有形の商材を持たない人材紹介は、他社との差別化が難しい事業です。また近年は人材紹介を立ち上げる企業が増加による競争激化の影響で、事業を軌道に乗せるのが難しくなっています。
本記事では人材紹介事業が陥りがちな失敗と、失敗を回避して成功させるコツを紹介します。人材紹介業を運営している方や、今後開業を考えている人の参考になれば幸いです。
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ポイント1事業立ち上げ期の失敗人材紹介会社が求職者へ提供する価値は「要望やキャリアプランをヒアリングして、適切な求人案件を紹介する」こと、また企業への提供価値は「自社の採用要件にマッチする人材の推薦とマッチングのサポート」です。
上記の提供価値はどのエージェントでも基本的には変わりません。だからこそ、数ある人材紹介会社の中から選ばれるエージェントになるためには事業立ち上げ期からの戦略や工夫が求められます。
ここでは人材紹介事業立ち上げ期に起こりがちな失敗と、失敗を避けるための対策をご紹介します。サービスの得意領域を明確にしていない
人材紹介立ち上げ期の失敗として、サービスの得意領域を明確にしていない状態で求人開拓や求職者集客を急いでしまうことがあります。
冒頭でもご説明した通り、人材紹介業は他社との差別化が難しいため、事業立ち上げ段階で「どの点を差別化のポイントにするか」を明確に言語化し、事業戦略を立てることが重要です。
自社の得意な領域を明確にした上でプロモーションや営業活動を行うことで、領域とマッチする企業・求職者を効率的に集めることができます。
人材紹介のポジショニングとしては、以下の分類があります。
- ・「エンジニア」「デザイナー」など特定の職種に特化する
- ・「第二新卒」「経営人材」など特定のポジションに特化する
- ・「IT系」「建築系」など特定の業種に特化する
- ・「外国籍人材」「子育て中の女性」など特定の求職者の属性に特化する
立ち上げ時の小規模な段階では、小さく仮説検証を繰り返しながら、自社の得意領域を明確化しましょう。資金に余裕がない状態で事業を始める
人材紹介立ち上げ期失敗の一つに、資金に余裕がない状態で事業を始めることがあります。
人材紹介業は成果報酬型のビジネスモデルです。小規模の事業者は特に、求人開拓や求職者集客・マッチングなど成約に至るまでの工程がうまくいかなかった結果、当月の売上が上がらないという事態に陥ることも珍しくありません。
また、転職活動の期間は一般的に2~3ヶ月と言われており、求職者と接点を持ってから最終的に内定承諾をしてもらうまでにもある程度の時間がかかります。
上記の理由から人材紹介立ち上げ期では、中長期的な資金繰りも含めた戦略設計を行うことが重要でしょう。 -
ポイント2営業活動における失敗「成果課金型のビジネスモデルのため必要以上のコストを払わずに済む」「採用活動の人的コストを削減できる」などの理由から、人材紹介を利用する企業は増えています。
一方でライバルとなる人材紹介会社も増えており、企業から選ばれる人材紹介会社になるためには営業上の工夫や効率化が欠かせません。
ここでは人材紹介の事業運営の中でも、特に営業活動に焦点を当てて起こりがちな失敗をご紹介します。営業リストの管理を一元化していない
人材紹介会社が陥る営業活動上の失敗の一つに、営業リストの管理を一元化していないことがあります。
人材紹介のオーソドックスな求人開拓の手法としてテレアポがあります。しかし、営業リストの管理を一元化せずにRA担当個々人に任せていると、RA同士でのアプローチのバッティングが起こることもあります。
人材紹介のニーズがないにもかかわらず何度も電話をかけてしまうと、アプローチ先の企業から煙たがられてしまい、サービスの印象が悪くなってしまう可能性もあります。
そんな事態を防ぐために、営業管理システムを導入して「どのRA担当が、どの顧客に、いつアプローチしたか、反応はどうだったか」を記載し、営業チーム全体で把握できるようにしましょう。アプローチ企業のターゲットを絞りすぎてしまう
人材紹介の営業活動における失敗として、アプローチする企業のターゲットを絞り込みすぎてしまうことがあります。
営業活動を行って企業から獲得した求人案件は、最終的には求職者に紹介することになります。多くの求職者から魅力的なエージェントだと感じてもらうために、紹介できる求人案件のバリエーションを増やすことが肝心です。
「人手不足で求人獲得がしやすいから」「高年収帯で成約時の報酬が高くなりやすいから」などの観点から、特定の領域の求人だけに集中して開拓すると、最終的には自社が保有する求人のバリエーションに偏りができてしまい、求職者のスキルによっては提案できる案件が少なくなってしまいます。
特定の領域に特化したエージェントであっても、領域内の多様な求職者に求人を提供できるように、幅広く案件を獲得する意識を持ちましょう。紹介契約(人材紹介契約)後に候補者を推薦しない
人材紹介の営業活動における失敗として、紹介契約(人材紹介契約)後に候補者を推薦しないことがあります。
求人企業とのコミュニケーションにおいて、紹介契約はあくまでもスタートに過ぎません。たとえ紹介契約ができたとしても、その後候補者の推薦がなければ、求人を任せてくれた企業との信頼関係が失われてしまいます。
企業との関係を円滑に保つためにも、求職者の応募が集まりやすい求人を集めることは重要です。
この事態を防ぐためにも、CA担当と綿密にコミュニケーションをとり、自社とやり取りしている求職者のスキルや経験を理解しながら、マッチする求人を持つ企業に優先的にアプローチしましょう。 -
ポイント3求職者集客・対応における失敗さまざまなスカウトサービスが生まれ、またSNSやオウンドメディアなどマスメディアに頼らない集客手法が発達している背景もあり、求職者集客の方法は年々多様化・複雑化しています。
また、求職者から選ばれる魅力的な人材紹介会社になるためには、認知からキャリア面談を通じて最終的に内定に至るまでの顧客体験(CX)が重要とも言われています。
ここでは人材紹介会社が陥りがちな、求職者集客・対応時の失敗をご紹介します。求職者集客チャネルごとの効果測定をしない
人材紹介会社の求職者集客における失敗の一つに、求職者集客チャネルごとの効果測定をしないことがあります。
求職者集客のためのサービスは様々ありますが、サービスごとに求職者の属性や集客力、アクティブユーザー数に違いがあります。各サービスの特徴を理解し、自社のターゲットや案件の相性に合うサービスを見つけることが大切です。
自社に合う求職者集客チャネルを見極めるには、サービスを活用して集客した求職者の遷移率を追いかけ、日々数字で振り返りましょう。
具体的には、下記の数値を分析し、自社にとって最も効果が高いサービスが何か考えることが重要です。- ・サービス別の応募数
- ・サービス別の面談設定率
- ・サービス別の面談設定数
- ・サービス別の面接率
- ・サービス別の面接数
- ・サービス別の内定率
- ・サービス別の内定数
一つの求職者集客手法に固執する
人材紹介会社の求職者集客における失敗の一つに、一つの求職者集客手法に固執することがあります。
求職者集客の領域は進化のスピードが速く、新しい手法やサービスが日々生まれています。ある時期では効率のいい集客方法であっても、情報感度が高い求職者から徐々に新しいサービスに移っていきます。
また時間の経過とともに新たに参入するエージェントや求人企業が増え、徐々にそのサービスや手法がレッドオーシャンになっていくこともあり得ます。
新たに求職者の集客を強化する際には、今まで成功してきた一つの手法に固執しすぎず、さまざまなサービスを利用するのが大切です。初回面談を設定し忘れる
人材紹介会社の求職者対応における失敗として、求職者から問い合わせや返信があったにも拘らず初回面談を設定し忘れることがあります。
日々の面談や求人紹介、日程調整など、CA担当の業務は多岐に渡り、また煩雑になりがちです。忙しさの中で求職者の初期対応が漏れてしまうことも十分起こり得ます。
ヒューマンエラーによる機会損失を防ぐには、ポーターズ社が提供する人材紹介に特化したクラウド型管理システム「PORTERS」などを活用して、システムによるチェックを行うことが重要です。PORTERSとは
>>PORTERS Agentサービスページはこちら
PORTERSとは、ポーターズ株式会社が提供している人材紹介に特化したクラウド型管理システムです。
求人開拓や求職者獲得、マッチングや企業への推薦など、人材紹介にまつわる業務の進捗管理を行うとともに、煩雑な人材紹介業務を効率化する機能があります。現在1,500社を超える人材紹介・派遣企業が利用しています。求職者目線の提案ができていない
人材紹介会社の求職者対応における失敗として、面談時に求職者目線の提案ができていないことがあります。
転職が一般的なものになる中で、求職者がエージェントに自分のキャリアを相談するハードルも下がっていっています。そのため、求職者の転職意欲の強さに合わせて適切に情報を伝える対応が重要です。
特に、転職意欲が高い人には丁寧に対応して、自社が保有している求人を大量に紹介するのではなく、一緒にキャリアプランを後押しする気持ちで提案を行いましょう。
求職者目線の提案を行うなど対応の質を高めることで、求職者のサービス満足度が上がり、クチコミ効果やブランド力の向上にもつながります。 -
ポイント4組織マネジメントにおける失敗人材紹介会社が事業を拡大するには、「安定的に成約を出し続ける組織づくり」が欠かせません。メンバーの成長を促進させ、安定的に成果が上がる体制を作るには、マネジメントにも工夫がいります。
ここでは人材紹介の事業運営の中でも、組織マネジメントにおける失敗を紹介します。育成制度を整備していない
人材紹介会社の組織マネジメントにおける失敗として、育成制度を整備できていないことがあります。
人材紹介事業はRA・CAともに雑務も含めたさまざまな種類の業務を行わなければいけません。また各メンバーごとに対応企業や求職者を分担するため、個人の中で業務を完結できます。
そのため、育成制度を整備して学びの場を意識的に用意しないと、成果の上がらない自己流の方法に頼ってしまいがちになります。
例えば、ベテランが持つスキルを資料の形に落として展開する、誰でも汎用的に利用できるスクリプトやテンプレートを用意するなど、RA・CA業務それぞれでナレッジを共有する仕組みを作りましょう。KPIマネジメントをしていない
人材紹介会社の組織マネジメントにおける失敗として、KPIマネジメントをしていないことがあります。
人材紹介業を組織化する際の課題の一つに、メンバー各人の進捗が見えづらくなることがあります。PORTERSなどの人材紹介業務を管理するシステムを導入することで、各人のKPIを可視化するとともに進捗をモニタリングし、PDCAサイクルを早めることができます。
人材紹介会社の組織マネジメントにおける失敗として、業務効率化のツールを入れないことがあります。
業務効率化のツールを入れない
人材紹介業は業務が煩雑になりがちです。対応する案件が増えるごとに、求職者・求人案件情報の入力や求職者への日程調整メールなどの定型業務が発生し、工数を圧迫してしまいます。
業務効率化のシステムを導入し、メンバー各人の生産性を高めるとともに、対応の取りこぼしをなくしましょう。
PORTERSには、求職者と求人企業のマッチング業務の効率を高めるための機能が備わっています。
オートマッチング機能を利用すると、新着求人からワンクリックでマッチする求職者を絞り込み、対象者にメールでお仕事の打診を行うことができます。求職者からのマッチングも同様に可能です。
応募承諾をもらい次第、職務経歴書を添付し、すぐに企業に推薦できます。推薦までのマッチング精度を上げながら、早期の推薦を実現します。
>>マッチング機能について
>>求職者・レジュメ管理機能について
定型業務の自動化・省力化で、メンバー一人ひとりの生産性を高めることが業績拡大につながります。 -
ポイント5まとめ本記事では、人材紹介業で想定される失敗パターンを紹介しました。人材紹介業の拡大期には、PORTERSのような人材紹介に特化したシステム活用がおすすめです。
人材紹介専門のマッチングシステムであるPORTERSのサービスサイトでは、PORTERSを導入した企業がどのように業務を効率化し、業績を拡大してきたかもご紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
PORTERS 導入事例はこちら
▽執筆者
ナウビレッジ株式会社
代表取締役 今村邦之
▽経歴
25歳で人材紹介会社、株式会社UZUZを創業。デジタルマーケティングを軸に会社を成長させ、2020年に退職。
同年10月に、ナウビレッジ株式会社を設立。創業3年で200社超のマーケティング支援の実績。
東京医科歯科大学 非常勤講師、筑波大学 ヒューマンバイオロジー学位プログラム講師、iU 情報経営イノベーション専門職大学 バーチャル研究室 客員教授。
【事業概要】
デジタルマーケティングの業務代行、内製化支援
創業3年で80社以上の人材紹介会社様のマーケティング支援を実施。
求職者募集で結果を出してきた手法やノウハウを惜しみなく提供しております。
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