでいる、遅れているから対応が必要、といった進捗管理も、支店単位や個人単位で可能に。
ここまでの整備が出来て、PORTERSをベースに自動化を進めることが出来ます。●社内のKPI管理を簡単に
さらに、KPI管理と業務プロセスの可視化が可能になります。
人材派遣会社は、エントリー人数や決定数など、売り上げに至る過程の数字を、リアルタイムで取得できていないことが多くあります。
そのため、改善指示も出しづらい。
システム化することによって、面接設定数や職場見学数が少ないなどの課題を発見し、解決のためのアクションを起こせます。
そして、改善できているかも確認できるのです。
PORTERS Staffingの導入によって、稼働率や決定率の向上につながります。
自社サイトや求人媒体、基幹システムと連携させ、応募、登録から、人選、更新管理をスピーディに最適に行い稼働率の向上をご支援します。
現在のテクノロジーの進化は、人材派遣ビジネスの拡大に影響を与えていくと思います。
業務生産性の向上により、本質的な価値提供を行っていくことが、生き残るカギとなるでしょう。