KPI(Key Performance Indicator)とは、組織の目標を達成するために重要な評価指標のことです。日本語では「重要経営指標」「重要業績指標」などと訳されます。人材紹介業で安定的に成果を上げるためには、適切にKPIを設定し、数値化・可視化しながら達成度をモニタリングし改善するKPI管理が欠かせません。

本記事では、KPIを設定・管理するメリットや、人材紹介において成果を出すためのKPI管理・改善の方法、KPI管理をメンバーのマネジメントに生かす方法をご紹介します。人材紹介業を始めたての方や、今後より業績を拡大させていきたいと考えている人材紹介業の管理職の方の参考になれば幸いです。

  • ポイント1
    人材紹介業でKPIを管理・設定するメリット

    スカウトメールの送付や求職者との面談、求人開拓など、人材紹介業でやるべき業務は広範囲にわたります。KPIをきちんと設定しないと、ただ目の前の差し迫った業務に注力してしまい、成果を出すためにやらなければいけないことが後回しになりがちです。

    そこでKPIを適切に管理・設定し、業務プロセスごとに達成度合いと進捗状況を可視化すれば、各メンバーの行動を成果へ正しく向けさせることができます。ここでは人材紹介業において、KPIを設定・管理するメリットをお伝えします。

    課題分析とネクストアクションの検討が素早くできる

    チームで人材紹介業を行う場合、メンバー一人ひとりの行動を逐一マネジャーが把握して、チームの問題点を発見し、次の打ち手を考えるのは至難の業です。

    KPIを導入することで、マネジャーはチームのプロセス達成状況を数値で把握できるようになります。事業全体のどこに課題があり、課題解決のためにどのような施策を実行するのか、判断をスピーディーに行うことができるようになります。

    メンバーが自走できるため、マネジメントの負担が軽減する

    KPIを設定・管理するメリットの一つに、マネジメントの負担の軽減があります。各メンバーに達成してほしいKPIを設定することで、メンバーは自分のKPIの達成状況を他のメンバーと比較しながら、自分のプロセスごとの課題を客観的に把握できます。

    また「他のメンバーと比べてどの業務の数字が足りていないのか、課題を解決するために何をすべきか」などを理解し、KPIを自己管理する習慣を身につけてもらうことで、メンバーは改善のためのネクストアクションを察知し自走できるようになります。

    メンバーの育成がしやすくなる

    メンバーのスキル育成がしやすくなることも、KPIを設定・管理するメリットの一つです。

    KPIを設定し、メンバーのKPI達成状況を把握することで、各メンバーの得意な業務・苦手な業務が可視化されます。例えば「Aさんは応募承諾率が良くないから、キャリア面談の場に同席してみてアドバイスしよう」など、メンバーごとの育成プランを立てやすくなります。

    また「スカウトメールの返信率が高いBさんにスカウトメールの勉強会を開催してもらう」といった研修の企画など、KPI管理をきっかけとして特定の業務が得意なメンバーのノウハウを他のメンバーと共有できるため、チーム全体のスキルの底上げを図ることができるでしょう。

    PORTERSを活用して手間のかかるKPI管理を楽に

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    KPI管理の大変な点は、メンバーからKPIの進捗に関するデータを収集する段階で工数がかかってしまうことです。ポーターズ社が提供する人材紹介業に特化したシステムPORTERSを利用することで、円滑にKPIの可視化、データの共有を行えるため、大幅に業務を効率化できます

  • ポイント2
    人材紹介業のKPI項目と改善のポイント

    人材紹介業でよく使われるKPIとそれぞれのKPIの関係性を図に表すと、以下のようになります。



    人材紹介業で売上の拡大を目指すには、各KPIの達成率をモニタリングしながら、達成率が低い項目について細かな改善を積み重ねることが重要です。

    ここでは人材紹介業で設定するべきKPIの項目と、各項目で改善サイクルを回すポイントを紹介します。

    内定承諾数・内定承諾率

    「内定承諾数」「内定承諾率」は人材紹介業のKPIの中でも売上に最も直結する指標です。多くの企業が、月ごとの売上目標と連動する形で内定承諾数を設定しています。また、人材紹介業における内定承諾率は、一般的に60~65%と言われています。

    内定承諾率が低い原因として、候補者の本心を引き出せておらず、懸念点を払拭できていないことが挙げられます。

    例えば「CAには伝えていない隠れた転職の条件があり、内定先が条件を満たせていない」「内定先の企業への不安が解消されなかった」ということが起こっている場合などです。
    ここでのポイントは、「あせって強引に承諾を得ようとしないこと」です。

    求職者の納得感を得られないままに無理やり内定承諾をさせようとすると、かえって求職者との信頼関係が崩れてしまい、内定承諾を得にくくなってしまいます。

    きちんと信頼関係を構築した上で、候補者の本音を引き出し、交渉や不安を払拭するためのサポートの余地があるのか、またどのようなサポートが必要なのかを確認しましょう。

    また、キャリアプランや将来に関する不安などは、本人自身も自分が抱える懸念点を言語化できていない場合があります。求職者とともに「一緒に考える・提案する」という姿勢も重要になってくるでしょう。

    内定決定数・面接通過(内定)率

    「内定決定数」「面接通過(内定)率」は、人材紹介業にとって最もコントロールが難しいKPIの一つです。事業者側がどんなに万全の準備を行っても、面接を受けるのは求職者本人のため、準備が全て反映されるとは限らないためです。

    面接通過(内定)率を高めるためには、「求職者と一緒に面接対策を行う」ことが重要です。「自己紹介」「志望動機」「転職の軸」「自分の強み」「キャリアプラン」など、どの企業でも聞かれやすい質問を求職者に行いながら、本人の熱意や魅力がきちんと求人企業に伝わるように、伝え方をブラッシュアップしていきましょう。

    さらに面接後は、求人企業の採用担当者や求職者から面接の所感を教えてもらいましょう。情報を貯めることで、特定の企業に特化した面接対策の精度を高めることができます。

    複数の候補者を推薦しているにも関わらず、なかなか内定が出ない企業では、経営陣や現場の担当者などが採用したい人物像と、実際に推薦している候補者がマッチしていない可能性があります。

    もしもなかなか内定が出ない企業がある場合には、採用が見送りとなった理由を面接担当者に直接聞く機会を設け、それらの情報をもとに推薦する候補者を再検討しましょう。

    面接設定数・書類選考通過率

    人材紹介業のKPIの一つに、「面接設定数」「書類選考通過率」があります。書類選考通過率が低くなる原因として、「RA・CAが求人企業が募集の背景や求める人物像を理解しきれていない」ことが挙げられます。

    書類選考を通過していない、すなわち求人企業が「候補者と会おうと思わなかった」ということは、推薦した候補者の経験・スキルが求人企業が求める人物像に合致していなかったということです。

    書類選考時点でのお見送りが続いてしまうと、求人企業の採用担当者からは「自社にマッチする人を推薦してくれないエージェント」という印象を持たれてしまいます。信頼関係を崩さないためにも、少なくとも50%、できれば70%~80%の書類通過率を維持しましょう。

    書類選考通過率を上げるためには、採用担当者にお見送り理由をきちんとヒアリングし、求人企業が求める人物像に沿わない候補者は推薦しないことが重要です。

    また「求める人物像とは少しずれてしまうが、どうしても推薦したい候補者がいる」場合には、書類とともに送る推薦文の中で、求人企業が懸念しそうな点を払拭できる一言を添えましょう。

    推薦数・応募承諾率

    求人企業に採用候補者を推薦するためには、「CAが紹介した求人案件の選考に進みたい」と求職者に思ってもらい、応募承諾を得る必要があります。CAと面談を行った求職者のうち、実際に企業の選考に進んでもらった人数の割合のことを「応募承諾率」と言います。

    応募承諾率を高めるには、「初回の面談の時点で求職者の転職意向を知ること」がカギとなります。

    近年は個人のキャリア意識の高まりから、転職潜在層がエージェントのキャリア面談をうけるのは珍しいことではなくなりました。そのため、応募承諾率は以前より下がる傾向にあります。

    だからこそ、求職者の転職意向を的確に把握して、いかに転職意向が高い人に応募承諾してもらうかという点に気を配ることが大切です。

    また「求職者と信頼関係を築くこと」も重要なポイントです。

    求職者が信頼できるCAかどうかを判断するポイントとして「レスが早い」「誠実に転職ニーズを聞いて提案してもらえる」「初回キャリア面談の後に紹介してもらえる求人が自分の希望とマッチしている」などがあります。信頼度を高めるためにも、キャリア面談でCAとしての価値を感じてもらえるヒアリングと提案を心がけましょう。

    初回接触人数・スカウトメール返信率  

    人材紹介業を営む企業の多くは、キャリア面談を受けてもらう求職者を獲得するために、広告の出稿やオウンドメディア・SNSなどでの発信を行っています。しかしインバウンドマーケティングの施策だけでは、目標とする初回接触人数を集めきれない場合もあります。

    人材紹介会社から直接求職者へアプローチする方法として「求職者データベースの中から求人企業の条件に合う人材を見つけてスカウトメールを送る」があります。

    スカウトメールの返信率を向上させるためには「誰に対して」「どのような文面で」スカウトメールを送れば反応がもらえそうか、仮説を立てながら細かく改善することが大切です。

    返信率が低い理由として「本格的に転職を検討していない人にスカウトメールを送っている」「スカウトメールを送るデータベースの属性と求人内容がマッチしていない」という仮説が立てられる場合には、スカウトメールを送る媒体や対象者を変更し「誰に対して」スカウトメールを送るのかを改善することで、返信率が向上します。

    またスカウト文面は「自分のために文面を作成してくれた」特別感を演出することで返信率を高められます。「過去の経歴のどの部分を評価してスカウトを送ったのか」「希望するキャリアが叶えられそうなこと」などをスカウト文面の中で伝えていきましょう。

    スカウトメールの送付数 

    人材紹介業のKPIをファネルで表した時に起点となるのが、スカウトメールの送付数です。スカウトメールの送付数というKPIを達成できていない場合、より上位のファネルでのKPIの達成が難しくなるため、スカウトメールはある程度多くの数を送ることが重要です。

    もしも忙しくてスカウトメールを打つ時間が確保できない場合は、スカウトメールの送付数を担保するためにアルバイトなどを雇うのも一つの手です。

  • ポイント3
    KPIを用いたマネジメントのポイント

    人材紹介業では様々なKPIがあり、KPIを改善することで売上目標の達成に繋げられることをお伝えしました。では、KPIを普段の業務設計やメンバーの指導に活かすために、どんなことに気をつける必要があるのでしょうか? KPIを用いたマネジメントのポイントをご紹介します。

    立ち上げ期は「数」を改善してから「率」を改善する    

    1つ目のポイントは、「立ち上げ期は『率』の改善よりも『数』の改善を優先する」ことです。

    先ほどご説明した通り、人材紹介業のKPIは「ファネル内にいる求職者の人数」と「上位ファネルへの転換率」が積み重なってできています。そして、どのKPIを改善するかによってやるべき施策が異なります。

    そこで出てくるのが「人数を増やすのが先か」「転換率を改善するのが先か」という問題です。

    ここで考えるべきなのは「転換率を向上させるためにはある程度数をこなす必要がある」ということです。「量が質に転化する」という言葉があるように、求職者や企業と深い信頼関係を築けるようになるには、様々な関係者とコミュニケーションを取りながら実務経験を積む必要があります。

    実務経験を十分に積まないままに転換率を向上させる施策を行おうとしても、実行段階でつまづくことが多くなってしまうでしょう。

    そのため、人材紹介業の立ち上げ段階や習熟度の低いメンバーが多い場合は、「ファネル内の人数」に関わるKPIの改善を優先することをおすすめします。

    より売上に近いKPIの率の改善に集中する    

    2つ目のポイントは、「『転換率』の改善を行う場合は、より売上に近いKPIを優先的に改善する」です。

    上位ファネルへの転換率について、どのフェーズに課題があるのか分からない、あるいは全てのKPIで目標に達していないなど、どのKPIから改善するべきか不明瞭な場合には、「内定承諾率」や「面接通過(内定)率」など、より売上に近いKPIの改善に力を入れましょう。

    より下位ファネルのKPIである「スカウトメール返信率」「応募承諾率」の改善を行った場合、それ以降のファネル内の業務量が増えることにつながります。その結果、求職者や企業とのやり取りがおろそかになってしまい、上位ファネルのKPIが悪化するリスクもあります。

    一方で、売上から遠いKPIの改善と比較すると、「内定承諾率」「面接通過率」などの上位ファネルのKPIの改善は、改善したときに売上に与えるインパクトが大きくなりやすいです。また、かかえる業務量が増えるリスクも最小限に抑えられます。

    最小限の改善で多くのリターンを得られるという観点からも、より売上に近いKPIの改善に優先的に取り組みましょう。

    習熟度が低いメンバーほど、KPIのモニタリング頻度を細かく設定する 

    3つ目のポイントは、「習熟度が低いメンバーほど、KPIのモニタリング頻度を細かく設定する」です。

    KPIによるメンバーマネジメントの方法として一般的なのが、各メンバーに月ごとのKPI目標を持たせ、実績と予測のモニタリングを日次・週次で行う方法です。

    しかし、習熟度が低いメンバーほど進捗が遅れ、KPI達成率の実績・予測数値が低くなる傾向にあります。習熟度の低いメンバーに対しては、KPIを月ごとではなく、週ごとに設定するなど、モニタリングの頻度を細かくするのがおすすめです。

    KPIのモニタリング頻度を細かくし、達成しなければならない期日を早い時期に設定することで、メンバーは集中力を高く保ちながら業務に取り組むことができます。

    またマネジメント側も、メンバーのKPIの進捗が遅れていることを察知しやすくなるため、即座にリカバリープランを提案するなどの対策を取りやすくなります。その結果、チーム全体での目標達成に繋がりやすくなるでしょう。

  • ポイント4
    PORTERSを活用したKPI管理と業務効率化

    KPIを設定・管理する目的は、KPIの達成度を可視化・分析し、日々の業務を改善することで、事業の拡大につなげるためです。しかし、実際にKPI管理に取り組むと、可視化の前段階である情報集めに時間がかかってしまう企業も多くあります。

    KPI管理を効率的に行うためには、KPIに関する情報の収集と可視化を助けるシステムの導入が欠かせません。

    ここではポーターズ社が提供する人材紹介に特化したクラウド型管理システム「PORTERS」を活用して、どのようにKPI管理ができるのかをご紹介します。

    PORTERSとは



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    PORTERSとは、ポーターズ株式会社が提供している人材紹介に特化したクラウド型管理システムです。

    求人開拓や求職者獲得、マッチングや企業への推薦などといった、人材紹介にまつわる業務の進捗管理を行うとともに、煩雑な人材紹介業務を効率化する機能を持っています。現在1,500社を超える人材紹介・派遣企業が利用しています。

    KPIの入力を一元化、管理・分析が簡単に


    >>レポート&ダッシュボード機能について

    >>クライアント・求人管理と進捗管理機能について

    PORTERSでは、求人と求職者の選考状況の一元管理や、自社サイトや外部の求人媒体と連携して求職者情報を自動で取り込めるため、最低限の情報入力でKPIに関する情報を収集できます。

    またPORTERSに入力されたデータをもとにKPIの進捗状況を確認できる「ダッシュボード機能」や、メンバーごとの進捗状況を可視化できる「レポート機能」を活用することで、スムーズに課題を発見して解決のためのアクションを起こすことができます。

    求職者・案件情報の管理を一元化、マッチング効率を上げ応募承諾率が向上


    >>
    マッチング機能について


    >>クライアント・求人管理と求職者・レジュメ管理機能について

    PORTERSには、求職者と求人企業のマッチング業務の効率を高めるための機能が備わっています。オートマッチング機能を利用すると、新着求人などから、ワンクリックでマッチする求職者を絞り込み、対象者にメールでお仕事打診を行うことができます。求職者からのマッチングも同様に可能です。

    応募承諾をいただいたら、職務経歴書を添付し、すぐに採用ご担当に推薦をすることができます。これにより企業推薦までのマッチング精度を上げながら、早期推薦を実現します。

    人材紹介業の業務効率化を実現

    >>選考プロセス管理機能について

    求職者獲得・求人開拓からマッチング、選考プロセスの中でのコミュニケーションまで、人材紹介でやらなければいけない業務は多岐にわたります。

    PORTERSでは求人紹介や面談前の準備メール、面談後のフォローメールなどをテンプレート化し、ワンクリックで送信する機能を備えており、選考プロセスのやりとりで発生する定型業務を省力化できます。

  • ポイント5
    まとめ

    今回は、人材紹介が追うべきKPIとそれぞれのKPIを改善する際のポイントをお伝えしました。人材紹介のKPIを改善していくためには、KPIに直接寄与しない業務を削減するとともに、システムを導入して業務の効率化を図ることが重要です。

    PORTERSのような管理システムを導入することで、KPIをスムーズに可視化・分析し、PDCAサイクルを素早く回しながら業績向上につなげることができます。

    人材紹介専門のマッチングシステムであるPORTERSのサービスサイトでは、PORTERSを導入した企業がどのように業務を効率化し、業績を拡大してきたかもご紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。



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    ▽執筆者

    ナウビレッジ株式会社
    代表取締役 今村邦之

    ▽経歴

    25歳で人材紹介会社、株式会社UZUZを創業。デジタルマーケティングを軸に会社を成長させ、2020年に退職。
    同年10月に、ナウビレッジ株式会社を設立。創業3年で200社超のマーケティング支援の実績。
    東京医科歯科大学 非常勤講師、筑波大学 ヒューマンバイオロジー学位プログラム講師、iU 情報経営イノベーション専門職大学 バーチャル研究室 客員教授。
     
    【事業概要】
    デジタルマーケティングの業務代行、内製化支援

    創業3年で80社以上の人材紹介会社様のマーケティング支援を実施。
    求職者募集で結果を出してきた手法やノウハウを惜しみなく提供しております。

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